【はじめての日本茶】せわしない日々に安らぎを。初心者でも気軽&カジュアルに楽しめる日本茶の世界【はじめてをはじめる #8】

生活

【はじめての日本茶】せわしない日々に安らぎを。初心者でも気軽&カジュアルに楽しめる日本茶の世界【はじめてをはじめる #8】

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皆さん、「日本茶」にどんなイメージを持っていますか?
私はというと、実家ではよく日本茶を飲んでいたものの、自分で茶葉を買ったのは数える程度。種類や産地、農家など何がどう違うのかよくわからないし、ちゃんとした淹れ方もよくわからない……。「日本茶ってなんか難しい」というイメージを持っていました。

そこで今回、日本茶アーティスト/ティーエッセイストの茂木雅世さんにインタビュー! 茂木さんは、日本茶にまつわる企画やプロデュース、コラム執筆など、いろいろな活動をされています。

取材場所は、茂木さんがメニューをプロデュースしたお茶が飲める、「泊まれる映画館・Theater Zzz(シアターズィー)」内のカフェ「CHASURU(チャスル)」。

「Theater Zzz」は東京・墨田区にある、屋内のテントでくつろぎながら宿泊&映画鑑賞ができる話題のスポット! be-topiaでも以前ご紹介しました。

▼【be-topia】グランピング気分で映画鑑賞?泊まれるシアター「Theater Zzz」を貸し切ってみた!
https://be-topia.finbee.jp/hobby/855/

茂木さんに、日本茶の種類ごとの違いや選び方、初心者が家で日本茶を淹れる際のコツなど、たっぷりお話を伺いました!

「いつものお茶」に心を大きく揺さぶられ、日本茶の道を志す

中村

プロを前にして言いにくいんですが、日本茶って難しくて取っつきにくいイメージがあるんですよね……。

茂木

うちは母が日本茶を好きだったので、小さい頃からよく飲んでいましたが、やっぱり「難しい世界」というイメージはありましたね。パッケージを見ても何が違うのかわからなくて、はじめのうちはなんとなく選んでいました。

中村

茂木さんもそうだったんですね……! 日本茶を仕事にしたのは、何かきっかけがあったんですか?

茂木

仕事が忙しくて体調を崩していた時、タンブラーに入れて持ち歩いていた日本茶を出先で飲んだら、ものすごくおいしく感じたんです。涙するくらい感動して、「がんばろう」と前向きな気持ちになれました。いつも当たり前に飲んでいたお茶なのに、不思議ですよね。

中村

体調が悪かったり気持ちが落ち込んだりしていると、ちょっとしたことにすごく力をもらえますよね。

茂木

「私にとって日本茶は、こんなにも心を揺らしてくれる飲み物なんだ」と改めて感じて、日本茶をもっと追求したいと思いました。それで、仕事をやめて「日本茶アーティスト」としての活動をスタートしたんです。

中村

どんな活動をされてきたんですか?

茂木

はじめのうちは、アルバイトで生計を立てながら小さなギャラリーを借りて、無料で日本茶をふるまう活動をしていました。そこから徐々に大きなイベントや展示会に声を掛けていただけるようになって、最近は日本茶にまつわる企画やプロデュース、コラム執筆、ラジオDJなど、幅広いお仕事をしています。

緑茶やほうじ茶、玄米茶も元はすべて同じ茶葉

中村

緑茶やほうじ茶、玄米茶などいろいろありますよね。違いを教えてください!

茂木

元の茶葉はすべて同じでも、発酵の程度や製法によって違いが出るんです。
発酵させずに作ったのが緑茶で、半発酵させると烏龍茶になり、全発酵で紅茶になります。

中村

元の茶葉は全部一緒なんですね! 知らなかった……!

茂木

ほうじ茶は緑茶をほうじた(炒った)ものです。古くなったお茶はフライパンなどで炒ると、香ばしさが出ておいしいほうじ茶になりますよ!
玄米茶は緑茶に玄米を加えたもので、いわば日本のフレーバーティーのようなものですかね。

中村

高級品としてよく耳にする「玉露」はどんなお茶なんですか?

茂木

茶葉を摘む前におおいをかけて、日光をさえぎって作るお茶です。お茶の旨味成分「テアニン」は、日光を浴びると渋み成分の「カテキン」に変化するんです。おおいをかぶせることで旨味成分を引き出します。
ちなみに、おおいをかぶせる日数が玉露よりも短いのが「かぶせ茶」です。

中村

玉露の値段が高いのは、手間をかけて丁寧に作っているからなんですね。
茶葉自体にも、いろいろと種類があるんでしょうか?

茂木

そうですね! お米と同じで「やぶきた」「あさつゆ」などたくさんの品種があります。いろいろな品種を作っている農家もあれば、そうでないところもあります。桜もちのような香りがほんのりする品種やマスカットのような品種、どことなくえだまめのような味わいを感じる品種……。色々あるので自分の好みの味わいを探してみるのもいいかもしれません。

中村

なるほど……「種類」による味の違いはイメージできますが、「品種」による違いは見極めが難しそうですね。どんな軸で茶葉を選んだらいいのか……。

茂木

最初のうちはあまり難しく考えず、パッケージのデザインや「この前旅行に行った場所のお茶を買おう」など、気軽に選んでいただくのがいいと思います。
最近はスーパーの日本茶もおいしいものは多いですし、昔ながらの町のお茶屋さんをのぞいてみるのも楽しいですよ!

自分好みにカスタマイズ!プロが教える日本茶の淹れ方

中村

日本茶をおいしく淹れる方法を教えてください!

茂木

わかりました! 最初にお伝えしておきたいんですが「おいしい」と感じるお茶は人それぞれ違うんです。苦いお茶が好きな人もいれば、薄めのお茶が好きな人もいます。正解がないのが日本茶の魅力です。
これからお伝えする淹れ方はあくまでも一例なので、何度も淹れるうちに自分の好みの味を出せる淹れ方を、ぜひ見つけてみてくださいね!

急須選びのポイント

茂木

まずは急須の選び方について。ポイントは、茶葉が開きやすいかどうかです。
取り外し可能な網がついている「かご網」タイプは茶葉が開きにくいこともあるので、できればかご網ではない急須のほうがいいかもしれません。もしかご網を選ぶなら、なるべくかごが大きく深いものを選びましょう。手ごろなものであれば、2〜3,000円くらいから買えますよ。

茂木さんの急須。注ぎ口に陶器の網がついていて、急須の中で茶葉がしっかり開く。

中村

茶葉が開くものを選ぶといいんですね。
茂木さんの急須、あまり見ないデザインで素敵ですよね。こんなおしゃれな急須もあるんですね!

茂木

これは丹下悦子さんという陶芸家の方が作った急須なんです。自宅には他にもいくつか急須がありますが、来客時やちょっといいお茶を飲む時にはこの急須を使うことも多いです。
作家物のおしゃれな急須も実は多いので、お気に入りを見つけるとより日本茶ライフを楽しめますよ!

お湯を沸かし、適温に冷ます

茂木

では、実際に淹れていきましょう!
まずはお湯を沸かします。緑茶に適しているのは軟水ですが、日本の水道水は軟水なので水道水で大丈夫です。
沸騰したら、お湯を少し冷まします。私は「湯冷まし」という器にお湯を移して冷ましていますが、マグカップや湯呑みでも構いません。

中村

どのくらい冷ませばいいんでしょうか?

茂木

お茶の種類にもよりますが、70〜80度くらいでしょうか。お湯の温度を測れる道具を持っている方は少ないと思うので、そこまで厳密じゃなくてOKです!
私は湯冷ましに触れた時の温度や、手をかざした時に手のひらにあたる湯気の感じで「だいたいこのくらいかな?」と見極めています。

中村

温度の見極めが難しそうですね……。

茂木

器に移すと5〜10度くらい冷めると言われているので、ひとつの目安にしてみてください。
あとは、お湯の温度が高いと、トゲトゲした感じの味になってしまうお茶もあるんです。まずは一度淹れて味を見てみて、「少しお湯が熱かったかな?」と感じたら次はもう少し冷ましてみる、というように調節していくといいですよ。

茶葉を淹れた急須にお湯を注ぎ、蒸らす

茂木

次に、茶葉を入れた急須の中に、用意したお湯をすべて注ぎきります。そして、蓋をして蒸らします。

中村

茶葉の量や蒸らし時間の目安はどのくらいですか?

茂木

パッケージの裏に淹れ方が書かれていることが多いので、その分量を目安に淹れてみましょう。
平均的な目安としては「1人分:3g/蒸らし:60秒間」です。1人で飲む時は少し多めの5g程がおすすめ。もしパッケージに淹れ方の記載がない場合はこの分量を参考に淹れてみてください。

中村

グラム数を計るものがない場合はどうすればいいんでしょうか……?

茂木

茶葉によって差はありますが、おおよそカレースプーン1杯=約5gと言われています。茶葉の量や蒸らし時間も、何度か淹れるうちに自分好みの分量に調節していきましょう。

最後の一滴まで注ぎ切る!

中村

蒸らし終えたら注いで完成ですね! 注ぐ際に気を付けるポイントを教えてください。

茂木

複数の湯呑みに注ぐ場合は、お茶の濃さが均等になるよう、それぞれの湯呑みに少しずつ注いでいきましょう。
ここで一番重要なのは、最後の一滴までしっかりと注ぎ切ること。これをやるかやらないかで、味がかなり違ってくると思います。ずっと急須を持ち上げていると腕が疲れてきますが(笑)、そこは耐えてしっかりと注ぎ切りましょう!

急須をゆっくり切りながら、最後の一滴までしっかりと抽出!

中村

お湯の温度や茶葉のグラム数を計るものがないとダメなのかな……と思っていましたが、そこまで厳密じゃなくてもいいんですね!

茂木

もちろん「きっちりと温度やグラム数を測って淹れるのがいい」という考えの方もいますが、私個人としては自分の好みの淹れ方にカスタマイズして、自由に楽しむのがいいんじゃないかな、と。
同じ茶葉でも、お湯の温度や蒸らす時間を少し変えるだけで味が変わるんです。そのゆらぎを楽しんでいただきたいですね。

パケ買いもアリ!オンライン購入可のおすすめ日本茶専門店

中村

はじめて日本茶を買うのにおすすめの専門店を教えてください!

茂木

わかりました! おすすめがたくさんあり過ぎて紹介しきれないのですが(笑)、パッケージデザインが個性的で、オンラインでも購入できる専門店を3つご紹介しますね!

シングルオリジン日本茶を扱う「煎茶堂東京」

茂木

煎茶堂東京は、日本全国の「シングルオリジン=単一農園・単一品種の品種茶」を扱うお店です。銀座に直営店があり、三軒茶屋には店内で飲食ができる「東京茶寮」があります。いろいろな品種のお茶を販売していて、パッケージデザインも素敵です!

茂木

煎茶堂東京は日本茶のサブスクサービスもやっているんです。日本茶に関する情報が載っている冊子+茶葉が毎月送られてきます。
煎茶堂東京さんのほかにも、サブスクサービスをやっている日本茶専門店は増えてきているんです!

中村

いろいろな日本茶が楽しめるサブスク、いいですね!

▼煎茶道東京
https://www.senchado.jp/

加賀棒茶(ほうじ茶)で有名な「丸八製茶場」

茂木

丸八製茶場は、石川県を中心に全国に5店舗を構える日本茶専門店で、お茶の茎の部分のみを集めて煎じた「加賀棒茶(ほうじ茶)」が有名です。

 
 
 
 
 
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茂木

「加賀いろはテトラシリーズ」は、ティーバッグタイプの商品です。九谷焼のブランド・KUTANI SEALとのコラボ商品で、ポップでかわいらしいパッケージデザインなので、プレゼントにもおすすめですよ。

中村

茶筒タイプの商品なら、ティーバッグを飲み切ったあとに茶葉を入れるのにも使えそうですね!

 
 
 
 
 
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▼丸八製茶場
https://www.kagaboucha.co.jp/

くせになる個性的な味わい「うおがし銘茶」

茂木

うおがし銘茶は、東京・築地の日本茶専門店です。「万人受けするお茶よりも、くせになるような個性的なお茶をつくること」を大事にしていて、どのお茶もどこか「うおがしっぽさ」を感じるような特徴的な味わいなんです。

 
 
 
 
 
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茂木

パッケージも個性的で、一見して「あ、これはうおがしのお茶だな」と感じるものが多いのも魅力ですね。

中村

独特なタッチのイラストが素敵ですね!

 
 
 
 
 
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▼うおがし銘茶
https://www.uogashi-meicha.co.jp/

せわしない日々に「何もしない時間」を作れるのが日本茶の魅力

中村

茂木さんが思う日本茶の魅力を教えてください。

茂木

「何もしない時間」を作れるのが、日本茶の魅力だと思います。
今って、すきま時間にはスマホでツイッターを見たりネットニュースを読んだり……何もしないでぼーっとする時間がかなり少ないんですよね。

中村

たしかに、家でも外でも気付いたらスマホを触ってしまっていますね……。

茂木

急須で日本茶を淹れるのって、お湯を沸かして冷まし、茶葉を蒸らして……と手間がかかります。他のことは考えずに日本茶と向き合う時間は、私にとっては日常の中の句読点のような位置付けなんです。何もせずにお茶と向き合い、自分とも向き合う。そんな時間が作れるから、日本茶を飲み続けているんだと思います。

中村

忙しい時や考え事で頭がいっぱいな時に、ふと立ち止まれる時間を作るのって大事ですよね。

茂木

ぜひ洋服や音楽を選ぶようなカジュアルさで、「この日本茶を飲んでみようかな」と気軽に手にとってみてください。
お茶と向き合う時間を気に入ったら、「別の産地のお茶も飲んでみよう」「専門店に行ってみようかな」と、徐々に興味の幅を広げていっていただけたらと思います。日本茶のある暮らし、いいですよ!

日本茶をはじめる費用

急須2,000円〜
茶葉100g/500円程度〜 ※茶葉により異なる

はじめての日本茶 先生の紹介

本日の講師茂木 雅世
Twitterhttps://twitter.com/ocharock
Instagramhttps://www.instagram.com/moki98per/
公式HPhttps://ocharock.amebaownd.com/

ティーエッセイスト/煎茶道東阿部流師範/日本茶アーティスト。
お茶好きが高じて、2009年仕事を辞めてお茶の世界へ。2010年よりギャラリーやお店で急須で淹れるお茶をふるまい始め、現在はお茶にまつわるモノ・コトの企画・プロデュース・執筆・メディア出演等の活動を行う。日本唯一のお茶専門プログラム・FMyokohama「NIPPON CHA茶CHA」ではDJとして最新のお茶情報を発信中。

取材協力

店名:「Theater Zzz」内カフェ「CHASURU」
住所:東京都墨田区石原1丁目18−7
電話番号:03-6456-1435
公式HP:https://theaterzzz.com/

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