1年半で世界一!?「モルック」にハマる理由を日本人初の世界チャンピオンに聞いた【マイナースポーツ特集#31】

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1年半で世界一!?「モルック」にハマる理由を日本人初の世界チャンピオンに聞いた【マイナースポーツ特集#31】

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木の棒を投げて木のピンを倒し、獲得した点数を競う「モルック」。1996年にフィンランドで発祥したスポーツで、現在の競技人口は世界で3万人を超えると言われています。

今回インタビューしたのは、今年の世界大会で日本人初優勝を果たした河野靖信さん。20194月からモルックを始め、わずか1年半ほどで世界一に輝きました。そんな河野さんにモルックのルールや魅力、最近始める人が増えている理由などを伺いました!

地面に並べられた木のピンをめがけて木の棒を投げる。フィンランド発祥のスポーツ

――「モルック」とはどんなスポーツですか?

河野

フィンランド・カレリア地方の伝統的な「kyykkä(キイッカ)」というゲームをもとに開発された、ボーリングとビリヤードとダーツを合わせたようなスポーツです。現在、世界の競技人口は約3万人、日本国内は約5,000人と言われています。

――ルールを教えてください。

河野

使うのは「モルック」という木製の棒と「スキットル」という1から12までの数字が書かれた木製のピン。並べられた12本のスキットルめがけてモルックを投げ、スキットルの数字やスキットルの倒れた本数によって点数を獲得していき、先に50点ぴったりにしたほうが勝ちです。

――スキットルの数字や倒れた本数というのは?

河野

1本しか倒れなかった場合はスキットルに書かれている数字が点数となり、複数倒れた場合はその本数が点数になるんです。

――なるほど。50点を超えてしまった場合は?

河野

得点が25点戻され、そこからまた50点を目指します。

――モルックの投げ方は自由なんですか?

河野

いえ、必ず下手で投げなければなりません。持ち方は自由なので横に持ったり縦に持ったり、「裏投げ」といってバックハンドで持ったりと状況によって使い分けています。

――どんなふうに使い分けているんですか?

河野

基本は横持ちで投げ、例えば、3本並んだスキットルの真ん中だけを倒したいときは縦投げ、奥にスキットルがある状態で手前のスキットルだけを倒したいときはバックスピンをかける裏投げを使っています。

――対戦は何人で行うんですか?

河野

世界大会は4人1チームですが、個人戦の大会もチーム戦の大会もあります。普段自分たちで楽しむ分には最低2人いれば対戦可能です。

――反則行為はありますか?

河野

モルックを投げる位置に置く「モルッカーリ」に触れたり踏み越えてしまったりするとファール扱いでそのターンの得点が0点に。また、3回連続でスキットルを倒せなかった場合は失格となります。

始めて半年で出場した世界大会でレベルの違いを痛感

――河野さんはいつモルックを始めたんですか?

河野

2019年の4月です。たまたま友人がモルックを知っていて、ルールを聞いてみたら面白そうで。すぐに日本モルック協会が開催している練習会に参加しました。

――実際にやってみてどうでした?

河野

趣味で5年くらいボウリングをやっていたからか、難なく下手投げができて、モルックをスキットルに当てることもできたので最初から楽しめました。また、木の棒を投げるというシンプルなルールながら、運だけでなく戦略性が求められる奥深いスポーツだということを知り、さらに魅力を感じましたね。

――戦略にはどんなものがあるんですか?

河野

先攻の場合は最短であがれるように動き、後攻の場合は対戦相手の狙っているスキットルを別のスキットルに寄せたり遠くへ飛ばしたりして、妨害しながら先にあがれるように動く。突き詰めるとこの2パターンですね。

――初めて大会に出場したのはいつですか?

河野

モルックを始めて1ヶ月後の2019年5月に、友人と2人チームで東京大会に出場しました。モルックをやるのはまだ3回目でしたが、40チーム中11位という結果で、「これは向いているんじゃないか?」と思いましたね(笑)。

――初心者とは思えない好成績ですね!同年8月には世界大会にも出場されて。

河野

はい。東京大会にお笑いコンビ「さらば青春の光」の森田哲矢さんのチームも出場されていたのですが、打ち上げの席で「世界大会に行こう!」と盛り上がり、その場のノリで出場が決まったんです(笑)。

――そうだったんですね(笑)。結果はどうだったんですか?

河野

日本は全チーム二次予選敗退で決勝トーナメントには進めませんでした。負けず嫌いなのですごく悔しくて……。でも、同時に「世界一を目指そう」という気持ちが芽生え、帰国後は本気でモルックに打ち込むようになりました。それから今まで月の半分くらいはモルックに費やしています。

――海外選手のプレーはいかがでした?

河野

技術力の高さに驚きました。一発でスキットルを10メートルくらい飛ばしたりとパワープレーをする一方で、コントロールも良くて全然外さないんです。圧倒的なレベルの差を感じましたね。

――試合中、会場はどんな雰囲気なんですか?

河野

テニスの試合に近いですね。モルックを投げるまでは静寂に包まれていて、投げてスキットルに当たると一気に盛り上がります。

念願の世界チャンピオンに。「日本人プレイヤーの実力をアピールできた」

――今年の世界大会(個人戦)で優勝されたんですよね。おめでとうございます!

河野

ありがとうございます!オンラインでの開催ではありましたが、念願だったのでとても嬉しかったです。また、周りの協力があったからこそ投げることに集中できたので感謝の気持ちでいっぱいです。日本人初の優勝ということで、世界に日本人プレーヤーの実力をしっかりアピールできたのではないかと思いますね。

――オンラインの大会はどのように行われたんですか?

河野

2ヶ月くらいかけて海外の選手たちと日程調整しました。試合ではビデオ通話で対戦相手の倒したスキットルの位置を再現しないといけないので、「今12番のスキットルが4メートル地点からモルック何本分のところにある」などと細かく伝えてもらって。通常は1ゲーム15分ほどですが、オンラインでは40分くらいかかりました。

――再現するのは大変そうですね……。河野さんはモルックを始めてすぐトップ選手になりましたが、モルックのどんなところが自分に合っていたと思いますか?

河野

モルックの投げ方は人によって全然違うのですが、僕は山なりに投げてピンポイントでスキットルに当てる方法で、正確な方向性と距離感が求められるんですね。その感覚をつかむのが人より得意なのかなと思っています。

――モルックをうまく投げるコツってあるんですか?

河野

大事なのは腕をまっすぐ振ることです。僕の場合、腕の振りはボウリングのフォームを応用していて。さらに、「遠投のときはリリースポイントをここにする」など、うまくいったときの条件をメモして再現性を高めています。

――今後の目標を教えてください。

河野

来年フィンランドで開催される世界大会でチームで優勝することです!これから一丸となって技術を磨き、世界一を目指して頑張ります。

――あらためて、モルックの魅力はどんなところでしょうか?

河野

一番は老若男女問わず楽しめるところです。また、スキットルは倒れた位置で再び立てられるので、試合がスタートしたら同じシチュエーションになることがありません。状況によって戦略を組み立て、相手より早く50点を獲れたときの達成感も醍醐味ですね。

――逆に難しいところは?

河野

どれだけ練習しても外すことがあるのと、スキットルの形が独特でどう転がるか予測がつかないので、思い通りの位置に持っていくのがとても難しいです。

――モルックをやっているからこそ身についた癖はありますか?

河野

モルックっぽい形のものを持つと素振りをしてしまうようになりました。ペットボトルなんかは形も重さもモルックに近いで持つとつい腕を振ってしまいます(笑)。

――あははは!そのまま投げないでくださいね(笑)。河野さんはモルックを始めたときのように、興味のあることには積極的に挑戦するタイプですか?

河野

そうですね。これまでもボルダリングやスラックラインに挑戦したり、トランポリンのあるジムに行ったりと興味を持ったらすぐに実行に移すタイプです。

――いろいろやったなかでモルックが一番向いていたんですね。モルックに出会って良かったと思うことはありますか?

河野

日本代表という貴重な経験ができていることと、交友関係が広がったことです。年齢や性別、職業に関係なく幅広い方とモルックを通して交流を深められてとても楽しいです。芸人さんやアイドルの方など、普段の生活では知り合えないような人と知り合えたのもモルックのおかげですね。

運動が苦手な人でも大丈夫!気軽に始められて無理なく続けられる

――普段は誰とどんな練習をされているんですか?

河野

平日の仕事終わりや土日に、集まったメンバーと公園でひたすらゲームをしています。

――どんな方が参加されているんですか?

河野

小学生から60代の方まで幅広いです。最近は女性が増えていて、女性だけの個人戦や男女ペアの大会も開催されています。

――河野さんは普及活動にも力を入れてらっしゃるんですよね?

河野

はい。モルック団体「エニタイムモルックジム」を立ち上げて練習会を開催しているほか、通年リーグ「エニタイムモルックリーグ」、日本最大級の個人戦「ドラゴンスキットルカップ」を主催したり、世界最大規模のモルックの全国大会「モルワングランプリ」の運営に関わったりしています。

――主催されている「ドラゴンスキットルカップ」はどんな大会ですか?

河野

コンセプトは「大会だけで終わらない大会」です。普段から真剣勝負できる場を提供することで、世界で戦えるモルッカーが生まれるのではと考えてつくりました。

――どんな仕組みなんですか?

河野

ドラゴンの刻印をした小さなスキットル「ドラゴンスキットル(ドラスキ)」を12本つくりました。まずは個人戦を行い、上位12名に順位と同じ数字のドラスキを贈呈。大会終了後、ドラスキの争奪戦がスタートします。

――全国各地でドラスキをめぐって真剣勝負が繰り広げられるということですね。

河野

その通りです。ドラスキを持っている人を「ドラスキホルダー」と呼び、今誰がドラスキホルダーなのかがわかるサイトもつくりました。ドラスキの保持数、数字によって順位が決まり、最終的に12本集めたモルッカーに国内最強の称号が与えられます。

――最近モルックを始める人が増えているようですが、なぜなんでしょうか?

河野

「さらば青春の光」の森田さんが積極的にメディアで発信してくださっているのが大きいです。モルックセットも去年の5倍くらい売れているみたいですよ。

――5倍はすごいですね!

河野

モルックは激しい動きがないので、運動が苦手な人や体力に自信がない人でも楽しめます。ルールもシンプルで使う道具はモルックセットのみ。気軽に始められて無理なく続けられるところも、流行っている理由だと思いますね。

――モルックをやってみたいと思ったらどうしたらいいのでしょうか?

河野

まずは全国各地で開催されている練習会などに参加してみるのがいいと思います。僕が代表を務める「エニタイムモルックジム」の練習会に参加をご希望の方は、Twitterアカウント(@anytime_molkky)から開催情報をご確認ください。モルックの面白さや上手くなるためのコツを紹介するYouTubeチャンネルも開設したので、ぜひ参考にしてみてくださいね!

――最後に、これからモルックを始めたいと思っている方にメッセージをお願いします!

河野

新しい趣味を見つけたい、交友関係を広げたいなど、どんな目的であれモルックを楽しんでいただけたら嬉しいです。僕もそうでしたが、これから始めてもトッププレイヤーになれる可能性は十分にありますよ!

モルックを始めるのにかかる費用

モルックセット6,000円前後
練習会参加費

はじめの5回 無料
・大人 1500円/月 or 300円/日
・学生 500円/月 or 100円/日
(エニタイムモルックジムの場合)

貯金してやってみる!

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