時速180kmのアクロバティック飛行!全世界100万人が熱狂する「ドローンレース」の魅力【マイナースポーツ特集#53】

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時速180kmのアクロバティック飛行!全世界100万人が熱狂する「ドローンレース」の魅力【マイナースポーツ特集#53】

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遠隔操作や自動操縦によって飛行する無人飛行機「ドローン」。最近では、東京オリンピックの開会式でドローンを使った演出が話題になりましたよね。

そんなドローンを操縦してスピードを競う「ドローンレース」という競技がいま、世界各国で人気を集めています。2018年に第1回目のドローンレース世界選手権が開催され、ドローンレーサーの白石麻衣さんが日本代表チーム初の女性パイロットに選ばれました。

今回は、女性ドローンレーサーの第一人者である白石さんに、ドローンレースの魅力や今後の目標などを伺いました。

時速180kmのドローンがタイムを競うスピード競技

――まずはドローンレースがどのような競技なのか教えてください。

白石さん

基本的には、コース上に設置された障害物やゲートなどを通り過ぎながらゴールまでのタイムを競うスピード競技です。

レース中は、ドローンの速度が時速180kmを超えることもあります。

――時速180kmも…!!

白石さん

スピード競技という意味では、モータースポーツに似てますね。モータースポーツ同様、クラッシュをすることもありますし。

――クラッシュがあるんですね。

白石さん

はい。ドローンが地面やゲートに激突するだけでなく、ドローン同士のクラッシュもあります。

ドローンレースの場合、人が乗っていないのでクラッシュもエンターテインメントとして楽しめるんですよね。機体が壊れちゃうので操縦者はつらいのですが……。見ている側は迫力がありますよ!

――レースではどのようなドローンが使われるんですか?

白石さん

プロペラの直径が5インチ(12.7cm)のドローンが多いです。機体全体の大きさは約30cm、重さは400グラム前後が多いと思います。

――操縦方法やドローンの大きさでレースの種類が分かれているんですよね。

白石さん

そうです。まず、自分の目でドローンを見ながら操縦する「目視ドローンレース」と、ゴーグルをつけてドローン視点で操縦する「FPVドローンレース」の2種類に分かれます。

そして、FPVドローンレースのなかにサイズのジャンル分けがあります。5インチのドローンレースや、手のひらサイズのドローンで行うマイクロドローンレースというのもあります。最もメジャーなのは5インチのドローンレースですね。

競技人口は全世界で100万人!年齢制限なしで競技できる

――レースの出場には資格が必要ですか?

白石さん

FPVドローンレースの出場には、アマチュア無線4級以上の資格が必要です。

――年齢制限はあるのでしょうか。

白石さん

年齢制限はありません。が、アマチュア無線4級以上の資格を取るためには、小学校3年生以上じゃないと試験の理解が難しいかもしれません。

ただし、アマチュア無線4級以上の資格取得は国内だけのルールなんですよね。海外では5歳の子どもがドローンレースをしています。

――子どもでも楽しめる競技なんですね。競技人口は?

白石さん

競技人口は全世界で約100万人くらいですね。日本では約3000人と言われています。

――世界ではどこの国が強いんですか?

白石さん

アジアでは断トツで韓国が強いです。いま世界最速と言われている選手も韓国にいます。

あとはアメリカやヨーロッパ諸国も強いです。

――日本は世界でどれくらいのレベルに位置づけられているのでしょうか。

白石さん

世界的に見たら真ん中くらいですね。でも日本で一番速いキッズの選手は、世界の強豪国のキッズと同等レベルで戦えます。

「鳥になったような感覚を味わえる」のがドローンレースの魅力

――白石さんがドローンに興味を持つようになったきっかけは?

白石さん

ドローンを持って世界中を旅した夫婦「ハネムーントラベラー」の動画を見たのがきっかけです。自分も旅行にドローンを持っていきたいと思いました。

――その動画を見て、ご自身でドローンを購入したんですか?

白石さん

いや、いまの旦那さんと付き合っているときに、1万円くらいのおもちゃのFPVドローンをプレゼントしてもらったんですよ。それを使い始めてからハマりましたね。その後、大きなドローンを購入しました。

――そこからドローンレースにも興味を持ち始めた、と。

白石さん

はい。FPVドローンでアクロバティックな映像を撮影した「フリースタイル」というジャンルの動画を見て、すごい衝撃を受けて。

自分でもその動画を撮りたいと思って調べていたら、日本でフリースタイルをやっている人を見つけて、SNSで直接コンタクトを取ったんです。

――すごい行動力……。

白石さん

そしたらその人に、「英語が喋れるなら、宮城で行われるドローンレースの大会に通訳として来てもいいよ」と言ってもらったので、通訳として大会に参加しました。

その大会でアメリカ人の女性ドローンレーサーが活躍している姿を見て「女性でもできるんだ、かっこいいな」と思い、本格的にドローンレースを始めたんです。

 ▲白石さんが撮影したフリースタイルの映像

――ドローンレースのどんなところに魅力を感じますか?

白石さん

ドローンを飛ばしているときのスピード感や爽快感ですね。

カメラ越しではありますが、鳥になったように空を飛んでいる感覚を味わえるのも魅力です。

――逆に厳しさや難しさを感じることは?

白石さん

始めることへの難しさは感じます。最初はわからないことだらけだし、周りにドローンレーサーがいるというケースも少ないと思うので。

あとは練習場所が少ないことですね。機体を手に入れて飛ばせるようになっても、練習できる場所がなくて困る人が多いです。

――どこでも飛ばせるわけじゃないんですね。

白石さん

200グラム以上のドローンを飛ばすためには、国土交通省の航空法の規制をクリアしないと飛ばせません。

それに時速100km以上も出る機体を街中で飛ばすのは危ないので、広い場所に行って練習しないといけないんですよね。

――なるほど。そうなると練習場所は限られてしまいますね。

白石さん

そうなんです。だから車や電車で移動しているときには、ドローンを飛ばせる場所を無意識に探してしまいます。

広い野原にいい感じの木が生えているような場所を見ると「いまのところドローンを飛ばせるかも!」と思って、グーグルマップに目印をつけておきますね。

日本代表初選出時は「何が起きたのかよくわからなった」

――2018年には、日本代表チーム初の女性パイロットとしてFAIドローン世界選手権に出場しています。日本代表に選ばれたときは驚きましたか?

白石さん

日本代表に選ばれたとき、最初は何が起きたのかよくわからなかったんです(笑)。

ある日突然メールで「日本代表に選ばれました。大会に参加しますか?」と知らされたので。

――えっ!選考会とかはなかったんですか?

白石さん

そのときは選考会で代表候補に選ばれたりとかではなかったんです。それまでのレースのタイムなどで判断されたみたいで。

だからメールが来た段階ではよくわかっていなかったのですが周りの人に「正式に日本代表に選ばれたんだよ」というのを教えてもらい、「せっかくのチャンスなので参加します」と返答しました。

――そうだったんですね。これまで印象的だったレースはありますか?

白石さん

2018年に行われた第1回目の世界選手権ですね。コースのすべてがLEDで装飾されていて、そこをドローンで駆け抜けていくと自分がワープゲートを飛んでいるような感覚になりました。

――ドローンレーサーとして一番うれしかった出来事は何でしょうか。

白石さん

レースで優勝したときです。でもうれしさだけじゃなく、ちょっと悔しさもあって。

――悔しさも?

白石さん

はい。私より速くて実力が上だった選手がミスをしたことで、私が優勝できたんです。

優勝してとてもうれしかったけれど、実力で勝っていないので悔しさもありました。

――なるほど。じゃあ心の底から喜べる感じではなかったんですね。

白石さん

そうなんです。だから何かしらの大会で、もう一度きっちり優勝したいという想いはありますね。

2017年に、ドローンコミュニティ「Wednesday Tokyo Whoopers(WTW)」を設立

――普段はどのように練習しているんですか?

白石さん

実際にドローンを飛ばすときは、埼玉県坂戸市にある「Racing Drone Field 雄蜂ドローンフィールド」で練習しています。

私が運営しているドローンレーシングチームのメンバーも、そこによく集まっていますよ。

――チームの運営もしているんですね。

白石さん

そうです。「Wednesday Tokyo Whoopers」でつながったドローン友だちで構成されているドローンレーシングチーム(WTW HIVE)をつくりました。

――「Wednesday Tokyo Whoopers(以下:WTW)」とは?

白石さん

毎週水曜日に東京都内で活動しているドローンコミュニティです。ドローンについて情報交換できる人たちとのつながりと練習場所をつくるために、2017年に私が立ち上げました。

私はWTWに来た人たちにたくさんのことを教えてもらったので、その環境がみんなにも行き渡ればいいなと思って活動を続けています。いまはコロナ下なので、オンラインでの開催になっていますけど。

――WTWにはどれくらい人数がいるんですか?

白石さん

フェイスブックのコミュニティに入っているのは900人前後です。実際に東京で練習をするときは、コロナ前は毎回30人前後が集まっていました。

コロナになってからもオンラインで20人前後が集まって、シミュレーターで練習しています。

▲「Wednesday Tokyo Whoopers」のWebサイト

――コロナ前はどこで練習していたのでしょう。

白石さん

都内のカフェが多かったですね。

――え、カフェでドローンを!?

白石さん

そうです。協力してくれるカフェが都内にいくつかあるんですよね。渋谷の「FabCafe Tokyo」さんや、本郷三丁目の「FARO」さんが代表的です。

また、セガの本社ビル内にある「トンネル東京」というシェアオフィスも使わせていただきました。そこではイベントを開いたり、大会を開催したりもしていましたよ。

女性ドローンレーサーの活躍を発信することで、土壌づくりを行っていきたい

――ドローンレーサーとしての今後の目標を教えてください。

白石さん

先ほどお話したように、もう一度大会で優勝したいです。今度は実力で。

そして私が活躍することで、社会人の女性がドローンレーサーとして活躍できるような土壌づくりをしていきたいですね。

――国内の女性ドローンレーサーは少ないんですか?

白石さん

先ほど日本の競技人口は約3000人とお伝えしましたが、そのなかで女性は20人くらいだと思います。

――世界的には?

白石さん

世界的に見ても女性のドローンレーサーはまだまだ少ないです。男性と同じくらい競技人口がいれば、世界のトップ選手のなかに女性も入ってくると思うんですけどね。

――女性の競技人口が増えれば、白石さんのように大会で優勝する人も増えますよね。

白石さん

今年の7月に宮崎で行われた大会では、私のチームの女性が優勝したんです。そのクラスで女性が優勝するのは初めてでした。2位も中学生の女の子だったので、国内では革命的なレースになりましたよ。

――それは快挙ですね!!

白石さん

そうなんです。ドローンレースで女性が活躍したことをどんどん発信して、「ドローンレースは誰でもできるんだよ!」というのを伝えていきたいですね。

興味がある人は、ラジコンショップやドローンのコミュニティに足を運んでみよう!

――ドローンレースはどんな人に向いていますか?

白石さん

好奇心旺盛な人に向いていると思います。何か新しいことを始めたいと思っている人にも向いていますね。

――ドローンを操縦するときに必要な技術や能力はあるのでしょうか。

白石さん

カメラ越しの映像を見ながら操縦しなければならないので、空間把握能力が必要だと思います。あとは動体視力ですね。

――どのように始めたらいいでしょう?

白石さん

近くにラジコンショップやドローンのコミュニティがある人は、とりあえずそこに行ってみるのがいいと思います。

もちろん無線の免許を取りに行くことも必要ですが、それよりもまずは「どういうドローンがあって、どんなことができるのか」を知ることが大切ですね。

――近くにラジコンショップやコミュニティがない場合は?

白石さん

そういう人は、とにかくツイッターを始めてください。

ツイッターにはドローン業界の人がたくさんいるので、ツイッターで「どうやってドローンを始めればいいのかわかりません」とつぶやけば、業界の人が集まってきていろいろと教えてくれると思います。

――揃えるべき道具はありますか?

白石さん

ドローン本体と、プロポと呼ばれるコントローラー、ゴーグル、バッテリーですね。

――初心者用のおすすめセットなどがあればぜひ教えてほしいです!!

白石さん

「Holy Stone(ホーリーストーン)」というメーカーのトイドローンがおすすめです。ドローンとコントローラーが付いていて、操縦の仕方を体感できます。

本格的に始めたい方には、中国のメーカーが出している「BETAFPV」というスターターキットがおすすめです。リーズナブルだし、日本で使うための認定も取れているので。

――認定が取れているなら、初めての方でも安心ですね。

白石さん

あとは、私がプロデュースしている「しろまい paprika コンボ」というセットもあります。

私が使いやすいと思う初心者向けの道具をセットにしていて、電源を入れたらすぐに飛ばせるようになっていますよ。

――費用はどれくらいかかるのでしょうか。

白石さん

安くても3万円以上はかかります。私がプロデュースしているセットは、一番安いので7万円台です。高いものは17万円くらいしますね。

――最後に、ドローンレースを始めてみたい人にメッセージをお願いします。

白石さん

年齢や性別関係なく競える競技で、老若男女が楽しめます。いろいろな人に出会えるのも楽しみのひとつになりますよ。

また、趣味で始めるのはもちろん、今後ドローンで仕事をしたいという人にもおすすめです。産業分野でドローンの需要が伸びてきているので、これからはドローンをうまく扱える人が重宝されるようになると思います。

ドローンレースを始めるのにかかる費用

Holy Stone ミニドローン4,000円~
BETAFPV Cetus FPVキット17,000円~
しろまい paprika コンボ70,000円~

白石さんの連絡先

白石さんのツイッターhttps://twitter.com/namaikicastle
Wednesday Tokyo Whoopershttps://www.wtw.tokyo/

 

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