フランス発祥・世界最古の球技!生涯楽しめる「スポールブール」への挑戦【マイナースポーツ特集#47】

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フランス発祥・世界最古の球技!生涯楽しめる「スポールブール」への挑戦【マイナースポーツ特集#47】

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フランスで生まれた「スポールブール」は、約1kgの球を転がし、投げて近づけることを目的とした競技。時には的確な距離に転がす緻密さを競い、時には対戦相手の球に直接投げ当て弾き飛ばす荒々しさを求める、様々な顔を持つ球技です。

そのスポールブールの国内トップ選手として活躍を見せる豊田想さん。21歳の頃に見たテレビ番組をきっかけにスポールブールを始め、2年後には世界大会に出場するほどに成長。スポールブール4種目で日本記録を保持する実力を備え、2019年には悲願の世界選手権ベスト6に輝きました。

選手としての活躍の傍ら、現在はスポールブールの普及に力を注ぐ豊田さんに、スポールブールの魅力と今後の展望についてお聞きしました。

スポールブールは様々な能力で勝負できる生涯スポーツ

——スポールブールとはどんな競技なのでしょうか?

豊田

「スポールブール」はフランス語です。意味は英語ならスポーツボール、日本語に訳すなら球技になります。基本的なルールは、約1kgある真鍮製のボール(ブール)を、12.5m先の小さな目的球(ビュット)目がけて転がして、相手より何球近くに置けるかを競います。

——転がして近づけるだけとなると、かなりシンプルなスポーツですね。

豊田

相手が転がした球が目標にぴったりくっついて、自分の球を転がしても近づけないというような場合には、ブールを投げて直接相手の球に当てて弾き飛ばします。転がして近づけた方がいいのか、投げて弾いたほうがいいのか。相手の能力や残りの球数を考慮して戦術を決めなければならない、とても頭を使う競技なんですよ。

——頭も体力も使いそうです!スポールブールの中にいくつも種目があると聞きました。他にはどんなルールがあるんでしょうか?

豊田

スポールブールは大きく分けて6つの種目に分類され、先ほどの目標球に近づける対戦型のルールは「トラディショナル競技」と呼ばれる3種目で採用されます。残りの3種目は「ティール競技」と呼ばれる、ボールを投げてターゲットに当てた点数を競う種目です。

 

種目ルール

シングル

トラディショナル競技のひとつ。4球で1ゲームとし、ボールを転がして目的球に近づける。1対1で行い、ボールを投げて相手のボールを弾き飛ばしてもよい。合計13点獲得するまでゲームを繰り返す。

ダブルス

トラディショナル競技のひとつ。シングルのルールでプレイヤーは2対2。1人3球ずつで競う。

コンビネ

トラディショナル競技のひとつ。16球ボールを転がして目的球の70cm以内に何球入れられたか、16球ボールを投げて目的球に何球当たったかを競う。合計32球。

プログレッシブ

ティール競技のひとつ。5分間に12.5m~17.5m先の目的球へ走りながら投げたボールを何球当てられるかを競う。

ラピッド

ティール競技のひとつ。2人が4球ずつ交代しながら行うプログレッシブ。

プレシジュン

ティール競技のひとつ。難易度が違う11球の目的球にボールを投げ当てる。標的によって獲得点数が異なる。


——性格が違う種目が混在していて、様々な要素が求められますね!

豊田

スポールブールのいいところは、年齢に関係なく活躍できるところです。プログレッシブのように体力を競うルールは若い選手が中心になりますが、プレシジュン、コンビネは経験値や精神的な落ち着きを武器に、年齢が高くても戦えます。世界レベルでも生涯トップクラスという選手もいるくらいです。

——年齢が問われないスポーツなんですね。

豊田

今日本で行っているリーグ戦では、全チームがほとんどの種目をやる必要があるので、体力系は若い選手に任せてベテランは別の競技で戦うなど、多世代で協力が必要ですね。生涯スポーツとして楽しめるスポーツだと思います。

スポールブールは紀元前に誕生した「世界最古の球技」

——スポールブールはいつ頃生まれた競技なのでしょうか?

豊田

人類が狩りで行っていた物を転がして標的を誘導する、物を当てて仕留めるといった本能的な行動がベースです。そこに集中力、技術、思考力を鍛えるためにゲーム的な要素を入れたのが始まりといわれています。明確な時期はわかりませんが、紀元前から始まったともいわれていることから「世界最古の球技」と呼ばれることもあります。

——世界最古の球技!歴史を感じますね。スポールブールからいろいろなスポーツが生まれていそうですね。

豊田

そうですね。いろいろな説はありますが、カーリング、ボッチャ、ペタンクといった競技の原型になったといわれています。

——スポールブールの名称がフランス語とのことですが、盛んにプレイされている国や地域はどちらでしょう?

豊田

主なところはヨーロッパですね。フランス、イタリアにはプロリーグがあり、そこにクロアチアやスロベニアの選手も参加しています。最近では中国、オーストラリア、アルゼンチン、モロッコ、チュニジアなどでも盛り上がっています。

——各国でレベル差はありますか?

豊田

今はだいぶ埋まってきていますね。男子ではプロリーグに参加している上位4ヶ国を押しのけて、アルゼンチンやチュニジアが金メダルを取る種目がありましたし、女子ですとほぼ全種目で中国が優勝しています。プロリーグに参加している国が強い傾向はありますが、総合的な差は埋まってきていると思います。

テレビ番組をきっかけに日本代表を目指す

——豊田さんはどんなきっかけでスポールブールを始めたのでしょうか?

豊田

知ったきっかけは日本テレビでやっていた『特命リサーチ200X』という番組で「素人がオリンピック選手になれる可能性があるスポーツ」としてスポールブールが取り上げられていました。その時に紹介されたのが5分間走り続けて球を投げ当てるプログレッシブです。元々野球と陸上をやっていて、肩の強さはチームトップクラス、長距離もかなり早いほうだったので、これなら自分でも勝負できるんじゃないかと思ったのがきっかけです。

——実際にやり始めた時の感想はいかがでしたか?

豊田

球を転がして標的に近づけるトラディショナル競技が、当時21歳の私には物足りなくて(笑)もっと激しくて豪快なイメージでしたので、正直ギャップはありました。最初の1年は「なんでこんな球を転がしているんだろう?」と思うほどでした。ただ代表になってみたいという気持ちは途切れず、投げて当てるティール競技の方は楽しんでやっていました。

——モヤモヤしたものを抱えたスタートでしたが、そこからどんどんハマったきっかけは何かありましたか?

豊田

2007年の世界選手権のプレシジュンで、最後の1球を18m先の直径3cmの目的球に当てられれば予選突破、外れたら予選落ちという場面がありました。その最後の一投が見事にヒットして、日本人初の予選突破が決まったんです。その時は体の指先まで喜びが満ちあふれるような、初めての感覚でしたね。それでクセになったというか、自分の限界を突破したときに「こういう感覚が味わえるんだ、もっと上に行きたい」と思ったのがきっかけです。

——歴史的な一投ですね!

豊田

それまではどうやって人生を楽しもうかとスポールブール以外のスポーツもいろいろ挑戦していたんですが、それを機に最後に生き残ったのがスポールブールになりました。

——当時が2007年。それ以降14年間も第一線でプレイされている中で、他にも喜びを感じる瞬間はありましたか?

豊田

2年に1回行われる世界選手権で、世界の強豪に勝った時はうれしいですね。実力が拮抗している時の勝ち負けは1球の差で決まるんです。当てれば勝ち、外れれば負けという時に当てて勝てると、本当にうれしいです。

——世界の第一線だからこその喜びですね。その世界選手権において、豊田さんは2019年のメルスィン世界選手権で日本人初のベスト8、第6位に入賞されました。この成績に至った理由はありますか?

豊田

以前は世界選手権の参加国に制限がありませんでしたが、2019年の大会から地区予選を突破した16ヶ国に絞られるようになりました。そのため強い国しか集まってこないのがわかっていたんです。以前は全種目に参加する用意をしていたのですが、この大会には種目を絞って参加するようにし、トレーニングも参加種目に集中しました。

——まさに作戦勝ちですね!

豊田

あとはチームの進化の影響が大きかったですね。私自身の技術の進歩もありますが、メンタルのコーチ、技術のコーチなどコーチ陣が経験を積んでチームとして成長できた成果が結果として出たと思っています。

イタリア留学で感じた本場との違い

——2009年にイタリアへ留学されていますが、なぜイタリアへ行こうと思ったんでしょう?

豊田

2007年に予選を突破したとき、さらに上に行くには海外トレーニングが必要だと感じました。また20代のうちは好きなことをやりたいという気持ちもあり、29歳の時に会社を辞めてでもチャレンジしたいと思ったんです。

——思い切った決断です!イタリアへ行く伝手はあったんでしょうか?

豊田

2009年7月に台湾の高雄でワールドゲームスという大会が行われまして、その時に私は台湾チームのサポートをしていたんです。そこでイタリア代表チームのコーチに出会い、イタリアのクラブチームに行きたいと伝えたところ「わかったわかった、来いよ」といわれたので、本当に行ってしまいました。あまり相手にされていないとは思っていたのですが、本当に向こうに行ったら観念してくれたようです。ちゃんと世話をしてもらえてよかったです(笑)」

——本場イタリアのプレイに触れてみて何か違いを感じましたか?

豊田

スポールブールの考え方からして違いましたね。トラディショナル競技においては、日本は何球近づけるかという概念でやるんですが、向こうでは相手の球を弾いて何球残すかを基準に考えます。4球投げて4球弾き自分の球も残せれば4点取れる、という考え方です。

——攻撃的な考え方です!

豊田

自分たちが転がすボールも、弾かれることを加味するような戦術を考えていましたね。そこで当時の日本は技術が戦術に追いついていないと気づきました。高度な戦術にトライしなければ技術は上がらないし、技術に合わせると戦術レベルが上がらないと学んだので、戦術に合わせたチャレンジをする姿勢を日本で取り入れました。

——そこから日本チームも大きく進化して、今では豊田さんが世界第6位です。これから先の目標には何を見据えますか?

豊田

プレイヤーとしては世界一になるのが目標ですね。ずっと世界ベスト8を目標にしていて、これは10年かけて達成できました。ベスト8の壁が厚かったのですが、ここを越えれば、あとは回数と運だと思っています。

——ベスト8までいければレベル的には団子状態なんですか?

豊田

そうです。もしプレシジュンの日本記録を世界大会で更新することができれば、十分に優勝が狙えると思います!

目標は「47都道府県にクラブチーム設立」と「日本での国際大会開催」

——今後のスポールブールの普及について、どんなビジョンを持たれているか教えて下さい。

豊田

ビジョンは2つあります。まずは47都道府県にクラブチームを作りたいと思っています。今クラブ対抗のリーグ戦をやっていますので、これに全国から参加して欲しいですね。今は7都道府県にクラブがあります。

——もうひとつは何でしょう?

豊田

もうひとつは、日本での国際大会開催です。そのためには日本が強くなければいけませんし、財政の問題、環境の問題をクリアしていかないといけません。逆にそういった問題をクリアできていけば、自ずと開かれる環境になっていくと思いますので、そこを目指していきたいですね。

——10年以上スポールブールを見つめ続けた豊田さんから見て、普及活動の手応えはいかがですか?

豊田

何かをやらないといけないと感じて、1年前に引っ越してきた御殿場の役所に掛け合い、日本選手権や体験会をご後援いただきながら開くことができました。私自身、世界6位に入ったという自信が次の普及のステップに進まないという気持ちにつながっていますので、今後も強い気持ちでやっていこうと思っています。

——目標の達成には競技人口の増加がつながっていくと考えられます。現在の競技人口はどの程度でしょうか?

豊田

今は50名くらいですね。2009年に私がイタリアに行った頃は5人程度でしたので、この10年で10倍に増えました。5月5日に体験会を予定していまして、その後には女子は日本選手権に参加、男子は日本代表候補セレクションに参加できるイベントがあります。この体験会には新規で20名ほどの参加が決まっています。

——参加した初日に日本代表になれる可能性もあるんですね!

豊田

なれます。また女子の日本選手権は参加者が10名。1日で日本10位は確実、ベスト8も十分可能性ありです(笑)

スポールブールは誰でも歓迎!生涯スポーツを楽しもう!

——スポールブールの競技に向いている人の特徴はありますか?

豊田

世界を目指す競技者としてなら、基本的には球技をやっていた人、スポーツをやっていた人なら、継続してやれば日本代表になれる可能性はあると思います。今男子日本代表は3名ですが、そのうち2名は始めて5年程度。サッカーとソフトボールをやっていた方です。ただデータが少ないので、どんな人が化けるかはわかりませんね。私が野球をやっていたのでそうじゃないかな、という感じです。

——趣味としてプレイする分にはいかがでしょうか?

豊田

本来スポールブールは、社交的な場でワインを飲みながらやるような競技なんです。生涯スポーツとして何かやってみたいという方であれば、今後クラブチームが増えていけば全国でプレイできると思います。リーグ戦のコンセプトも「地域を知る」としていて、競争よりも共に作っていこうという姿勢です。新しいこと、新しいスポーツを自分のペースでやってみたいという方は大歓迎です。

——スポールブールに興味を持った方はどんな始め方がありますか?

豊田

初心者講習会を随時開催していますので、ご連絡をいただければと思います。関東と名古屋なら出張指導の受け入れ体制ができておりますので、お伺いすることもできます。クラブ運営等のサポートも行いますので、気軽にチームを作っていただきたいですね。特に九州なら、チームを作った瞬間に九州チャンピオンになれますよ!

 

——個人で用意する道具はございますか?

豊田

運動できる服装と運動靴があれば十分です。社交場のスポーツということもあり、海外だとジーパンでやっている選手もいるくらいなので、気軽に動きやすい服装をしていただければと思います。ボールは最初は貸し出ししますのでご安心下さい。

——最後にスポールブールへ興味を持った方にメッセージをお願いします!

豊田

いつ始めてもいつまでも楽しめる球技です。金属製の金色の球を、青空の下で思い切り投げる非日常的な経験ができる魅力的なスポーツです。老若男女、多世代で交流できるスポーツとしてこれから発展していきますので、ぜひ一緒に作っていけたらと思っております。今なら競技人口も少なく代表になりやすいですので、ぜひチャレンジしてみて下さい!

スポールブールを始めるのに必要な費用

スポーツウェア、ジャージ2,000円~
初心者講習会参加費1,000円
専用のボール35,000円前後(貸し出しレンタル有り)

貯金をしてやってみる!

日本スポールブール連盟連絡

スポールブール公式HP -日本スポールブール連盟-http://boules.jp/
豊田想Twitterhttps://twitter.com/sotoyoda_boules?s=09
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