ひらめきひとつで大逆転!イスラエル生まれのボードゲーム「ラミィキューブ」の醍醐味【マイナースポーツ特集#48】

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ひらめきひとつで大逆転!イスラエル生まれのボードゲーム「ラミィキューブ」の醍醐味【マイナースポーツ特集#48】

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1930年代にイスラエルで生まれたボードゲーム「ラミィキューブ」は、一瞬のひらめきと柔軟な発想が要求されるボードゲーム。同じ番号同士や数字順に手札をつなげる単純明快なルールが支持され、世界中で愛されています。

そのラミィキューブの2018年世界大会で、並み居る強豪を制し優勝を果たしたのが沼尻浩平さんです。ラミィキューブに出会ってわずか1年で世界の頂点を極めた沼尻さんは、今もボードゲームカフェで多くの人々とプレイを楽しんでいるといいます。

今回は世界王者の沼尻さんに、ラミィキューブの奥深さと魅力についてお聞きしました。

ラミィキューブはタイルをつなげるひらめきが勝負!

——ラミィキューブとはどんなゲームなのでしょうか?

沼尻

ラミィキューブは1から13までの番号が振られた4色違いのタイルを2セットとジョーカー2枚を含めた106枚のタイルを使うゲームです。場に出ているタイルに手元のタイルをつなぎ合わせていき、手元のタイルをすべて出し切った人が勝利となります。基本的には3~4人でプレイするゲームです。

——タイルをつなぎ合わせるルールはありますか?

沼尻

同じ数字ですべて違う色の「グループ」か、同じ色で並び数字の「ラン」の状態になるようにつなぎ合わせます。特徴的なのは、場のタイルを分解してから手札を出してもいい点です。

例えば場に赤8・青8・黒8のグループがあって、手持ちに黒6・黒7・黄8があったなら、場のグループから黒8を切り離して手持ちの黒6・黒7をつなげてランに。残った赤8・青8に黄8をつなげてグループにするといった組み替えができます。もし場につなげられるタイルがない、出したくないときには山から1枚タイルを引いて手番が終了します。

また最初の一手目だけは、手持ちのタイルから数字の合計が30以上になるように組み合わせて出さなければいけません。

 

——タイルの組み合わせ方が麻雀の牌のようです。タイルを出す制限時間はあるのでしょうか?

沼尻

日本では1分以内というルールでやっていますが、世界的には40秒、オンラインでは30秒が主流です。なので短い時間の間で、いかに効率よくタイルを出していくかをひらめく発想力が勝負です。

ただこれは競技としてやる場合なので、初心者さんが遊ぶときには時間無制限でじっくり考えていいと思いますよ。

——手元に配られるタイルに左右される、運の要素が強いゲームに思えました。

沼尻

かなり強いですね。ここも麻雀と似ていて、1戦1戦だけ見れば経験者が初心者に負けることもあります。ただし上級者ならではの戦術もあるので、100戦やったら6~7割は上級者が勝つようにまとまっていきます。

——上級者が使う戦術!どんな戦術があるんでしょうか?

沼尻

自分が出したタイルでライバルが有利にならないように、待たれていると感じたタイルを手元に残して邪魔しますね。「ロック」と呼ばれる戦術なんですが、何を止めると邪魔になるかは経験を重ねてこそ分かるようになります。

また先ほどはひらめきが勝負と言いましたが、上級者は何百何千という組み合わせのパターンが頭に入っているので、ひらめきよりも情報量が重要になってきます。いかに的確な手をデータベースから引き出せるかの勝負ができると上級者ですね。

ラミィキューブとの出会いは初ボードゲームカフェ

——ラミィキューブの成り立ちを教えて下さい。

沼尻

イスラエルで生まれたゲームで、1930年代が起源と言われています。ただ、その頃にトルコで生まれた「オケイ」という似ているゲームがありまして、こちらを起源とする説もあります。

1970~80年代にアメリカで一番売れたゲームとして世界的に有名になりました。またボードゲームのメッカであるドイツには年間ゲーム賞があり、1980年代にはその賞を受賞しています。これを受賞するとゲームとしてひとつ格上に扱われるようになるので、海外ではかなり有名なゲームになりました。

——日本に入ってきたのはいつ頃でしょうか。

沼尻

今から30年程前と聞いています。当時のゲーム会社が、世界大会を目指すためのキャンペーンを大々的に行ったことで広まったようです。この頃はまだ僕は生まれてないんですが(笑)

——生まれる前に日本に上陸したラミィキューブと沼尻さんが出会ったきっかけは何でしたか?

沼尻

大学でボードゲームサークルに入ったのを機に、初めてボードゲームカフェに行きました。そこで最初にプレイしたゲームがラミィキューブだったんです。このとき違うゲームをやっていたら未来は変わったかもしれません。

その後、自宅の近くのボードゲーム会でラミィキューブをやっていると誘ってもらったところから、一気にハマりました。

——運命的な出会いですね!ラミィキューブをプレイしていて、どこに楽しみを感じますか?

沼尻

手持ちのタイルが良くてスムーズに上がれたとか、明らかに僕が止めているせいで誰かが上がれなくなってるとか、勝ち負けの部分に喜びがあります。負けた人はゲームが終わった後に手持ちのタイルを公開するんですけど、そこで自分が止めたから上がれなかったのかわかるんですね。なので戦術の結果として勝てたと分かるとうれしいです。

といいつつも、僕自身はボードゲームを楽しむのが一番ですね。勝ち負けはつきますが、プレイそのものを楽しんでいる気持ちの方が大きいです。

——ゲームを遊ぶことそのものが楽しいと!普段はどれくらいプレイされていますか?

沼尻

コロナ前は第2・第4土曜日に、新宿でラミィキューブだけをやるボードゲーム会がありました。昼の1時から夕方6~7時までやっていました。あとは地元のゲーム会で4人で4時間ぶっ続けとか。あとはどこのボードゲーム会でもボードゲームカフェでも、だいたいラミィキューブは置いてありますので、ふらっと入ってその場で遊んだりしています。

——全然知らない方ともプレイするんですね。

沼尻

ボードゲームは相席文化といいますか、その場にいる人同士で遊ぶのが当たり前の文化がありますね。友だち同士でいく時もありますが、僕はふらっと入ったその場でやるのも多いです。

あと今はアプリでもオンラインで対戦できます。世界中の人が参加しているので、マッチングが2分かからずに成立するのがうれしいです。

日本のレベルは世界トップクラス!しかし戦術が規制の対象へ

——日本の競技レベルは世界的にどんな評価なんでしょうか?

沼尻

日本とオランダがトップです。10回行われた世界選手権のうち、日本とオランダが4回ずつ優勝しています。アジアでは韓国、香港、台湾が強豪ですね。中国は2018年に初めて世界大会に出場してきました。

——世界で日本とオランダが抜きん出る理由はあるんでしょうか?

沼尻

戦い方が特徴的ですね。海外では出せるときに少しずつ出しちゃうのが主流なんですが、日本とオランダは貯めに貯めて一気に出すんですね。制限時間の1分間に出し切れる枚数と組み合わせを計算しながらプレイしています。

——一気に大逆転を狙う戦術ですね!

沼尻

ところがその戦術がどうも不評らしく(苦笑)僕が優勝した第10回大会のひとつ前も日本人が優勝したんですが、その時も貯め込んで一気に出していたんです。第8回大会のオランダ選手も貯め込むタイプでした。貯め込んで出す戦術は、持ち時間が長い方が有利なんですね。2大会連続で貯め込むタイプが勝ったせいか、僕が出場する2018年の持ち時間が40秒になっちゃいました。

——スポーツでも強すぎる戦術は規制されますもんね。ラミィキューブでも同じことが起きてしまったと。

沼尻

本当は今年ポーランドで世界大会が行われる予定で、ポーランドではすでにオンラインで国内予選が行われていたんです。その世界大会は中止が決まっていますが、予選はすでに30秒ルールになっていましたね。なので次回の世界大会は持ち時間30秒になると言われています。日本・オランダ潰しを感じますね(笑)

小学生のななちゃんの代打で世界選手権に出場「背負うものは大きかった」

——その2018年世界選手権についてお伺いします。この出場までにはどんな道のりがあったんでしょうか。

沼尻

世界選手権の前に日本選手権があります。日本選手権の前に各地で予選があり、数ヶ月前から順次始まります。大きめのコミュニティは東京、北海道、名古屋、大阪、兵庫にあり、それぞれから3~4人が代表で出場します。

とはいえ基準は結構ゆるくて、小さいお店から代表で1人参加してくることもあります。その気になれば、ボードゲームカフェごとに1人参加というのもできますね。ラミィキューブ協会は個人でやっているのもあり「予選を開きたい人は連絡してね」というくらい、ゆるくやっています。

——大学生からラミィキューブを初めて、日本選手権が2018年。スタートからほとんど時間が経っていないようです。

沼尻

そうですね。当時はラミィキューブを始めてから1年ほどしか経っておらず、世界選手権はもちろん、日本選手権も初出場でした。

——その2018年の日本選手権ですが、優勝したのは小学2年生の小山那奈さん(ななちゃん)だったそうですね。沼尻さんが代表で世界選手権に出場した経緯を教えて下さい。

沼尻

そうなんですよ。僕はその大会で準優勝でした。しかし世界選手権の会場がイスラエルでして、治安面の問題なのか15歳以下は出場不可となりました。ななちゃんだけじゃなくて、ニュージーランドの代表も年齢制限で出場できなかったんです。

——代打として出場が決まったわけですが、その時のお気持ちはどうでしたか?

沼尻

ラミィキューブをやっていない人からは「なんで小学生が代表になれないの?」という声もあり、プレッシャーを感じましたね。僕の成績が振るわなかったら、ななちゃんの名誉にも傷が付くことになるので、背負うものは大きいと感じていました。

世界大会は決勝直前にルール変更も日本人の戦術で勝利!

——初となった世界大会の会場がイスラエルです。気をつけたことはありますか?

沼尻

危ないところにいかないようには注意しました。英語もほとんどできませんでしたし。あとはひとりでいくのが一番心配でした。

——言葉もわからないまま、ひとりでイスラエルに行ったんですか!

沼尻

そうなんです!行ってみたらひとりで来ているのが僕くらいで(笑)。他の代表は家族やメーカーの人が同行していました。大会日程は全部で3日間あって、大会そのものは真ん中の1日だけ。あとの前後は観光やレクリエーション、食事会などが催されていました。

幸い中国代表に同行していたメーカーの方が日本語を話せたので、大会終了後に日本語で話しかけてもらったときの安堵感は半端じゃありませんでした(笑)

——大会日程そのものが大ピンチだったと思いますが、大会でのプレイ中に感じたピンチはありましたか?

沼尻

大会当初のルールが、予選8試合の勝率上位が決勝に進出し、そこまでの勝ち星に決勝2試合の成績を足して優勝を決めるというものでした。

最初の8試合でオランダ代表が7勝しており、僕が5勝。決勝で2勝すれば優勝の可能性があるという状態だったんですが、3位と4位が5勝未満で、彼らはすでに優勝の目が無かったんですね。それなので決勝はそれまでの成績をゼロにして、4試合やった結果で決めようとルールがその場で変更されました。

——世界大会の決勝ルールがその場で変わるのがすごいですね!

沼尻

しかも僕は通訳がいなかったので、そのルール変更を知らないまま決勝が始まったんです。2戦と思っていたので1戦目で勝った時に思い切りガッツポーズしたのですが、周りが拍手程度だったので変に思ってました。2戦目はオランダ代表に取られて「まずい」と思ったのですが、そのまま3戦目が始まったところで「まだ続くの?」と、ここでようやくルール変更を理解したんです。

——2戦のつもりで戦うのと、最初から4戦のつもりでいるのとでは精神力の使い方に差が出そうです。3戦目以降は問題ありませんでしたか?

沼尻

1戦目と3戦目に勝てて、2戦目はオランダ代表が勝利。あと1戦オランダ代表に勝たせなければ優勝とわかっていました。4戦目の時、僕の隣がオランダ代表ではなかったので、隣が有利になるようなタイルをわざと置きましたね(笑)。ロックの逆です。すでに3戦もやって、それぞれの打ち方はわかってきていたので、精神的に余裕を持って隣の選手を誘導できました。

——日本人が強い戦術性がここでも出ましたね!

沼尻

逆に日本だとエサを撒いても食いついてこないんですよ。海外のプレイヤーだからこそガブっときます。

——そうしてついに世界を制しました!その瞬間はどんなお気持ちでしたか?

沼尻

ななちゃんの名誉も背負っていたので、うれしかったですね!たくさんの人に練習に付き合ってもらい、とても応援してもらった結果なので、思いに報いることができました。

あと実は日本選手権では大ミスをして優勝を逃していたので、ちゃんと勝ちきれてホッとした気持ちもありました。

沼尻さんが優勝した瞬間

 

——見事に世界選手権を制した沼尻さんの今後の目標はなんでしょうか?

沼尻

世界では勝ちましたけど、まだ日本選手権で優勝していないのが心残りですね。選手権の開催は決まっていないのですが予選には参加していて、すでに出場枠は持っています。次こそは優勝が目標です!

大人子どもが一緒に楽しめるラミィキューブ!ボードゲームカフェにプレイしに行こう!

——今後ラミィキューブがどのように広まっていくのが理想でしょうか。

沼尻

ななちゃんが優勝したように、ラミィキューブは大人と子どもが一緒に楽しめるゲームなので、家庭に普及していくといいと思います。アジアでは韓国が強いとお話しましたが、韓国では家庭に行き届いているんです。日本では人生ゲームやオセロは広まっていても、いわゆるボードゲームは別枠のようになっているので、もっと気軽に楽しんでもらいたいですね。

——ラミィキューブに興味を持った方がプレイするとしたら、どんな方法がありますか?

沼尻

まずはボードゲームカフェにいってみるのがいいと思います。都内では一駅あたり2店舗、新宿なら5~6店舗はありますので、気軽に入ってみて下さい。ラミィキューブでしたらほとんどのカフェにありますし、相席文化がある空間なので、遊び相手もたくさんいます。

——大人から子どもまで遊べるラミィキューブですが、あえて言うならどんな人が向いていますか?

沼尻

頭を使うのが好きな方は向いていると思いますが、本当に誰でも楽しめるゲームです。一見理系向けに思われますが、全然気にしなくて大丈夫です。僕もゴリゴリの文系ですので!最初に出す30の足し算ができる人なら誰でも楽しめます!

——ルールを覚えるおすすめの方法などありますか?

沼尻

YouTubeにルール解説動画やプレイ動画がありますので、そちらを見るとわかりやすいと思います。またアプリは無料なのでちょっといじってみようという感じでもいいですし、ボードゲームカフェのイベントでルールを教えてもらうのもいいですね。

僕がよく利用するボードゲームカフェ「テンビリオンポイント」でも定期的にイベントを開催していますので、ぜひ気軽に参加してみて下さい。

ボードゲームカフェ「テンビリオンポイント」

https://10billionpoint.com/

——それでは最後にラミィキューブに興味を持った方へメッセージをお願いします。

沼尻

何より一番は楽しんでもらいたいですね。今の世の中、外との繋がりが薄くなってしまう中で、家族や友だち同士でテーブルを囲んでボードゲームをプレイするのは楽しい時間になると思います。大人子ども問わずに楽しめますので、ぜひみんなで全力で楽しんで下さい!

ラミィキューブを始めるのにかかる費用

ボードゲームカフェ利用費用

平日:30分250円(最大1,500円)+ワンドリンク

土日祝:30分250円(最大3,000円)+ワンドリンク

※ボードゲームカフェ「テンビリオンポイント」の場合

Rummikub(ラミィキューブ)ボードゲーム

2,800円~

貯金をして挑戦する!

ラミィキューブをプレイできるアプリ・ブラウザゲーム

Rummikub(iOS版)

https://apps.apple.com/jp/app/rummikub/id1015322991

Rummikub(Android版)

https://play.google.com/store/apps/details?id=com.rummikubfree&hl=ja&gl=US

Rummikub(ブラウザ版)

https://rummikub.com/

 

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