自然と触れ合いながら頭脳も駆使する究極のアウトドア!「オリエンテーリング」の奥深さ【マイナースポーツ#41】

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自然と触れ合いながら頭脳も駆使する究極のアウトドア!「オリエンテーリング」の奥深さ【マイナースポーツ#41】

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地図を頼りに自然の中を駆け抜ける競技「オリエンテーリング」。年配の競技者もいることから、生涯スポーツと呼ばれています。

今回インタビューしたのは、全日本大会優勝、世界選手権出場といった輝かしい経歴を持つ伊藤樹さん。日本のオリエンテーリング界の未来を担う名プレイヤーです。

そんな伊藤さんに、オリエンテーリングの魅力や、自然の中で競技をすることの難しさ、今後の展望などを伺いました。

90歳の競技者も! 幅広い競技人口を持つオリエンテーリング

――オリエンテーリングって、どんな競技なのでしょうか?

伊藤

簡単にいうと、オリエンテーリング専用の地図を使って、チェックポイントを通過しながらゴールを目指すアウトドアスポーツです。大会では、そのタイムを競います。

――どんな種目があるのでしょうか?

伊藤

大きく分けると、山や森の中を走る「フォレスト」と、市街地を走る「スプリント」の2つですね。一般的なのは「フォレスト」で、90〜120分の競技時間のロング、40分程度で競技を行うミドル、リレー形式の団体という種目に分かれています。

――歴史はどのくらいあるのでしょうか?

伊藤

「フォレスト」はけっこう昔からありますが、「スプリント」が誕生したのは20年くらい前だと聞いています。森の中を走る人を実況するのが難しいので、より実況しやすい形式のものを作ろうと生まれました。

――競技人口はどのくらいですか?

伊藤

歳を重ねてもできる生涯スポーツとされているので、正確な数字を出すのは難しいのですけど、日本だと3000人と言われていますね。大学から始める人が多くて、大学生の競技人口は1000人くらいです。競技者の中には90歳を超えた方もいらっしゃるんですよ!

――90歳超えとは驚きです! 競技の進め方をお聞きしたいです。

伊藤

競技直前に渡された地図を持ち、選手は時間の間隔をあけて一人ずつスタートしていきます。選手は地図を読み解きながら山道を走って、チェックポイントを通過してゴールを目指します。ちなみに、チェックポイントには交通系のICカードのようなEカードと呼ばれるカードを使って通過していくんですよ。

――まず地図を読み解くのが難しそうです。

伊藤

地図を読解して即座にルートや作戦を考えなきゃいけないので、実はオリエンテーリングってフィジカルだけじゃなく、頭脳も重要になってくるんですよ。でも地図を理解できるとおもしろいですよ!

――読解力も重要なんですね! でも開催地となる土地を事前に把握していれば、ルートを立てやすかったりしませんか?

伊藤

開催地は事前に公表されるんですけど、立ち入り禁止エリアとして制限をかけられるんですよ。しかも、オリエンテーリングで競技場所となるのは、誰も入ったことのないような山の中だったりするので、そこで渡された地図と、それを元にした経験則だけが頼りになりますね。

――オリエンテーリングの地図って、一般的なものとは違いますか?

伊藤

そうですね。オリエンテーリングの地図には、地名や山など固有名詞は載ってなくて、地形や小川、森などが細かく表記されてます。初めてみたらなにがなんだかわからないと思います。僕もそうだったので(笑)。でもこれを読み解けるようになるのが、オリエンテーリングの魅力の1つでもあるんですよ。

壮大な自然を駆ける開放感と森の触感に魅せられて

――伊藤さんがオリエンテーリングを始めたきっかけを教えてください。

伊藤

高校まで陸上部で長距離をやっていたんです。3年間どっぷり浸かっていた分、続けるしんどさもわかっていたので、大学に入ったら陸上とは違う新しいスポーツを始めたくて。今から5年ほど前、走ることは続けたいと考えていた中で、大学の部活動として出会ったのがオリエンテーリングでした。

――入部の決め手になったものはありますか?

伊藤

新入生歓迎会で日光の山でオリエンテーリングをしたんですよ。その山がなんとも言えない美しさで感動してしまって。そんな美しい自然の中を自由に走り回れる開放感にも心奪われてしまいました。落ち葉や小枝の上を走った時、パキパキっと音がしたりして。森の触感を体感しながら自然と触れ合っているのが楽しくて、オリエンテーリングを始めたいと思いました。

――素敵ですね。元々、自然が好きなんですか?

伊藤

静岡県浜松市なので、自然の中で育ったというわけでもないんですが、両親がキャンプ好きでよく自然のあるところに連れて行ってもらっていましたね。だから、心のどこかで自然を欲していたのかもしれません。

――オリエンテーリングの魅力は、やはり自然を享受できるところ?

伊藤

全国どこでもできるので、その土地ごとの個性や魅力に触れられるのが魅力だと思います。例えば、伊豆の天城山は溶岩流によって形成された山なんですけど、ここでオリエンテーリングすると、溶岩石がゴロゴロ転がっていたりして。そういう背景をしっかり目で見て捉えられるのもいいんですよね。

――反対に、自然の中で行う競技だから難しい点はありますか?

伊藤

山の中を走るので過酷ではありますね。あとは夏は蜂が出たり、草木が生い茂ったり、冬はめちゃくちゃ寒かったり、雪が降って開催できなかったりと、環境や気候に左右されることは多いですね。

――陸上競技と違う魅力は、どんなところだと思いますか?

伊藤

地図を読んでルートを決める“ナビゲーション”をするところですかね。地図が読めるようになると、現地の景色が3Dで想像できるようになるんです。タイムを縮めるために山を登った方がいいのか、はたまた距離は伸びるけど回避すべきなのか。自分に合ったルートを練られるようになると、もっと楽しくなっていきますよ。

伊藤さんが製作したオリエンテーリング用のマップ/複製厳禁

――奥深いんですね。

伊藤

そうなんです。それに、地面が滑りやすかったり、草木が生い茂っていたり、地図に描かれている以外の不確定要素がいっぱいあるんですよ。だからこそ奥深くて魅力的なんですけどね。

――オリエンテーリングをやられて約5年。“あるある”ってありますか?

伊藤

地方を観光していても、「ここでオリエンテーリングやったら楽しそう」と思っちゃいますね(笑)。その土地で自分がオリエンテーリングしている姿を想像してしまいます。

世界のレベルを目の当たりにして、競技への本気度がアップ

――どんなトレーニングをしていますか?

伊藤

普段は、フィジカルとナビゲーションのトレーニングをしています。フィジカルトレーニングは日々のランニングで強化できるんですけど、ナビゲーショントレーニングは日常で行うのは結構難しくて……。

――と言いますと?

伊藤

やはり家でオリエンテーリングの地図を見てルートを検討するより、実際に山や森の中でナビゲーションを練習するのが効果的なんですよね。今はコロナ禍でなかなかできないですけど、週に2、3回は山や森でトレーニングするのが理想です。

――世界を意識し出したのはいつ頃なのでしょうか?

伊藤

2018年の大学4年生とき、学生大会で優勝して、そのまま日本選手権でも勝ったんです。それで世界選手権へも出場することになったんですが、コテンパンに負けてしまって……。いくら日本でトップとはいえ、海外のレベルには到底追いついていませんでした。それでもっと本格的にトレーニングに励むようになりました。

――トレーニングはどう変わりましたか?

伊藤

オリエンテーリングの本場とされる北欧、アルプス山脈のあるフランスやスイスに長期遠征しました。向こうの山や森は、ダイナミックな上、複雑な地形をしているので、ナビゲーションのレベルアップができるので。

――日本とは違うんですね。

伊藤

はい。スウェーデンには苔がむしてて幻想的な森が広がっているんですが、僕はそこでトレーニングしていました。向こうは都市部からすぐ近くに森があるし、競技人口も多くてクラブチームもたくさんある。練習環境が整っているので、平日の夜でもトレーニングしているくらいなんですよ。

――世界のレベルを知った今、伊藤さんの目標は?

伊藤

近年、日本の選手は、世界選手権の予選を突破できていないんです。だから僕の直近の目標はそれですね。

オリエンテーリングは、初心者クラスから始めてレジャーとして楽しむのがおすすめ

――オリエンテーリングって、未経験の人でもできますか?

伊藤

できるかできないかで言うと、できると思います! 実は大会には、初心者クラスが設定されていることもあるんです。地図の読み方を教えながらチェックポイントを回るので、初めての方でも安心だと思いますよ。

――それは安心ですね! オリエンテーリングを始める場合、必要なものってありますか?

伊藤

オリエンテーリングに必要な地図は支給されますし、コンパス、チェックポイント通過時に使うEカードもレンタルできるので、動きやすい服と靴があればOKです。草木が生い茂っている場合が多いので、服は長袖長ズボンがオススメです。

――オリエンテーリングを続けるコツやヒントはありますか?

伊藤

ポピュラーな競技ではないですが、アウトドアや登山が好きな方、自然と触れ合いたい人は続けられると思いますよ。競技で始めるより、まずはレジャー感覚でスタートしてみたらいいかと!

――なるほど。伊藤さんが競技として続けられているのはなぜですか?

伊藤

世界選手権の予選突破という、明確な目標があるからです。あと、マイナー競技とはいえ、自分の周りにも高いモチベーションを持った人がいることも大きいですね。オリエンテーリングを向上させたいという方々に触発されて、背中を押してもらっているから、競技を続けられていると思います。

――最後に、オリエンテーリングを始めたいと思っている人にメッセージをお願いします。

伊藤

自然に触れて心動かされたり、地図を読んで自分で進むルートを決めたり、オリエンテーリングには、走ること以外の魅力がたくさんあります。まだまだマイナーなスポーツですが、実は奥が深くておもしろいのでまずはレジャーとして始めてみてください!

オリエンテーリングを始めるのにかかる費用

ウェア

0円(すでに持っている長袖長ズボンでOK)

シューズ

0円(すでに持っているものでOK)

コンパス

約1,000円〜(レンタルも可)

Eカード

約7,000円〜(レンタルも可)

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