銃の早撃ちで0.001秒を競う世界一速いスポーツ「ファストドロウ」とは【マイナースポーツ特集#03】

趣味

銃の早撃ちで0.001秒を競う世界一速いスポーツ「ファストドロウ」とは【マイナースポーツ特集#03】

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「バン!バン!」という音のする部屋に恐る恐る入ってみると、そこには真剣な表情で銃を構える方たちがいました。

真剣な表情でファストドロウをしている人たち

真剣な表情で銃を構え、「その時」を待っている方々。

「意外かもしれませんが、ファストドロウは大人から子どもまで楽しめる世界一安全なシューティングスポーツなんですよ」

そう語るのは、日本ファストドロウ協会であるWFDA-JAPAN(World Fast Draw Association-JAPAN)の関東支部で事務局長を務めるTom久保さん。西部劇好きから派生してファストドロウにハマり、歴はもうすぐ15年になるそうです。

ファストドロウというスポーツを初めて知り、目の当たりにして、興味津々!ルールや必要な道具といった基本的なことから、安全性やどんな魅力があるかなどを、たっぷりと伺ってきました。

子どもも楽しめる「世界一安全なシューティングスポーツ」

WFDA-JAPANの関東支部で事務局長を務めるTom久保さん

WFDA-JAPANの関東支部で事務局長を務めるTom久保さん

――今回、ファストドロウを初めて知りました。どんなスポーツなんですか?

Tom

簡単にいうと、銃の早撃ちを競うものです。オールドウェストのガンファイトが起源となっていて、アメリカでは1950年代から本格的に競技として始められました。日本に入ってきたのは1970年代です。

日本では2つの種目が行われています。1つがモデルガンとキャップ火薬、風船を使った「ブランク」という種目で、もう1つはガスガンとプラスチック製のBB弾、金属製のターゲットを使った「ワックス」という種目です。ブランクはさらに、1個の風船を割る「シングルブランク」と2個の風船を割る「ダブルブランクス」があります。

――種目によって使う道具と狙うものが違うということですか?

Tom

そうです。異なる銃を使い、ブランクは40cmの距離から火花で風船を割り、ワックスは2.44m離れた場所からターゲットにBB弾を当てます。

火花で風船を割る種目「ブランク」

火花で風船を割る種目「ブランク」

離れた場所からターゲットをBB弾で狙う種目「ワックス」

離れた場所からターゲットをBB弾で狙う種目「ワックス」

――なるほど!さらに詳しいルールを教えてください。

Tom

まずは、西部劇で見るようなベルトのホルスターに銃を収め、決められたラインより前に出ないように立ちます。そして、「シューター セット」の合図で銃からいったん手を離し、ランプが点灯したら銃を抜いて風船もしくはターゲットを撃ちます。ランプの点灯から撃ち終わるまでのタイムを競うわけですね。

タイムは1/000秒まで測定できるWFDA(World Fast Draw Association)公認のタイマーを使っています。ランプが光るのと同時にカウントを始め、風船が割れるかターゲットに弾が当たると止まります。

――えっ!撃つ前は銃を触ってないんですか?

Tom

よく見ると触ってないんですよ。ランプが点灯してから銃を握ってホルスターから抜き、ハンマーを起こし、ターゲットに銃口を向けて、引き金を引いているんです。

触れるか触れないか、ギリギリの位置で待ち構えます。

触れるか触れないか、ギリギリの位置で待ち構えます。

――動きが早すぎて見えませんでした(笑)。

Tom

シングルブランクの場合、速いシューターは0.2秒台で撃つことができます。0.001秒を競いあうので、「世界一速いスポーツ」といわれているんですよ。

大会では、シングルブランクとワックスは7発撃ってベスト5発のタイムを採ります。ダブルブランクスは5発中の3発。つまり、速さだけでなく正確さも求められるんですね。

――0.2秒……すごい!ファストドロウって、日本でどれくらい広まっているんですか?

Tom

支部が関東、中部、関西、九州の4つあり、会員は合わせて300人くらい。年齢は10代から60代後半までと幅広く、学生、公務員、会社役員、医療・教育関係者、専門技術者など、さまざまです。めずらしい職業だと、お坊さんがいますね。

最近は、映画やドラマ、漫画などの影響で始める人が増えています。ウエスタンファッションが好きで始めたという方も多いですね。大人の男性ばかりのイメージがあるかもしれませんが、女性や子どももいますよ。

――今日も、お子さんがいますね!

Tom

ファストドロウは、「世界一安全なシューティングスポーツ」ともいわれています。ブランクに使う火薬は玩具用で、薬量は0.01g以下。パーティークラッカーより少ない量なんです。

ワックスで使うBB弾も市販のプラスチック製で、大きさは6mmと定められています。他にも「銃口を人に向けない」「撃つ時以外は弾を装填しない」などのルールがあり、きちんと守って行えば極めて安全なので、お子さんも安心して楽しんでいただけます。

ちなみに、ジークは小学6年生です。彼は始めてまだ半年くらいなんですが、今年10月に開催された全国大会のダブルブランクス部門で、たくさんの大人たちを破って優勝したんですよ!

ダブルブランクス部門で優勝を果たした、小学6年生のジーク君。

ダブルブランクス部門で優勝を果たした、小学6年生のジーク君。

――年齢に関係なく優勝のチャンスがあるってことですね。ところで……ずっと気になっていたんですが、皆さんニックネームで呼びあっているんですか?

Tom

「シューティングネーム」といって、入会時に自分で決めるんです。長すぎなければどんなものでもOK。自分が呼んでもらいたい名前や、映画やドラマのヒーローの名前とか、由来はそれぞれですね。

ファストドロウは「自分との戦い」。だからこそ、終わりがない

ファストドロウの魅力について語るTomさん

ファストドロウの魅力について語るTomさん

――Tomさんがファストドロウの存在を知ったのはいつ頃ですか?

Tom

1980年代に、海外情報を扱うテレビ番組で紹介されているのを見て知りました。実際に始めたのは10年ほど前。ハートフォードというモデルガンメーカーの直営店で、店員さんからファストドロウの練習会があることを教えてもらったんです。

もともと西部劇が好きで、高校生の頃はモデルガンを買って友達と今でいうサバゲーのようなことをやっていました。銃を撃つことに憧れていたので、「これだ!」と思いましたね。実際にファストドロウをやってみて、すぐにハマりました。

――ファストドロウの一番の魅力とは何でしょう?

Tom

終わりがないところですね。他の人より早いタイムを出すというよりも、前回自分が出した記録を超え続けるところに魅力を感じます。どれだけ早く撃っても0.3秒台だったのが、練習中に0.298秒を出せた時は嬉しかったですね!

個人的には、西部劇のようなウエスタンファッションを違和感なく楽しめるところにも魅力を感じています。

――15年続けてらっしゃるとのことですが、ファストドロウを始めてからついた癖ってありますか?

Tom

車の運転をしていて、信号が赤から青になった時に、素早くアクセルを踏んでしまう癖ですね(笑)ランプに反応してしまうのと、他の人と速さを競う癖が日常生活でも出ちゃってます。他の人より早く前に出られた時は、やっぱり嬉しくなりますね(笑)。

――あはははは!(笑)やっぱりランプの点灯に敏感になるんですね。ちなみに、ファストドロウを始めるにはどんな道具が必要ですか?

Tom

まずは銃と弾、ホルスターですね。個人で購入できる銃には、日本遊戯銃協同組合(ASGK)公認のモデルガンやガスガンがあるのですが、デザインで選ぶのか、撃ちやすさで選ぶのかは、人によって違いますね。

練習会は普段着でOKですが、大会に出場する場合には正装する必要があります。

――正装というのは?

Tom

カウボーイハットにシャツ、ブーツといったウエスタンファッション、ポンチョを着てハットをかぶるメキシカンスタイルなど。そこまで厳しい規定はなく、1800年代の映画に出てくるようなファッションであればOKです。スーツで出場する人もいますね。

それと、今日は練習会ですが、撮影があるので正装してきました(笑)。

Tomさんの正装は、西部劇で憧れたウェスタンファッションです。

Tomさんの正装は、西部劇で憧れたウェスタンファッションです。

――素敵です!Tomさんは、ファッションや道具にどんなこだわりがありますか?

Tom

もともとウエスタンライディングをやっていたので、ファッションはウエスタンスタイルが基本です。ハットはステットソン社やレジストール社製、ウエスタンシャツ、乗馬用のジャスティン社、トニーラマ社、アリアット社のウエスタンブーツ。ジーパンはアメリカのホースライダーが愛用している「ラングラー社」製で、ベルトのバックルはモデルガンの元になった実銃をつくっているアメリカの銃器メーカー「コルト社」のレプリカです。

道具に関しては、西部劇でよく見る回転式の銃「コルト・シングル・アクション・アーミー」を使っています。とにかくシンプルで形が美しいんです。ボディはより実銃っぽく見えるように特別な塗装を施しました。グリップも標準はプラスチックなんですが、黒檀や刻みが入ったものにカスタムしています。あとは、ホルスターに銃を入れた時にちょうど見える部分にシューターネームを彫っています。

グリップの底に「Tom.K」と彫られています。

グリップの底に「Tom.K」と彫られています。

Tom

自己満足の世界ではありますが、こだわればこだわるほど愛着が湧きますね。休日は銃を分解して筒の中やシリンダーの掃除をしたり、弾を洗ったりしています。それもまた楽しいんですよ。銃もホルスターもきちんとメンテナンスして丁寧に使えば長持ちするので、他のスポーツと比べて経済的なのではないかと思います。

――練習会や大会の頻度はどれくらいですか?

Tom

練習会は月1〜3回。立川の文化施設「たましんRISURUホール」の地下の部屋を借りて行なっています。記録会は年4回、関東大会は年1回の開催です。「ALL JAPAN FASTDRAW CHAMPIONSHIP」という全国大会は年1回で、来年は三重県四日市市で行われます。

大会には全国から人が集まるので、競技はもちろんですが、いろんな人と交流できるのが楽しいんですよね。道具やファッションのこだわりについて話したり、情報共有をしたりしています。私はそこでグリップにたくさんの種類があることを知って、カスタムを始めたんです。

記録会での優勝、全国大会で10位以内に入ることが今の目標。また0.2秒台を出したいですね!

予約不要、手ぶらで気軽に参加OK!

参加資格はいりません!誰でも気軽に遊びに来てください!

参加資格はいりません!誰でも気軽に遊びに来てください!

――ファストドロウを体験してみたい人は、どうしたらよいのでしょう?

Tom

練習会では、500円でファストドロウを体験できます。銃や弾、ホルスターは無料で貸し出しています。風船や火薬などの消耗品費として500円いただきますが、予約もいらないので気軽に手ぶらで来てもらえればと思います。10時〜16時まで撃ち放題ですよ!(笑)

立川での練習会は、関東ファストドロウのブログ㈱ハートフォード社のホームページに場所や開催予定日、連絡先などが書いてあるのでチェックしていただければ。

――最後に、これからファストドロウを始めようと考えている人に向けて、メッセージをお願いします!

最後の一言をWFDA-JAPAN会長からいただいたそうです......!

最後の一言をWFDA-JAPAN会長からいただいたそうです……!

Tom

日本にいながらアメリカのオールドウェストの雰囲気が味わえる……。それがファストドロウの大きな魅力のひとつです。日本では銃が身近にないので、ファストドロウを始めるのは少々ハードルが高いかもしれませんが、だからこそ非日常を体験できると思います。

銃刀法に基づいて、安全なモデルガン・エアソフトガンを使用し、実銃同様のルールとマナーをきちんと守って行なうことで、銃を扱う動作、心をコントロールする力も育っていきますので、安全面でも安心していただきたいですね。

勝負が1秒以内に決まる、1000分の1秒を争う競技の楽しさ。ぜひたくさんの方に体験してみてほしいです!

――楽しかったです。ありがとうございました!

ファストドロウにかかる費用

練習会500円
モデルガン16,500円〜
ホルスター20,000円〜
ハット5,000円〜
ウエスタンシャツ5,000円〜
ウエスタンブーツ

5,000円〜

合計

52,000円〜

【Tomさんおすすめのモデルガン】

ハートフォード社 シングル・アクション・アーミー(通称ピースメーカー)
セットで弾6発と説明書が付属しており、初心者でも簡単に組み立てられる

【年会員について】

年会費

10,000円(学生5,000円)

※月額費不要

特典

練習会と記録会の参加費が500円になり、朝9時から練習会の設営を行った方は、練習会の参加費が無料になります。

また、関東大会のエントリー費が7,000円から5,000円に割り引かれます。

 

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