【はじめての1日店長】店舗を持たず、間借りで好きな店を出す!「1日店長」とはどんなもの? 【はじめてをはじめる #21 】

生活

【はじめての1日店長】店舗を持たず、間借りで好きな店を出す!「1日店長」とはどんなもの? 【はじめてをはじめる #21 】

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やってみたいけれど一歩踏み出せない、新しい趣味を見つけたい。そんな人の背中をそっと押す企画「はじめてをはじめる」。

今回のテーマは、「1日店長」です。

「自分のお店を開いてみたい」と思ったことはありませんか? 私は、好きな古着のお店や、酒に合うつまみを出す小料理屋なんかをやってみたいなぁと、しばしば空想しています。でも、実際に店を開くというのは甘いものではない。だから、いつも空想止まりでした。

しかし、大きなリスクを負わずして「自分のお店」を出せるユニークなビジネススタイルを発見しました。それは、「1日店長」です。

1日店長について調べてみた

1日店長とは、BARのお昼の時間帯や、キッチン付きのレンタルスペース、カフェなどを間借りして、お店を開く人のこと。

カフェやBARなどの飲食店だったり、好きな本を置いた本屋だったり、自分で作った小物のショップだったり。趣味の延長で何かやりたいけれど、お店を構えるほどではない、という人がやってみるケースが多いようです。

1日限りの単日オープンの場合もあれば、週に数回、月に1回など、頻度は自分で選ぶことができます。開店準備は最低限で済むし、副業としてもやりやすそう。

これはぜひ、詳しく話を聞きたい!というわけで、東京・高円寺にある716cafe(なないろカフェ)で、毎週月曜だけ、スリランカカレーのお店を開いている児島麻里子さんに取材を依頼しました。

週1回のレア感がウケている。1日だけのつもりが3年目

佐藤

児島さんが週に1回スリランカカレーのお店を開いているカフェは、どんなところなんですか?

児島

オーナーが曜日替わりで店主を募集していて、曜日によって別の店が開かれているカフェなんです。私は月曜日のみですが、ほかの曜日は、ハンバーガー店、 タイ料理店、スイーツ店など、バラエティに富んでいます。

佐藤

おもしろい形態のカフェですね。どうしてここで店をやることにしたんですか?

児島

ネットで「レンタルキッチン」「レンタルカフェ」というキーワードで検索して見つけました。レンタル料金や自宅からの距離などを比較して、ここがいいなと。

佐藤

ちなみに、レンタル料金はおいくらなんでしょうか?

児島

私の場合は、1日につき1万8000円ほどです。曜日や借りる時間などによって異なる設定にしているみたいですね。

佐藤

児島さんのように、間借りをしてお店をする人が最近増えていますよね?

児島

そうみたいですね。私がここで始めたときはあまりいなかったのですが、今は問い合わせが増えているとオーナーさんに聞きました。夜営業のBARなどの昼の時間帯だけを間借りして、カレー屋さんをしている人は多いですよ。

佐藤

週に1回だけでなく、もっとやろうとは思わないのですか?

児島

実は、最初は週に1回もやろうだなんて考えていなくて。「カレーの発表会」みたいなノリで、単発でやったものの評判が良くて、続けることにしたんです。今年で3年目なんですよ。

佐藤

1回で終了の予定だったんですか!

児島

そうなんです。それに、これまで何度か2日連続でやったこともあるのですが、あまりお客さんが来ない(笑)。

佐藤

週に1回というレア感が、いいのかもしれませんね。

児島

きっとそうだと思います。

佐藤

月曜を選んだのは、何か理由があるんですか?

児島

以前にベビーシッターの仕事をしていたのですが、月曜にみていたお子さんが小学生になって、月曜が空いたので。それだけの理由なんですよ。それが今では「月曜スリランカカレー」という店名にもなっています。

佐藤

覚えやすいネーミングですよね!

調理も接客もすべて一人で。「大変だけれど、すっごく楽しい」

佐藤

スタッフは雇わず、児島さんお一人ですべてやっているんですか?

児島

祝日の月曜日はお客さんが普段より多いので、知り合いにお手伝いをお願いしています。それ以外は基本的に私一人で仕込み、調理、接客、後片付けをしています。

佐藤

大変そうですね。

児島

体力的にはきついし、お客さんをお待たせしてしまって申し訳ないんですが、お客さんの顔を見て、接客も楽しみたいという気持ちがあるので。大変だけど、すっごく楽しいんですよねぇ。ほんとに楽しくできちゃってる。

佐藤

大変だけど楽しいって、何よりの充実感ですね。お客さんは、1日どのくらい来るのでしょうか?

児島

昼だけの営業だと、1日3~40人くらい。夜営業があるときは50人くらいですね。

佐藤

ご近所の方が多いですか?

児島

そうですね。たまにメディアに取り上げてもらったのを見て、遠くから来る人もいますけど、ほとんどが徒歩や自転車で来てくれるご近所さん。カレー好きの人で、いろいろ食べ歩いていて、月曜はうちに、という人もいます。

佐藤

メニューは、どのように決めたんですか?その日によって違う肉、魚、野菜のカレー3種類から選べて、サイドメニューやデザートもあるし、飲み物も豊富にありますよね。

▲毎回、児島さん自身が手描きしているメニュー。 ドリンクにはスリランカのお酒も。

児島

メニューは最初1種類だったんですが、少しずつ余裕ができてきたので、徐々に増やしたり、改良したりしています。1人でできる範囲のもの、それに週に1回の店なので、保存がきくもので。

佐藤

価格はどのように決めたんですか?

児島

原価率とかよくわからなかったので、感覚で決めました(笑)。夫に相談したら、カレーに1500円以上払うのは高いだろうと。なので、1000円~1400円で設定しています。とりあえず、今のところ赤字は出ていないから、大丈夫(笑)。

佐藤

わりとどんぶり勘定なんですね(笑)。食材などの仕入れや搬入はどうしているんですか?

児島

週に1度、買い出しに行っています。普通のスーパーや業務スーパー、そこで売っていないようなものは、新大久保のイスラム街で調達しているんです。

佐藤

新大久保!コリアンタウンの反対側に、ありますね、イスラム街!

児島

そうそう。スパイスとか、バナナの葉とか、特殊なものはそこで。スリランカの食材も買えるんですよ。

▲アルミのプレートはスリランカで買ったもの。その上にバナナの葉を敷いて、ライスや付け合わせ、カレーを盛り付けている

佐藤

朝は何時くらいから仕込みを始めるんですか?

児島

だいたい6時くらいからですね。買い込んだ食材とともに、タクシーに乗ってここへ来ます。

佐藤

お皿やカトラリーなど、備品もその都度持ち込みですか?

児島

お店の中にストレージがあって、そこに置かせてもらっています。マグカップとかカフェ内にあるものは自由に使っていいので、それを活用したりもして。

佐藤

集客はどうしていますか?

児島

InstagramとFacebookでの告知のみですね。店を始める前、個人でカレーの投稿をしていたんですが、それをカレー好きな人がたくさん見てくれるようになって、カレーの輪が広がっていったんですよ。

佐藤

カレー好きな人って、熱心に情報収集するイメージがあります。

児島

そうなんですよね。情熱がすごくて(笑)。それで店を出すにあたって、店のアカウントをつくることにしました。

利益を気にせず、好きなことに全力投球。それが間借りの良さ

佐藤

間借りでお店をやるメリットはどんなところだと思いますか?

児島

やっぱり一番は、初期経費がかからないこと。お店をやってみたいなと思っている人が、お試しできるのがいいところだと思いますね。

佐藤

そのメリットは大きいですよね。

児島

それに、店舗を持つと、店を維持していくために日々きちんと利益をあげていかなくちゃと、悩んでしまうと思うんです。そうすると、やりたいこと以外に考えないといけないことが増えてしまう。

佐藤

そうですねぇ。

児島

売り上げばかりに気がいって、楽しくできなくなってしまうのが嫌だなぁと思って。週に1日だけだから、好きなことを、好きにできる。それがいいなと。

佐藤

逆に、デメリットはどんなところでしょうか?

児島

未来の保証がないことですね。すべては店を貸してくれているオーナーさん次第。いつ店が出せなくなるかは、わかりません。

佐藤

確かにそれはありますね。オーナーさんとの決まりごとや、規約みたいなものはあるんですか?

児島

店内の使い方のルールだったり、毎回きちんと売り上げを報告することだったり。あとは、調理は必ずカフェ内で行うとか。食品衛生責任者をとることも最初に言われました。

佐藤

なるほど。

児島

ほかには、なるべく保険に入ってほしいと。火事になったり、食中毒が出たり、万が一、何かあったときに迷惑をかけてしまうので、加入しました。

佐藤

そういうところはきちんとしないと怖いですもんね。

児島

なかには、貸主と口約束で始めてしまう人もいるようなのですが、それは危険だなと思います。もしこれから間借りの店をやってみたいと思う人がいるなら、手軽に始められる分、気を付けないといけないことは多いですよ、と伝えたいですね。

佐藤

経験者だから言えることですね。

児島

特に食べ物を扱う店なら、なおさら。衛生面は命にかかわることですから、本当に気を付けないといけないと思います。

佐藤

規約やルールなどがあってきちんとしているところと契約するべきですね。あとは、自身も最大限の注意をすること。

児島

こういうことを言うと、脅しているみたいですが、大事なことです。

愛すべき「カレーの人たち」の喜ぶ顔を見ていたい

佐藤

そもそも、どうしてスリランカカレーのお店を出そうと思ったんですか?

児島

2017年に子どもが小学生になって、子育てが少し落ち着いたんですが、夫が「子どもは見ているから、旅行でも行ってきたら?」と言ってくれて。その言葉に甘えて、前から行ってみたかったスリランカに足を運んだんです。

佐藤

そこでカレーに魅了されたんですね。

児島

アーユルヴェーダをする施設に泊まっていたんですが、毎食カレーが出てくるんですね。でも、どのカレーも全部違う。野菜のカレーもあれば、お肉や魚介のカレーもあるし、甘いのもあれば、辛いのもあって、スパイスで味付けた総菜もある。

佐藤

私もスリランカに行ったことがあるんですが、いろんなカレーや付け合わせを混ぜていって、味変や食材同士のハーモニーを楽しむのがいいんですよね!

児島

そうなんですよ!それに、カレーっていったら、小麦粉が入っていて、カロリーが高くて重いものというイメージだったんですが、全然そんなことがない。やさしい味で、ヘルシーで。今まで食べていたカレーと全然違う!と衝撃を受けたんです。

佐藤

わかります!私、スリランカでものすごく食べて、ビールもガバガバ飲んでいたのに、なんと帰国したら体脂肪が減っていて。スパイスパワー恐るべしって思いました。

児島

アーユルヴェーダの施設で出てくるくらいなので、体に良いんですよね。帰国してからあの味をまた食べたいと思って、探して食べ歩いて。そして、日本にいるスリランカ人に教えてもらって、自分でも作り出したんです。

佐藤

店で食べるに飽き足らず、自分で作り始める!カレー好きな人って、そういう人が本当に多いですよね。


児島

そうですよね(笑)。せっかく作れるようになったし、スリランカやスリランカカレーの良さを知ってほしいと思って、友だちを招いて食べてもらったんです。そうしたら友人が「美味しいよ!お店でも出したら?」って。

佐藤

もしや、その言葉で?

児島

はい。調子に乗って、1日だけ店をやろう!となりました(笑)。

佐藤

スリランカに行ったのが2017年ですから、わりと最近の話なんですね。

児島

そうですね。スリランカに行った翌年には、店を出していました。

佐藤

わー!ものすごいスピードでハマったんですね。

児島

1回目のとき、思ったよりもたくさん人が来てくれたんです。「あれ?みんな、スリランカ好きなのかな?」と思ったし、「また来たい」と言ってくれる人もいて。それで、「じゃあ続けてもいいのかなぁ」となって、今に至ります。

佐藤

そうだったんですね!3年続けてみて、いかがですか?

児島

このお店とカレーを通して、仲間が増えました。カレーの人たちって、みんなすごくやさしいんですよ。

佐藤

「カレーの人たち」(笑)。

児島

飲食業界って、怖いイメージがあったんですよね。競争が激しくて、いじわるとかされちゃうのかな?と思っていたけど、全然そんなことはなくて。同業他社の人でさえ、いろいろ教えてくれるんです。それに、スリランカ人もとってもやさしい。

佐藤

カレーを愛する人たちって、あまり商売っ気がないのかもしれませんね。スリランカ人のやさしさは、私も現地で体感しました。

児島

私自身も、めちゃくちゃ儲けようとは思っていません。いただいたお金でスリランカにたまに行ければ、それだけで十分。現地でスパイスを買って、それをまた店でお客さんに楽しんでもらえれば。

佐藤

今後、間借りではなく自分でお店を持つことなども考えているんですか?

児島

今後のことは何も決めていません。いろんな人とのご縁で決まっていくかなと。いずれはお店を持つのもいいのかなぁとも思いますが、それはまだまだ先なのかも。今のペースが合っていると思っています。

佐藤

なるほど。そうですね。無理に大きくすると、目的を見失うこともありますもんね。

児島

家族、特に子どもたちには、ママが急にスリランカカレーにハマって店まで出して、迷惑をかけて申し訳ないなと思っています。でも、こんな大人がいてもいいんじゃないかなって。何歳でも、好きなこと見つけられるんだと思ってもらえたらいいなと。

佐藤

イキイキしているママが見られるのは、子どもたちにとって絶対いいことですよ!もし店をやってみたいと思っている人がいるなら、今からでも遅くはないから、児島さんのように一歩を踏み出してほしいなと思いました。今日はありがとうございました!

1日店長をはじめる費用

店のレンタル料、食材、備品などの調達費。児島さんの場合は、1日あたり1万8000円のレンタル料を支払っている。店によって異なるので、問い合わせを。

お店を開くために貯金する

「はじめての1日店長」先生の紹介

本日の講師児島麻里子
Instagramhttps://www.instagram.com/getuyou_surilanka/
取材https://www.bs-tbs.co.jp/entertainment/blissfulborrowedcurry/

2017年、旅先のスリランカで食べたスリランカカレーに衝撃を受け、2018年に1日だけのカレー店を開く。その後、毎週月曜日に高円寺にある716cafeで「月曜スリランカカレー」を開いている。ユニークな店舗運営が話題となり、メディアからの取材依頼も多数。

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