社交ダンスがオリンピック競技に!?日本トップダンサーが語る「競技ダンス」の醍醐味【マイナースポーツ#42】

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社交ダンスがオリンピック競技に!?日本トップダンサーが語る「競技ダンス」の醍醐味【マイナースポーツ#42】

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イギリス発祥の「競技ダンス」は、男女ペアで音楽に合わせて踊り、その技術・芸術性を競う採点スポーツです。

イメージとしては「社交ダンスをよりスポーツに寄せたもの」。「ダンススポーツ」とも呼ばれ、オリンピック競技への採用も目指しています。

今回は、全日本選手権4連覇中の日本のトップダンサー・藤井創太選手にインタビュー!

藤井さんは小学1年生から競技ダンスを始め、高校2年生で日本チャンピオンに。2019年にはウクライナ出身のパートナーとカップルを組んで拠点をスロベニアに移し、競技活動に打ち込んでいます。

藤井さんに、競技ダンスを始めたきっかけや競技ダンスの魅力をたっぷり伺いました!

「競技ダンス」は社交ダンスをスポーツ競技化したもの

——「競技ダンス」とはどういったスポーツなんでしょうか?

藤井

一言で言うと、パーティーなどでの社交を目的とした「社交ダンス」をよりスポーツに寄せたものです。男女ペアで音楽に合わせて踊り、技術・芸術性を細かく採点し、他のペアと競い合います。「ダンススポーツ」とも呼ばれていて、オリンピック競技への採用を目指しているんです。

——競技ダンスには複数の種目がありますが、それぞれどういった違いがあるんでしょうか。

藤井

「スタンダード(モダン)」「ラテンアメリカン」の2つの分類があり、それぞれ5種目ずつ、計10種目あります。
10種目すべて踊る選手(=テンダンサー)も中にはいますが、スタンダードかラテンどちらかに絞り、5種目を練習する選手のほうが多いですね。

スタンダード(モダン)ワルツ、タンゴ、ヴェニーズワルツ、スローフォックストロット、クイックステップ
ラテンアメリカンチャチャチャ、サンバ、ルンバ、パソ・ドブレ、ジャイブ
藤井

「スタンダード」は優雅なイメージのダンスが多く、女性は長めのドレス・男性は燕尾服など、きっちり目の衣装を着て踊ります。
「ラテンアメリカン」はアップテンポなダンスが多く、アクロバティックな動きを取り入れる場合もあります。女性は短めのスカート・男性は胸元が開けたシャツなど、やや露出が多めの衣装を着ます。

ラテンアメリカンの種目「ルンバ」のワンシーン。すごい体勢……!

——藤井さんの得意種目を教えてください!

藤井

「ラテンアメリカン」の「ジャイブ」です。キックやビートに合わせてステップを刻む動きが多い種目で、アップテンポでノリがいいのが特徴です。
自分自身、踊っていても楽しいですし、海外でもコーチに褒められることが多いのは「ジャイブ」ですね。

 

——競技ダンスには「プロ」と「アマチュア」の区分があって、藤井さんは「アマチュア」ですよね。どういった違いがあるんでしょうか?

藤井

一般的には、「プロ=ダンスの仕事でお金を稼いでいる人」とされていて、ダンス教室を運営している方はプロ資格を持つ方がほとんどです。
ただ、僕自信も含め、アマチュアでレッスン料をいただいてダンスを教えたり、出演料をいただいてショーに出ている選手もいます。

——なるほど……技術面の差はあるんでしょうか。

藤井

トップ層で見ると、アマチュアもプロもレベルは高いので、どちらが上ということはありません。
小さい頃から競技ダンスに取り組み、トップ層を狙う選手は「まずアマチュアで結果を出してからプロへ転向する」と考える人がほとんどですね。プロの上位層で活躍する選手は皆、アマチュアでトップクラスの成績を残しています。

幼馴染に誘われ、習い事として競技ダンスをスタート

——藤井さんは、いつ、どんなきっかけで競技ダンスを始めたんですか?

藤井

小学校1年生の時に、幼馴染に誘われたのがきっかけです。
ちょうどその頃、母親に「何か習い事をしてみたら?」と言われていて、空手と競技ダンスが候補にあがっていました。
ダンススタジオに通っていた幼馴染に誘われて体験レッスンを受けてみたら楽しくて、そのまま入会したんです。

——もしそこで空手を選んでいたら、今の藤井選手はなかった訳ですね……!
大会出場など、競技に本格的に打ち込み始めたきっかけはありますか?

藤井

いえ、明確なきっかけはなくて。家から10分の場所にあるダンススタジオに入会したら、たまたまそこがトップクラスの選手を数多く抱える教室だったんです。
同世代の選手と一緒に試合への出場を重ねるうちに、自然と選手としての意識が芽生えていきました。

——現在は日本にいらっしゃるそうですが、活動拠点はスロベニアだと伺いました。どういった経緯で海外に行かれたんですか。

藤井

2019年の後半からウクライナ出身のダリア・マリネスク選手とカップルを組むことになったのがきっかけで、練習拠点をスロベニアに移しました。
現在はコロナの影響で日本に帰国していますが、スロベニアにいる間は、現地のチームでダリア選手と共に練習をしています。

——パートナーは、種目や大会によって変更するようなことはあるんでしょうか。

藤井

いえ、大会ごとに変更するようなことはなく、基本的には固定です。競技活動をしてきたこの15年間で、何度かパートナーは変更しています。

——素朴な疑問なんですが……パートナーってどうやって探すんですか?

藤井

最近はSNSで探すケースが多いですね。ダリア選手ともSNSを通じて連絡を取り合い、カップルを組みました。
パートナー探しの流れとしては、パートナー募集をSNSなどで公表し、その後「お見合い」をして問題なければ晴れてカップル成立となります。

——「お見合い」というのは?

藤井

まず、一緒に踊ってダンスの相性を確認します。そして、コーチも含めて今後の目標設定などを話し合うんです。お互いの目標や方向性が一致していないとうまくいかないので、パートナーを探す時には、そこをしっかり確認するのがすごく大事なんです。

スポットライトを浴び歓声を聞きながら踊る瞬間が楽しい!

——競技ダンスをしていて「楽しい!」と感じる瞬間を教えてください。

藤井

試合に出てスポットライトを浴びて、お客さんの歓声を聞きながら踊っている瞬間です。
試合で勝ちたい思いはもちろんありますが、踊っている時はその場の空気感を楽しむ気持ちの方が大きいですね。応援の声もすごく力になっています。名前を呼んでくれたり、中には横断幕を作って応援してくださる方もいて、ありがたいですね。

——競技ダンスに取り組む中で、難しく感じるポイントはありますか?

藤井

2人で競技に取り組む点です。結果が良くても悪くても、常に責任は2人にあります。それを踏まえた上で、2人で同じ目標に向けて競技活動に取り組めるかどうかが、すごく大切なんです。
競技ダンスのパートナー選びは、結婚相手を選ぶよりも難しいと言われています。

——パートナーと息の合ったダンスをするために、大切なことは何ですか。

藤井

お互いを尊敬し合うことですね。
競技ダンスには「リード&フォロー」という言葉があります。「男性がリードして女性がフォローをする」という意味です。どちらかの自己主張が強いとうまくいかないので、相手を尊敬する気持ちを常に持ちながら、競技に取り組むようにしています。

——ダンスの振り付けは、ご自身で考えているんですか?

藤井

以前は自分で考えていましたが、今はスロベニアチームのコーチに考えてもらい、自分でもアレンジを加える形にしています。
コーチは元世界チャンピオンで、国際試合で審判も務める方なので、客観的な視点で振り付けを考えてくれます。また、1曲の中で起承転結の一連の流れを作るのも上手なんです。

——大会の衣装はどのように決めているんでしょうか。

藤井

自分でデザインを考えて、スポンサーさんに制作してもらいます。自分に合った衣装を着るのは、試合に勝つためにも重要です。
ダンスのファッションにも流行があって、今は男性は石やスパンコールが付いていない、シンプルな衣装が主流ですね。僕は黒を着ることが多いです。

——競技ダンスをやっていたことで、日常でついやってしまう癖や、身についた特技などはありますか?

藤井

これはダンサーあるあるなんですが、音楽が聞こえると踊りたくなって、体を動かしてしまいがちです(笑)。ダンサー仲間といる時には、一緒に踊り出してしまうこともあります。
あとは、特技……と言えるかわかりませんが、昔からダンスをやっていたおかげで「姿勢がいい」と言ってもらえることは多いです。

@sota.777

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♬ Suck - ÄmaRi

目指すは世界チャンピオン。今できることを積み重ねていきたい

——普段はどんな場所で、どういった練習をされているんでしょうか?

藤井

スロベニアで練習をしていた時には、所属している現地チームでパートナーと一緒に練習をしていました。
体幹トレーニングやコーチからのダンスレッスン、あとは「踊り込み」も行います。試合と同じ形式で、同じフロアに複数組が出て一斉に踊る練習です。

——おひとりの時には、どんな練習をされるんですか。

藤井

競技ダンスの基本動作「ベーシック」を練習しています。立ち方や体重移動の仕方、手足の使い方など、各種目ごとにそれぞれの基本動作があるんです。
あとは、パートナーがいると想定しつつ1人で踊る「シャドー練」をします。
1人で踊れていないと2人で組んだ時にも踊れないので、個人練習もしっかり行っています。

——これまでの競技生活の中で、一番嬉しかったエピソードを教えてください!

藤井

2016年に、国内最高峰の大会「三笠宮杯」で優勝して日本チャンピオンになった時です。前チャンピオンは8連覇していたベテランの選手で、優勝できてすごく嬉しかったです。
当時は高校2年生で、三笠宮杯に出場したのも初めてでした。前チャンピオンには「次の世代に託すよ。これから頑張って!」と言われ、すごく印象深かったですね。

——逆に、悔しかったエピソードはありますか?

藤井

2017〜2018年頃、世界大会でなかなか結果が出せない時期には、悔しい気持ちが強かったです。日本ではチャンピオンとして連覇できていましたが、世界大会では何度チャレンジしてもベスト24に入れなかったんです。
この状況を打破するために環境を変えようと考え、海外選手とパートナーを組み、活動拠点を海外に移すことに決めました。

——海外に拠点を移したのは、そういった経緯があったんですね。藤井さんの、選手としての今後の目標を教えてください!

藤井

目標は、世界チャンピオンです。最終的に目指しているのはプロの世界チャンピオンで、その前にアマチュアの世界チャンピオンになりたいと考えています。
現状はコロナの影響でパートナーとの練習が思うようにできない日々が続いていますが、今の自分にできることをしっかりと積み重ねて、目標に向けて進んでいきたいです。

——藤井さんはSNSを積極的に活用されている印象ですが、これは競技普及のためでしょうか。

藤井

そうですね。若い世代に競技ダンスのかっこよさを知ってもらいたい! という気持ちが大きいです。
あとは、僕自身がもっと有名になれば、競技ダンスを知ってもらうきっかけに繋がるんじゃないか、と言う思いもあります。

——たしかに、若年層に届けるにはTikTokやInstagramなどの活用が有効ですよね。

藤井

もちろん、試合で結果を出すのが一番大切なことなので、競技活動にもしっかり取り組んだ上でSNSも活用していきたいな、と。
小さい子が習い事を選ぶ時の選択肢に、サッカーやテニスなどと並んで競技ダンスも入るようになったらいいですね!

@sota.777

流行りにのってみました!頑張ったので最後まで見てほしいです😭#社交ダンス #特徴あるある #ダンスあるある #自己紹介 #ふじいそうた

♬ original sound - 𓇼

「恥ずかしい」を乗り越えれば「楽しい!」に変わる。ぜひ一度体験を!

——競技ダンスは、どんな人に向いているスポーツですか?

藤井

藤井:老若男女、幅広い方に楽しんでいただけるスポーツです!
基本的な動きを覚えたあとは、先生についていけば踊れるので、初心者でも楽しめます。リズム感や運動神経に自信がない方でも問題ありません。
姿勢がよくなり、人前で堂々と振る舞うのも得意になります。また男性なら、女性をエスコートする動きやマナーも身に付けられます。

——やりたくなったらまずは何から始めたらいいんでしょうか。

藤井

まずは、家の近くのダンス教室を調べて見学に行ってみるのがいいと思います。
教室のWebサイトには、先生の経歴や所属選手が載っているケースが多いので、そちらをチェックするのもいいですね。
ちなみに、僕もレッスンをやっています。まったくの初心者の方でも参加OKなので、ご興味があればSNS経由で連絡をいただければと思います!

Instagram@sota.fujii
TikTok@sota.777
Twitter@sota1146

——競技ダンスを始めるにあたり、用意したほうがいいものってありますか?

藤井

ダンスシューズですね。体験レッスンの時点では必要ありませんが、本格的に通うなら自分の足に合った靴を用意する必要があります。男女ともに1万〜1万5,000円程度で購入できます。
女性の場合、試合ではハイヒールを履くのが一般的ですが、最初のうちは「ティーチャーズシューズ」というヒール付の革靴で練習することが多いです。

——ダンス専用のウェアを用意する必要はないんでしょうか?

藤井

最初のうちはTシャツにスウェットなど、動きやすい服装なら何でもOKです。
ダンスの練習用ウェアは、続けて行く中で欲しくなったら購入を検討するくらいでいいと思います。専門のショップで、女性のダンス用スカートは5,000円程度〜、男性の練習用ズボンは8,000円程度〜販売しています。

——ちなみに、藤井さんもウェアのデザインをされているとか……?

藤井

はい、ダンスウェアショップ「gentil」さんとのコラボで、デザインを担当したウェアを販売しています。よかったらチェックしてみてください!

——最後に、競技ダンスを始めようとしている人へメッセージをお願いします!

藤井

姿勢がよくなる、人前で振る舞うのが得意になる、などのメリットもありますが、何よりも音楽に乗って踊る楽しさを沢山の人に知ってほしいんです。
趣味で続けてもいいし、高みを目指して大会に出場するのもいいと思います。初めは恥ずかしいかもしれませんが、そこを乗り越えれば「楽しい!」に変わります。ぜひ一度体験してみてください!

競技ダンスを始めるのにかかる費用

ダンスシューズ約1万〜1万5,000円
ウェア練習用ズボン約8000円〜、練習用スカート:約5000円〜(手持ちのTシャツ、スウェットなどなら0円)
レッスン料教室により異なる

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