初速が160km!?ボールのスピードから目が離せない!スウェーデン発祥「フロアボール」の魅力に迫る【マイナースポーツ特集#46】

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初速が160km!?ボールのスピードから目が離せない!スウェーデン発祥「フロアボール」の魅力に迫る【マイナースポーツ特集#46】

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スウェーデンをはじめ、北欧で大人気のスポーツ「フロアボール」。

日本ではまだまだマイナーですが、その魅力を伝えて全国に普及しようと積極的に活動をしている人がいます。フロアボール元日本代表選手の田島達朗さんです。

田島さんが語る、フロアボールのおもしろさ、置かれている課題や今後の展望とは?

レクリエーションからスポーツへ。スティック1つでゴールへ突き進む。

(photo:IFF)

——フロアボールは、いつ、どこで生まれたスポーツなんですか?

田島

1970年~80年頃に、スウェーデンで発祥しました。スウェーデンなど北欧はアイスホッケーが盛んなんですが、それを室内で遊びとしてやり始めたのが、最初です。どんどん競技のレベルが上がって、用具のメーカーができて、スポーツに発展していったんです。

——最初は遊びだったんですね。スウェーデンのほかにはどんな国で盛んなのでしょうか。

田島

フィンランドやスイス、チェコでもポピュラーです。フィンランドも含めて、この4カ国がいつも世界で上位を争っています。これらの国ではとても人気で、老若男女誰しもが一度はやったことがあって、知らない人はいないくらいの競技です。

 

——そうなんですね!競技人口はどのくらいですか?

田島

フロアボールの国際協会に加盟している国は74カ国で、それ以外に含めて80カ国でプレーされていると言われています。競技人口は、協会に登録している人数だと世界で37万人ほど。それ以外を合わせると約350万人だそうです。

——日本では、どうですか?

田島

協会に登録しているのは、3,000人~3,500人ほど。それ以外を入れると5万人と公表していますが、実際は1~2万人くらいなのかなと。日本ではまだまだマイナーなスポーツなんですが、実は、発祥地のスウェーデンの次に1983年に日本では協会が設立されているんです。

——そうなんですか。早いですね!

田島

少し複雑なのですが、フロアボールは、スウェーデンから日本に入った後、レクリエーション目的でルールなどが改正されて、「ユニホック」や「ネオホッケー」という名前で普及されていったんです。

——ユニホック、小学校の授業でやったような記憶があります。似た競技とは言え、レクリエーションとスポーツでは、確かに立ち位置がちょっと違いますね。

田島

そうですね。なので、協会が早くからあったとはいえ、フロアボールとして普及はしていなかったんです。

——大会はどのようなものがあるんですか?

田島

世界大会は、2年に1度。男女で交互に開催されています。日本では、クラブチームが全国にあるのですが、日本リーグ、関東リーグ、東北リーグがそれぞれ開催されていて、近々、東海リーグも開始する予定です。そして、リーグを勝ち上がったチームが戦う日本選手権が毎年開催されます。

——リーグは関東と東北だけなんですか?

田島

実は、関東と東北、北海道には各県にチームがあって、都道府県協会もあるのですが、西の方ではあまりプレーされていないんです。愛知、静岡、そして奈良に1チームあるくらい。

——そうなんですね。それはどうしてなんでしょうか?

田島

アイスホッケーをしている人が、室内版としてやることが多いので、必然的に寒い地域で行われやすいというのと、やはり普及するにしても、近場からになってしまって、西にはまだ到達していないということですね。

——なるほど。西日本への普及が課題なんですね。

田島

はい。私は今、沖縄に半移住しているんですが、まったくフロアボールが行なわれていなかった沖縄で、県協会を立ち上げて、ようやく最近日本フロアボール協会に所属しました。地道に普及活動を行なっています。

——すごい!わざわざ沖縄まで行って、普及のために活動をしているんですね!

「ヒット」ではなく「プッシュ」が基本。上級者はフェンスさえ味方につける。

(photo:IFF)

——基本的なルールなどを教えていただけますか?

田島

コートは、20m×40m。ゴールは、幅160cm、高さ115cm、奥行き65mほどです。各チーム20人ずつが登録できて、そのうち6人ずつがコートに立ちます。6人のうち1人はゴールキーパーで、5人がフィールドプレーヤーです。

——意外とゴールが小さいんですね!

田島

そうですね。ゴールキーパーだけがプロテクターとヘルメットを着けて、立ちひざでゴールを守ります。フィールドプレーヤーは、プロテクターなどは身に付けず、スティックだけを持って、ボールをパスしたり、ドリブルしたりして、ゴールを狙います。

▲ゴールキーパーは素手でゴールを守る(photo:IFF)

 

——スティックとボールは、何でできているんでしょうか?

田島

持ち手はカーボン製で、ボールを打つ部分はプラスチック製。とても軽いです。ボールはプラスチック製で、中が空洞になっているので、これもすごく軽い。なので、速いと初速160kmくらいが出るんですよ。

▲スティックとボール

▲スティックを使って、ボールを相手ゴールに運ぶ

 

——え、そんなに速いんですね!意外でした!試合は何分間行うんですか?

田島

公式では、1ピリオド20分を3回行ないます。ピリオドごとのインターバルは10分。トータル60分走り回るので、結構ハードなんですよ。日本の大会では、15分×3回になることもあります。

——ほんとですね。しんどそう……。

田島

なので、選手交代を頻繁に行います。20人のチームメンバーで、5人ずつグループをつくっておくんですね。1~2分ごとに、グループごとメンバーを入れ替えてしまって、戦っていくというスタイルなんです。

——そうなんですか!それぞれのグループの構成も重要ですし、交代のタイミングも重要ですね。

田島

そうなんです。チームによっては、上手な2グループでまわすとか、3グループをぐるぐる回して体力温存をするとか、駆け引きが行なわれるんですよ。基本的には、スタメンの5人が上手な選手なので、スタメングループvsスタメングループの戦いはレベルが高いです。

——ほかの競技ではあまり見られない展開ですね。おもしろい!

田島

ツウになると、そういう戦術を見るのも楽しいと思います。

——5人の中にポジションもあるんですか?

田島

はい。5人をポジションごとに「2-1-2」か「1-2-2」に置くのが基本。 攻めが2人、守りが2人、中盤が1人が理想です。とは言え、みんなで攻めて、みんなで守る競技なので、守りだから走らなくていいということはないです。

——全員にオールラウンダー的な役割が求められるんですね。どういうプレーが見ごたえがありますか?

田島

基本的には、パスをつないだり、ドリブルしたりしてゴールを狙いますが、オフサイドがないので、1人だけゴール前に走っていって、そこにフライボールなどを上げてパスを出し、点数を入れるというカウンタープレーがスピード感があって見ごたえがありますよ。

——へぇ!一瞬でゴールが決まることもあるんですね。

田島

そういうダイナミックなプレーもあるし、上手いチームはきれいなパス回しをしてゴールを入れるので、そこもぜひ見てほしいです。

——華麗なパス回し、見てみたいです。

田島

それと、フロアボールの特徴として、コートのまわりに置かれるフェンスにボールを当ててもOKなので、上手い選手だと、フェンスを巧みに使うんですよ。浮かしてフェンスに当てたり、フェンスに沿わせてパスしたり。

▲フェンス際の攻防も見逃せない(photo:IFF)

 

——おぉ。そういう細かい技にも、注目ですね。

田島

屋外でやるグラウンドホッケーは、ボールを「ヒットする(打つ)」ことが多いのですが、フロアボールは、用具の特性もあって、「プッシュ(押し出す)」イメージ。なので、正確なパスが出しやすいんです。

運動神経が良くなくても上達できる。器用さを活かして、日本代表へ。

——フロアボールは、どんな人に向いていますか?

田島

誰でも、スティックさえあれば手軽にできるというのがフロアボールの最大の魅力。小さな子どもでも、年配者でも、障がいのある人でも。

——門戸が広いんですね。

田島

まだパラリンピックの種目にはなっていませんが、知的障がいのある人たちの国際大会である「スペシャルオリンピックス」のデモンストレーション種目にもなっています。

——なるほど。そういう意味では、国民的なスポーツになり得えますね。

田島

私が沖縄にきた理由の一つも、それに関連していて。沖縄は障がい者スポーツに力を入れているんですよ。障がい者だけでもプレーできるし、もちろん健常者と一緒にやってもいい。すそ野を広げて、スポーツとして知名度向上していければと。

——誰でもできるとは言え、やはりアイスホッケーやグラウンドホッケーをやっていた人が有利だったりするんでしょうか?

田島

そんなこともないんですよ。アイスホッケーは、氷の上を走るというのが一番重要で、なおかつボールではなくてパックを使っています。グラウンドホッケーはボールが硬くて、スティックも形状が異なるので、プレーのコツが違うんですよね。

——ということは、未経験でも可能性があるってことですね。

田島

もちろん。競技人口が少ない分、みんなが同じ地点からスタートできて、上達の見込みがあるというのが、フロアボールのいいところ。スティックを使ってボールを操る器用さみたいなものが重要だったり。だから、必ずしも運動神経が良くなくても大丈夫だったりして。

——そうなんですか。それは、運動音痴の人には朗報ですね。

田島

私自身も、足が速いわけではないんですが、器用さを活かして、日本代表になることができました。競技人口が少ないから、日本代表も目指せます!ここは大きな声で言っておきたい。

——確かに。これから始めても、可能性はゼロじゃないですよね。やってみたいと思ったら、まずはどうすればいいですか?

▲スティックでボールを操る器用さが大切

 

田島

室内用のシューズだけ用意して、チームの練習に参加してみてください。とは言え、ホームページを持っているチームがほとんどないので、自力で探せないと、たまにクレームが来たりするんですよね……。

——あ、そうなんですか。

田島

なので、私に連絡をください。日本の全チームとつながりがあるので、住んでいる場所や、チームの雰囲気などを考慮して、ぴったりのチームを紹介します。

——TwitterのDMで連絡すればいいですか?

田島

それでもいいですし、フロアボールの用具の専門店をやっているので、お店の問い合わせフォームからでもOKです。回答に時間はかかるかもしれませんが、日本連盟に問い合わせても良いと思います。

——いきなりスティックは買わなくてもいいんですね。

田島

スティックは、右持ち用と左持ち用があるので、利き手とか使いやすさによって、変わるんですよ。なので、一度プレーしてみてから決めるのが良いかなと。チームに行けば貸してくれますから、まずは手ぶらで行ってみてください。

——室内シューズはバスケットボールやバレーボール用とかでいいんでしょうか。

田島

最初は、ハンドボール用とかフットサル用を履く人が多いですね。専用シューズもありますが、それでなくても全然大丈夫です。

——体験教室みたいなものは、やっていますか?

田島

今はあまり実施していなくて。でも、ある程度の人が集まって、体育館がおさえられて、交通費を出してもらえるのであれば、全国どこへでも、教えに行くことはできますよ。気軽に問い合わせをください。

育ててくれたフロアボールに恩返し。競技者から普及者へと転身し、邁進中。

——田島さん自身は、何をきっかけにフロアボールを始めたんですか?

田島

友だちに誘われて、放課後クラブで小学校3年生から始めました。フロアボールではなく、ネオホッケー(ユニバーサルホッケー)という名前でしたけど。サッカーとか野球もやったけど、フロアボールは、初めてやったときにすごくおもしろいなと思って、それからフロアボール一筋です。

——どんなところに惹かれたんですか?

田島

スティックの操作ですね。難しいですけど、コツをつかむとおもしろくて。自分の器用さが活かせるというのも、いいなと。そして、上がった中学校が、当時日本で唯一フロアボールの部活動がある学校で。

——そうなんですか!それは、すごくいい環境だったんですね。

田島

中学生でも続けて、高校からは地元にあるクラブチームに入りました。部活動があるくらいなんで、地元のクラブチームも強かったんですよ。そしてリーグ戦に出て。日本代表の募集がかかっていて、その選考を受けてU-19の日本代表に入りました。

——日本代表を目指せるとなると、モチベーションは上がりますよね。

田島

そうですね。それから、大学ではユニバーシアード大会に出て、社会人になってからはA代表で戦っていました。

——日本代表として国際大会に出てみて、いかがでしたか?

田島

マイナースポーツなんで、みんな自費で遠征するんですが、それをする意味があると思うくらい、華やかで大きな大会を経験できたなと。規模が全然違うんですよ。それに国歌斉唱をして戦うっていうのはやっぱり格別でした。

——日本代表ですもんね……。すごいことですよね。

田島

でも、実力的には、世界との差をものすごく感じました。まるで違う競技をしているくらい、レベルが違う。これを若い子たちに伝えなきゃいけない、もっと日本のレベルを上げなきゃいけない、そのためには普及活動をしなくてはと強く思ったんです。

——その想いが今の活動の根底にあるんですね。

田島

はい。それまで企業に勤めていたんですが、脱サラしてフロアボール用品の専門店を始めました。店を開いたのは、そもそも道具が気軽に手に入らなければ意味がないというのと、フロアボールで食べていくビジネスモデルをつくりたかったから。

▲田島さんのお店「SANNO SPORTS」

 

——なるほど。

田島

今、店長を元日本代表選手だった後輩に任せているんですが、フロアボールに人生をかけても大丈夫だという状況を、少しずつでもいいからつくっていければと思っています。シンガポールでは国がフロアボールの選手を援助する環境が整っているんですが、日本もそうなることを願っています。

——そのためには、フロアボールを人気スポーツにしないといけませんね。

田島

オリンピック種目になることも、世界的な目標ですね。協会への加盟国数や競技人口など基準があるので、それをクリアしないと。インドアスポーツの国際大会「アジア・インドア・マーシャルアーツゲームス」の種目としては認められたので、少しずつ進んではいまます。

——田島さん自身、地道な活動を続けていますが、どうしてそんなに頑張れるんでしょうか?

田島

一番は、フロアボールに出合って自分が育てられたという自覚があるから。何かうまくいかないことがあったとき、どう対応して成長するかということを、フロアボールを通して学びました。それが、社会に出ても活かされているなと思って。

——恩返し的なことなんでしょうか。

田島

そうですね。フロアボールに限らず、スポーツにはそういう素晴らしさがありますよね。それを、たくさんの人に知ってほしい、それが根底にあります。

——今後の展望を教えてください。

田島

競技者を増やすのはもちろん、普及者も増やさないといけない。競技者も普及者の自覚を持ってやっていかないと、マイナースポーツはいつまでたっても知名度が上がらないですから。

——田島さん一人でやるにも限界がありますもんね。

田島

なので、若い世代の人に普及活動をバトンタッチして、どんどん広めていけたらいいなと思っているんですが、なかなか難しいところもありますね、正直。

——フロアボールに興味がある人にメッセージをお願いします。

田島

手軽に誰でもできるスポーツなので、ぜひ一度体験してみてください。連絡をもらえたら、チームを紹介しますし、わからないことは何でも聞いてほしい。そして、日本代表を目指してください!

▲子ども対象の体験教室の様子

 

フロアボールをはじめるのにかかる費用

スティック5,000円~1万円程度
シューズ専用シューズは1万円前後 ※ハンドボール用やフットサル用でも可能
ボール1つ300円程度

貯金してやってみる!

田島さんの連絡先

田島さんのTwitterhttps://twitter.com/TAJI24
お店の問い合わせフォームhttps://sannosports.shop-pro.jp/secure/?mode=inq&shop_id=PA01045951
一般社団法人 日本フロアボール連盟https://www.floorball.jp/

 

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