まさに水上の格闘技!カヌーに乗って行う球技「カヌーポロ」の魅力とは?【マイナースポーツ特集#51】

趣味

まさに水上の格闘技!カヌーに乗って行う球技「カヌーポロ」の魅力とは?【マイナースポーツ特集#51】

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カヌーがぶつかり合う大きな音。あちこちに飛び散る水しぶき。その激しさから「水上の格闘技」と呼ばれている競技があります。その名は「カヌーポロ」。カヌーポロは、敵陣のゴールにボールを投げ入れるために、10人の選手たちが水上で攻防を繰り広げます。

そんなカヌーポロの選手として注目を集めているのが、木村亮太さん。全日本選手権5連覇中のカヌーポロチーム・佐倉インヴァースのエースにしてキャプテン。 カヌーポロ日本代表でもエースとして君臨し、世界選手権では2度も得点王に輝いています。

今回は木村さんに、カヌーポロの歴史や魅力、今後の展望などを伺いました。

ゴール前の攻防がエキサイティングな「水上の格闘技」

――カヌーポロはどのような競技でしょうか?

木村さん

カヌーポロは、1人乗りのカヌーに乗って5対5で試合を行う、バスケットボールとハンドボールを組み合わせたようなスポーツです。

水球用のボールを、水上2mの位置に設置された縦1m×幅1.5mのゴールに入れると得点になります。10分ハーフ、計20分の試合を行い、総得点数で試合の勝敗が決まります。

――試合中、ディフェンス側は必ず1人がキーパーになりますよね。

木村さん

そうなんです。ディフェンスのときは1人がキーパーに入るので、5人のオフェンスに対して、4人でゾーンディフェンスをする必要があります。攻撃側が数的優位になるのが、ほかの球技と異なるカヌーポロの見どころです。

試合中はオフェンスもディフェンスも、相手の船の下に自分の船を入れ込んで相手を動かしながら、ゴール前で優位になるために「陣取り合戦」を行っています。

――ゴール前の攻防は、かなりエキサイティングだと思いました。

木村さん

そうですね。激しい接触が多いことから、「水上の格闘技」とも言われています。

――水上の格闘技……。実際に練習を見たら、そう言われるのも納得です。

木村さん

カヌー同士のぶつかり合いが激しいだけでなく、ボールを持っている選手を手で突き落とす「ハンドタックル」というルールもあり、タイミングよくタックルされると、水中にひっくり返ってしまうんですよね。

他のカヌー種目にはないルールで、この激しさが「水上の格闘技」と言われる理由なのかなと思います。

――プレー中にケガをすることはないんですか?

木村さん

プレー中はライフジャケットやフェイスガードを着用していますし、艇の先端には緩衝材の「バンパー」が付いているので、大きなケガをすることはあまりないですね。

イギリスで発祥し、世界50か国以上で親しまれる

――カヌーポロの発祥についても教えてください。

木村さん

ICF(国際カヌー連盟)のホームページに載っていますが、発祥は19世紀後半のイギリスと言われています。イギリスからヨーロッパとアメリカに広がり、それぞれ独自のルールで親しまれてきたそうです。

その後、1990年に国際ルールが統一されて、現在のカヌーポロのスタイルが確立されました。

――現在は、どれくらい競技人口がいるんでしょう?

木村さん

正確にはわかりませんが、世界50か国以上で競技が行われていると言われています。おそらく、約10万人は競技人口がいるんじゃないですかね。

――日本での競技人口は?

木村さん

日本では、福井県のあわら市で行われる日本最大の大会「あわらカップ」に、約1,000名のプレーヤーが出場しています。

――やはり強いのはヨーロッパのチームですか?

木村さん

そうですね。イギリス、フランス、ドイツ、スペイン、オランダ、イタリアなどのヨーロッパ諸国が強いです。直近の世界大会ではドイツが優勝しています。

――日本は世界的に見て、どれくらいのレベルに位置づけられているんですか?

木村さん

日本代表は現在、世界ランキング16位です。世界選手権に出場できるのが28か国なので、ちょうど世界の真ん中あたりのレベルにいますね。

兄への「憧れ」が、いつしか「やりがい」に

――木村さんがカヌーポロを始めたのはいつ頃でしょうか。

木村さん

小学校2年生のときですね。地元のスイミングクラブにカヌーコースがあったんですが、2人の兄がそこでカヌーポロをやっていて。兄に憧れて、「自分もやりたい!」と思って始めました。

――カヌーポロのどんなところに面白さを感じましたか?

木村さん

自分のひらめきや想像力を活かしてプレーできるのが面白かったですね。カヌーを漕ぐだけでなく、ターンをしたり、ボールを扱ったり……。すべての練習で成長を感じやすく、「やりがい」や面白さがあり、自然と上達していきました。

――徐々に壁を乗り越えていく感覚ですね。小学2年生以降、カヌーポロ以外のスポーツはやっていないんですか?

木村さん

カヌーポロがうまくなりたくて、高校時代には水球もやっていました。水球で千葉県選抜のキャプテンに選ばれたりもしましたよ。

――水球でも活躍されていたんですね!水球の経験はカヌーポロに活かされていますか?

木村さん

水球をやっていたおかげで、他の人よりボールの扱いが上手になりました。水球は片手でしかボールを扱ってはいけないのですが、それを経験したことで、シュートを打つときに他の選手が投げないようなボールを投げられるようになりました。

世界大会で得点王に輝き、カヌーポロへの自信を深める

――高校時代に初めてU-21日本代表に選ばれていますが、日本代表を意識し始めたタイミングはいつですか?

木村さん

高校2年生の冬にU-21の代表選考会を受けたときですね。その選考会で、次世代の育成枠として選んでもらえて。そのときから日本代表のことを意識してプレーするようになりました。

――いまでは日本代表のキャプテンも任されていますね。

木村さん

そうですね。昔は内気でキャプテンをやるようなタイプではなかったんですけど、カヌーポロで自分に自信がついたからこそ、チームでも代表でもキャプテンを任されています。

――プレー中は自信に満ち溢れているように感じました。自信を深めるきっかけになった試合や大会はありますか?

木村さん

U-21日本代表で世界7位になったとき、個人として初めて世界大会で得点王になりました。そのときはとても嬉しかったことを覚えていますし、自信につながりましたね。

――日本人が世界大会で得点王を取ることは、凄いことですよね。

木村さん

そうですね。イタリア、ドイツ、フランスのような強豪国の選手がいるなかで、アジア人である自分が得点王を取れたのは、周囲からも「快挙だ!」と言われました。

――強豪国の選手を抑えて得点王を取ることができたのは、なぜだと思いますか?

木村さん

ぼくは体格が大きいわけではないのですが、相手の想像を超えるプレーをどうやったら表現できるのか、それを常に考えながら競技に取り組んだ結果だと思います。

――シニアの日本代表でも、世界大会で得点王に輝いています。

木村さん

はい。シニアの日本代表として初めて世界大会に出たときは、最終日にイタリアの選手に抜かれて、全体の得点ランキングで2位になってしまったんです。

そこで世界の壁を感じられたことで、逆にやる気が出ましたね。そのおかげで翌年、シニアの世界大会でも得点王になれました。

――悔しさが原動力になったんですね。競技人生の中で一番悔しかったのは、得点王を逃したときですか?

木村さん

それが違いまして、所属している佐倉インヴァースの一員として初めて全日本選手権に出場して、そこで優勝を逃したときですね。決勝までトントン拍子で勝ち進んだんですが、決勝で負けてしまって。それが一番悔しかったですね。

そのときに負けてしまった悔しさがあるからこそ、いまの5連覇につながっているのだと思います。

普及のために、インスタグラムでカヌーポロの魅力を毎日発信

――現在はどのような環境で練習をされているんでしょうか?

木村さん

東京都江戸川区が管理している「新左近川親水公園」のカヌーポロ場で、毎週土日の朝9時から午後2時頃まで、佐倉インヴァースの一員としてみっちり練習しています。

平日は、週4日ほどジムに行って上半身を中心に筋トレしています。あとは週2日ほどプールに行って、肩の柔軟性を高めています。

――新左近川親水公園は、新しくてきれいな施設だと感じました。

木村さん

そうなんです。近隣に東京オリンピックのカヌー・スラローム競技の会場ができ、機運が高まってきています。これだけ整った環境は国内にあまりないので、そのなかでトレーニングできているのはありがたいですね。

――江戸川区全体でカヌーの振興に力を入れているんですよね。

木村さん

そうですね。この恵まれた環境を活かして、後継を育てる活動も行っています。

佐倉インヴァースの長原洋一監督と連携しながら、子ども向けのチームや体験教室などをつくることに注力しています。多くの人にカヌーを体験してもらいたいと考えていますね。

――木村さん個人として、普及のために取り組んでいることはありますか?

木村さん

インスタグラムで毎日カヌーポロの写真を投稿しています。1日に1回でもカヌーポロのことを思い出してほしいと思って、もう1年以上投稿を続けています。

 

――1年以上も!

木村さん

はい。1年前に比べるとインスタグラムのフォロワーが2倍に増えているので、徐々に認知してもらえているのかなと感じています。

まずは知ってもらわないと魅力が伝わらないので、発信することが大事だと思っています。

カヌーポロ業界初のプロ選手として自立することが目標

――選手としての今後の目標を教えてください。

木村さん

ぼくはいま、カヌーポロ業界初のプロ選手として活動していきたいという思いで頑張っています。

――プロ選手を目指すということは、スポンサー契約を結ぶということですか?

木村さん

スポンサー様や沢山の人に応援される選手になりたいと考えています。

スポンサー契約のみで活動を行うのではなく、自分の活動を収益化できるような自立したプロを目指しています。

――自立したプロとは?

木村さん

応援してくれる企業や人にすべて依存してしまうような選手にはなりたくない、という意味です。

例えば、スポンサー契約に頼り切ってしまうと、契約が終わったら無職になることも考えられますよね?選手としてそれだけは避けたいと思っています。

――なるほど。確かにスポンサー頼みだと将来的な不安は残りますね。

木村さん

そうなんです。ですので、自分のスキルと能力を合わせて、どういった切り口で自立したプロになるかを考えています。

――木村さんが業界初のプロ選手になれたら、他の選手も希望をもてますね。

木村さん

プロが1人もいない現状を変えることができたら、次に続く選手は早くに現れると思っています。未来の選手のためにも、最善を尽くしていきたいです。

老若男女が楽しめるカヌーポロ!まずは見学や体験から始めよう!

――カヌーポロは、どんな人に向いていますか?

木村さん

チームスポーツが好きな人や、これから新しいスポーツを始めたいという人に向いています。あとはアウトドアが好きな人にもおすすめです。外で自然と触れ合いながらできるので。

――どのように始めればよいでしょうか?

木村さん

まずはカヌーポロをやっている人に話を聞いたり、実際に見学したりしてほしいですね。新左近川親水公園ではカヌーの体験会を開催しているので、一度カヌーに乗ってみるのもいいと思います。

――見学や体験の前に競技の雰囲気を知りたいときは?

木村さん

そういうときは、ぜひぼくのインスタグラムを見てください。カヌーポロの雰囲気がわかると思うので。

――用意すべき道具とかはありますか?

木村さん

道具は借りられるので、特にないですね。水に濡れても透けないようなTシャツさえあれば、水着も必要ありません。

――意外とお手軽にできるんですね。

木村さん

そうなんです。新左近川親水公園のカヌー場なら1時間200円で利用できるので、安く楽しめますよ。

――最後に、カヌーポロを始めてみたい人にメッセージをお願いします。

木村さん

本格的なスポーツとしても、レジャーとしても、魅力的な競技だと思います。老若男女問わず、一生涯を通して楽しめる生涯スポーツです。興味があればぜひ、実際に見たり乗ったりしてみてください。

カヌーポロを始めるのにかかる費用

新左近川親水公園カヌーポロ場利用料

【1面1時間】
一般(高校生以上):100円
小学生・中学生:50円

カヌー艇使用料

【1艇1時間】
一般(高校生以上):100円
小学生・中学生:50円

木村さんの連絡先

木村さんのインスタグラムhttps://www.instagram.com/ryota.55555/
一般社団法人さくらインヴァースhttps://www.sakurainvers.or.jp/

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