イギリス生まれのバスケ姉妹競技「ネットボール」に熱狂せよ【マイナースポーツ特集#54】

趣味

イギリス生まれのバスケ姉妹競技「ネットボール」に熱狂せよ【マイナースポーツ特集#54】

趣味

1890年代に女性向けのバスケットボールとして生まれ、世界70か国以上でプレイされるボールスポーツが「ネットボール」です。スピーディなゲーム展開と女性ならではの華やかなプレイが人気を集め、世界中で2,000万人ものプレイヤーが熱狂しています。

そのネットボールにおいて、2018年に高校生プレイヤーとしてアジア選手権に、2019年には日本代表キャプテンとしてアジアユース選手権に出場した各務玲衣選手。日本を代表するネットボールプレイヤーとして世界と戦う各務選手に、ネットボールの魅力と未来についてお伺いしました。

ネットボールはイギリス生まれの女性向けバスケットボール

――ネットボールとはどのようなスポーツでしょうか?

各務

1890年代に女性向けのバスケットボールとして生まれた競技です。コートの両サイドにあるゴールへボールを入れ得点を獲得していきます。見た目はバスケットボールと似ていますが、ネットボールの特徴として大きく3つの違いがあります。

――どのような違いがあるのでしょう?

各務

1つめはドリブルがない点です。ネットボールではボールの移動はすべてパスで行われます。ボールをもらっても2歩までしか歩けず、バスケのようにドリブルで進んだり、ラグビーのように走って進んだりもできないので、ピボット(固定した片足を軸にして回る行為)しながら仲間にパスをつながなければなりません。ただしボールを持ったら3秒以内に手放さないといけないので、バスケよりも速いテンポでパスを回す必要があります。

――2つめの違いとは何でしょうか?

各務

プレイヤーの役割が明確に決まっている点です。ネットボールは7対7で争うスポーツで、7人それぞれにポジションが割り当てられています。そのポジションによって、三分割されたコートの中で動ける範囲が決められる上、シュートを打てるのは7人中2ポジションだけに限定されます。

――3つめの違いは何でしょうか?

各務

ボールを持っているプレイヤーとの距離です。ネットボールでは接触するプレイが禁止されていて、ボールを持っているプレイヤーの周囲90cmに入ってはいけません。ボールを持ったプレイヤーの軸足とディフェンスするプレイヤーの足が90cm離れていればいいので、手を伸ばす分にはいいのですが、直接接触してはいけないため、叩かれてケガをするリスクはかなり少ないです。

――選手交代の制限はありますか?

各務

1試合は15分4クォーターで行われ、クォーター間の選手交代は自由です。1チーム12名で構成されていて、一度に交代できる人数の制限はありません。一気に控えの5名全員を出してもよく、また一度ベンチに下がった選手も再出場できます。

またプレイ中にケガや急激な体調悪化などがあり、プレイ続行が難しい場合には、選手が審判に交代を自己申告することで、クォーター中の交代が認められます。

4年に一度の世界選手権、トップはオーストラリアとニュージーランド

――イギリスで生まれたスポーツとお伺いしました。現在ネットボールが盛んにプレイされている地域や国はどちらでしょうか?やはり一番はイギリスですか?

各務

それがイギリスじゃないんですよ。ネットボールには世界ランキングがあり、1位がオーストラリアで2位がニュージーランド。3位にイギリスが入り、その後はジャマイカ、南アフリカなどが続きます。アジアだとスリランカ、シンガポール、香港、マレーシアが上位4か国です。

世界選手権は、ほとんどオーストラリアとニュージーランドの2国で優勝が争われています。

――トップはイギリスではないんですね!

各務

オーストラリアにはプロリーグがあり、世界各国から強い選手が集まってきますね。現在プロリーグの制度があるのはオーストラリアだけです。コロナ禍においても、無観客で行った試合をYouTubeで公開したりといった活動が続けられています。

――世界選手権があるというお話でしたが、どれくらいの頻度でやっているのでしょう?

各務

世界選手権は4年に一度行われています。前回は2019年に行われました。アジアからはアジア選手権で1位2位になった2か国が出場していて、スリランカとシンガポールが出場しました。ただこのアジアトップの2か国が、世界選手権では最下位近くの成績で終わったほど、世界全体とアジアのレベル差は大きいのが現状です。

ネットボールに必須の能力なし!自分にあったポジションで活躍

――ネットボールというスポーツをプレイする上で、各務選手から見て必要な能力はなんでしょうか?

各務

ネットボールに特別な能力が要るかといったら、そんなことはありません。7つのポジションは求められる役割がそれぞれ違うので、自分のスタミナやパワーに合ったポジションで活躍できます。

――自分にあったポジションを選べるのはいいですね!

各務

身長が高いけれどあまり走れないならゴールを守るゴールキーパー。体力に自信があって走り回りたいならすべてのコートを移動できるセンター。どんどん点を取って目立ちたいならシュートができるゴールシューター、ゴールアタックなど、チームメイトと相談をしてぴったりのポジションを選ぶとよいですね。

引用:日本ネットボール協会

――ちなみに各務選手はどのポジションですか?

各務

私は基本的にディフェンスです。はじめて間もない時に「まずひとつのポジションをマスターしろ」と言われて始めたのがゴールディフェンス(GD)でした。そこから自然とゴールキーパー(GK)をできるようになり、さらにディフェンスの一環としてウィングディフェンス(WD)の動きも覚えています。

――ディフェンスのスペシャリストですね!

各務

ところがアジアユース選手権に出たときにセンター(C)をできる人が誰もいなかったので、経験面から私がやることになりました。また現在所属している大学のチームでは体力が必要なゴールアタック(GA)をできる人が少ないので覚え、同時にゴールシューター(GS)もできるようになって……と、いつの間にかすべてのポジションができるようになりました(笑)。

基本的にはディフェンスの方が得意です。

――他のスポーツの経験が大きなアドバンテージになりますか?

各務

コート競技なので、バスケやサッカーをやっていると、視野が広がっていい点はあります。ただ、他の競技の経験が役に立つかといったら、必ずしもそうとは限りません。

――かえってマイナスになることもあるんでしょうか?

各務

ネットボールのゴールはバスケに似ていますが、バックボードがないんですね。ゴールの見た目は、玉入れのカゴの底なし版のような感じです。そのためバスケ経験者の中には、バックボードがないとシュートが入らないという人もいます。またドリブルが禁止なので、ボールを受け取ったらクセでドリブルをしてしまう人も多いです。

――姉妹スポーツなのに、求められる動きが全然違うんですね!

各務

そうなんです。それなので他の球技の経験があっても、私のようにコート競技の経験が無くてもスタートは一緒です。どちらであってもネットボールの練習を続けていけば、ネットボールに必要な技術が身について、1年後には見違えるようなネットボールプレイヤーになりますね。

――ネットボール特有の動きが体に染みついていくんですね。思わず日常生活で出てしまうような動きはありますか?

各務

私は普段、学童保育でアルバイトをしています。子どもたちと一緒にドッジボールで遊ぶときに、ボールをキャッチした流れで2歩まで自然に歩いてしまいます。また逆にドリブルをするクセがまったく無いので、他の人がボールをキャッチした後にドリブルをしたくなる場面でも、私だけしません(笑)。

――確かに、ボールを持ったらついドリブルしたくなりますね。

各務

実は内心、ドリブルはかっこいいと思ってたりします。ネットボールの練習をしていて、休憩時間にバスケ経験者の子たちがドリブルをしているところを見ると、かっこいいんですよね(笑)。

初めての練習は5人だけ!今では20人超えのチーム設立

――各務選手はいつ頃、どんなきっかけでネットボールをはじめたのでしょうか?

各務

はじめたのは高校1年生の冬です。私の母の母校である日本体育大学の先輩が、今のネットボール協会の理事長をやってらっしゃる方で、その方と一緒に日体大の体操演技会を観に行ったんです。その時に「部活動をやっていないならネットボールをやりなさい!」と勧誘されて、練習会に参加することになりました。

――お誘いは突然ですね。実際に参加してみてどうでしたか?

各務

初めて練習に参加したときは、ちょっとびっくりしました。ネットボールは7対7でやるスポーツなのに、私と弟を含めて全員で5人しかいなかったんです!なのでネットボールはどんなスポーツなのか、最初はまったくイメージが沸きませんでした。

――いきなり先行きが不安ですね!

各務

しかし人数が少ない分、じっくり時間をかけて教えていただけたので、基礎を身につけられたと思います。覚えないといけないことはたくさんありましたが、その一つひとつが新鮮で面白くて。絶対私の友だちが知らないスポーツを覚えたと思ったので、自分がマスターして教えてあげたい!という気持ちで楽しめました。

――第一印象は好感触だったんですね。

各務

はい。私は水泳にソフトボール、陸上、ダンスと、ずっとスポーツはやっていたんですが、ずっとやりたかったミニバスは家庭の事情でできなかったんですね。だからこそ、同じコートスポーツであるネットボールに興味が引かれたのかもしれません。

――5人での練習から日本代表になるまでの道のりは大変だったんじゃないですか?

各務

当時は今よりもずっとネットボールの知名度が低かったんですが、そんな中でも70歳超えの理事長が自らマイクロバスにボールやゴールを積んで、東京や神奈川、千葉などにネットボールの出張体験会に行っていました。私はそれにしょっちゅうくっついていったんですが、私も初心者なのに教える側に回されちゃって。いきなり模擬試合やデモンストレーションをやれと言われて、不安で仕方なかったです。

――それはなかなかハードな体験ですね……!

各務

帰りのバスの中では「こんなのわからないよ」と一人で振り返ってましたね(笑)。でもそういった体験会を繰り返していくうちに、ネットボールへの理解はどんどん深まっていきました。教える分だけ成長できたので、自分のプレイにもいろいろなものを取り入れられるようになりました。

――結果としては、いい環境に囲まれてたんですね。

各務

はい。高校3年間は、理事長のチームである群馬県安中市のクラブチームで教えてもらいました。その後大学に入るにあたって、チーム数を増やすことがネットボールの発展にも繋がると思い、自分で『MIC's Netball Team』というチームを設立したんです。

――自分でチームを作ったんですか!すごい!立ち上げはスムーズでしたか?

各務

やっぱり大学では、ネットボールを知っている人は本当に誰もいませんでした。正直大丈夫かなという不安はあったんですけど、同じ高校から進学した子と二人で勧誘して、なんとかメンバーを集めました。今は就職活動やコロナの影響で集まれるメンバーは少ないですけど、20人以上が在籍しています。

――スタートは5人での練習だったのに、自力で20人のチームに行き着くとはすごすぎます……!チームが増えると練習試合もできていいですね。

各務

群馬県の大学には、日本で初めて設立されたネットボールのチームや、理事長の教え子さんが作ったチームなど、いくつかのチームがあります。それらのチームのメンバーと一緒に、安中のクラブチームで練習したりもしています。コロナ禍に入る前には、都内の方から練習に来ている人たちもたくさんいました。

――溢れるバイタリティに驚くばかりです!そんな各務選手がネットボールに”ハマった”瞬間はどんなときだったんでしょう?

各務

12か国が参加したアジア選手権で、過去最高順位の7位になったときです。当時私は高校生でまだまだ未熟でしたが、7位決定戦の試合にも出場していました。その勝った瞬間はみんながワーッと集まって大喜びしたんですが、そこに貢献できたのがうれしくて、ネットボール最高!って心の底から思いました。

――勝利の喜び、しかも日本最高順位となれば格別ですね!

各務

ただ最近はちょっと気持ちが変わってきていて。自分が紹介してネットボールをはじめた子がシュートを入れて喜んでいる姿とか、試合に勝って喜んでいる姿をみるとうれしくなっちゃいますね。

自分が教えるまではネットボールを知らなかった子が、ネットボールに楽しさを見出してくれている姿を見るだけで「ネットボールやっていてよかった!」「ネットボールの普及に貢献できた!」と思うようになりました。

課題はプレイ人口の増加!熱狂ファン増加に向け体験会に注力

――現在全国にはどれくらいのチームがあるのでしょうか?

各務

最近の全日本選手権に出場したのが、女子8チームに男子5チームです。

――男子のチームもあるんですね。国内のプレイ人口はどれくらいでしょうか?

各務

1チームをだいたい12人として、男女合計13チームと関係者の方を足すと200~300人くらいかなと思います。今の規模ですと、ネットボールをやっている人は全員顔見知りですね(笑)。

――顔見知りが多いことにはメリットが多そうです。

各務

全員顔見知りですと、繋がりを活かして大会などを発展させやすい面はあります。ただもっと大きく発展させていくには、ネットボール自体を知っていてプレイする人を増やさないといけないと思っています。

少ない人数だからこそ楽しい面もあるんですけど、ゆくゆくはオリンピック競技にもなって欲しいので、知名度アップは大きな課題ですね。

――各務選手はこれまで体験会で全国を飛び回るなど、普及にも尽力されています。その各務選手から見て、日本のネットボール会をどう盛り上げていきたいと思いますか?

各務

今はコロナ禍ということもあって、みなさん携帯やパソコンを見る時間が増えたと思うんです。なのでSNSなどを活用し、ネットボールっていうワードを知ってもらえるようにしていきたいです。

また大会で結果を残してメディアに取り上げてもらうのはもちろん、今後も継続して体験会にも力を入れていきます。

――実際に体験会に参加してみて、手応えを感じる部分はありますか?

各務

ネットボールの体験会に参加してくれた人が「楽しかった!」と言いながら帰っていく姿を見ると、本当にうれしくなりますね。そういった声を聞きたくて毎回体験会に参加しているのもありますし、実際に体験会参加後にチームに入ってくれた人もいます。

ネットボールははじめてプレイする人でもすぐに楽しめるスポーツなので、これからも実際にプレイしてもらう体験会は続けていきたいですね。

運動着と体育館シューズでOK!ネットボールにチャレンジしよう!

――ネットボールに興味が出てきたら、まず何をやればいいでしょうか?

各務

最初はネットボールというスポーツ自体のイメージがつきにくいと思いますので、YouTubeなどで動画を見ていただきたいです。スピーディで迫力がありますし、女子選手のユニフォームはワンピースで華やかですので、見て楽しんでいただけると思います。

――確かに華やかさはとても感じます!実際にプレイしてみたいと思った人は、どんな始め方があるでしょうか?

各務

私のFacebookやInstagram、協会のFacebookにご連絡いただけましたら、近くでネットボールをプレイできる場所をご紹介したり、出張体験会で一緒にプレイしていただいたりといったご案内をいたします。道具も無いし人数も足りないと思いますので、まずはご連絡いただければと思います(本ページ末尾に連絡先情報あり)。

――最初にプレイするときに、何か用意した方がいいものはありますか?

各務

ご自分が動きやすい服装と、体育館でプレイするための体育館シューズがあればいいですね。また屋内は暑いので、お水やタオルもご用意いただけるといいと思います。あとはネットボールもバスケのように手を使う競技ですので、ケガをしないように爪のチェックがあります。参加される前に短く切っておいていただくと、すんなり参加できるかと思います。

――靴は体育館シューズでいいんですね。

各務

全然大丈夫です!みんな最初は体育館シューズから入っています。やっているうちにネットボールを本気でやりたくなった人は、「そろそろバスケットシューズ買おうかな」と言い出します(笑)。ネットボール専用のシューズもあるんですけど、日本では売っていない上に通販ではかなり高額です。そんな高いシューズでなくてもいいので、自分の足に合った靴を選んでいただくのがいいと思います。

――最後にこの記事を読んでネットボールに興味を持った方にメッセージをお願いします。

各務

ネットボールは球技経験があってもなくても、運動が得意でも苦手でも、背が高くても小さくても簡単にはじめることができます。最初は不安かも知れませんが、それはどのスポーツでも同じです。ネットボールは本当に楽しくて素晴らしいスポーツだと思います。ぜひ一緒にプレイしたいと思っていますので、もし興味がありましたらぜひご連絡下さい!

ネットボールを始めるのにかかる費用

スポーツウェア3,000円~
屋内用スポーツシューズ3,000円~
爪切り500円~

 

ネットボールを始めたい時の連絡先

各務選手のFacebookhttps://www.facebook.com/rei.kagami.5661
各務選手のInstagramhttps://www.instagram.com/maeilty93/?hl=ja
日本ネットボール協会のFacebookhttps://www.facebook.com/jna.netball/

貯金をして挑戦する!

人気記事Ranking
  • 月間

  • 週間

  • すべて

menu

したい・ほしいを探す

したい・ほしいを叶える