飲み会ゲームがスポーツに?!世界的競技「ビアポン」の正体に迫る【マイナースポーツ特集#27】

趣味

飲み会ゲームがスポーツに?!世界的競技「ビアポン」の正体に迫る【マイナースポーツ特集#27】

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ビアポンは、1940年代にアメリカで流行した「互いの前にビールが入ったカップを並べ、相手が投げたピンポン玉が自分のカップに入ったらその中のビールを飲み干す」という飲み会ゲームが発祥と言われています。

その起源から「ビアポン=お酒を飲まされるんでしょ……?」ととらえる方も少なくありませんが、実はアメリカやヨーロッパ、アジアなど世界各国で競技として取り組まれている、れっきとしたスポーツなんです!

「ビアポンは、お酒を飲めない人も楽しめます!」と語ってくれたのは、2020年オンライン世界大会で女子最優秀賞に輝いた、柴田優さん。柴田さんに、ビアポンを始めたきっかけや魅力をたっぷりと伺いました!

アメリカで流行った飲み会ゲームが発祥。世界大会の賞金は約300万円!

——「ビアポン」ってどんなスポーツなんでしょうか?

柴田

1940年代にアメリカの大学生の間で、「互いの前にビールが入ったカップを並べて、相手が投げたピンポン玉が自分のカップに入ったら、その中のビールを飲み干す」というゲームが流行ったそうなんです。そこから、ビール(ビア)+ピンポン玉(ポン)=「ビアポン」が生まれたと言われています。

——飲み会ゲームが発祥なんですね!

柴田

そこから派生して、現在はスポーツ競技としても親しまれています。
もともとホームパーティーなどで遊ばれていたものなので、テーブルの高さやカップの大きさなど、細かい決まりはなかったんです。そこでアメリカのBPONG.comが、2006年に第1回世界大会「WSOBP(The World Series of Beer Pong)」を開催する際、オフィシャルルールを制定しました。

——そこから競技として本格的に広まっていったんですね。競技としてのビアポンは、どんなルールなんですか?

柴田

まずは互いのテーブルの両端にカップを10個ずつ、三角形になるように並べます。カップの中には、カップの転倒や跳ね返りを防ぐために3 分の1くらい水を入れます。

——ビールじゃなくて水なんですね!

引用:ビアポン公式ルールブック

柴田

基本は1チーム2人のダブルス対戦で、1ターンにつき2球(2人それぞれ1球ずつ)投げます。シングルスの場合は1人が2球投げる形です。2球連続で入ったらボーナスショットで+1球投げられます。
ピンポン玉が入ったカップはテーブル端によけていき、カップの残数が6個/3個/1個になったら、三角形にカップを再配置していきます。

引用:ビアポン公式ルールブック

柴田

そして、先に最後のカップを決めたチームが勝ち! ……ではなく、最後のカップを決められたチームも、相手の残りカップを一度も外さず決め続ければ、ゲームは続行します。どちらかが決め返せなくなれば、ゲーム終了です。

——じゃあ極端な話、自分の最後のカップを決められた時に相手チームのカップが10個残っていても、そこから10回連続で決めたら勝てる、ってことですか?

柴田

その場合、互いのカップが3個-3個の状態から再度ゲームがスタートするんです。そこから盛り返せば、勝てる可能性は十分にありますね。
入れて勝ちではなく「外すと負ける」ルールなので、緊張する場面でも集中して決められるメンタルの強さが求められます。どのカップから入れていくか戦略を練りながら進めるのも重要です。

ディフェンスの様子。大声を出すなど、相手の注意をそらす妨害行為も認められている。(テーブルより前に出るのはNGなど一定のルールあり)

——ビアポン、奥が深い! 世界大会も開催されているんですよね?

柴田

はい、毎年ラスベガスで開催されています。アメリカをはじめヨーロッパ、アジアなど各地から選手が集まり、世界一をかけた熱い戦いが繰り広げられるんです。優勝賞金は日本円にしてなんと約300万円! 夢があるスポーツですよね!

——賞金300万円ってすごいですね! 「お酒を飲まされるゲーム」というイメージがくつがえりました……!

柴田

そのイメージを持つ方は多いんですが、日本ビアポン協会としては、飲酒は推奨していないんです。お酒を飲みながら競技をしてもOKではありますが、飲む飲まないは個人の自由です。私は少しお酒を飲んだ方がリラックスできて実力を発揮できるので、お酒を飲みながらプレイしますが、お酒を飲まない選手もたくさんいますよ!

 

狙い通りカップに入る瞬間が気持ちいい!海外選手との交流も大きな楽しみ

——柴田さんは、どんなきっかけでビアポンを始めたんですか?

柴田

「お酒を飲みながらできるスポーツがあるよ!」と友達に教えてもらったのがきっかけです。日本ビアポン協会の元理事長で、ビアポン世界大会にも出場経験のある方がバーを経営されていて、そこに友達に連れられて行った時に初めてビアポンをやりました。

——やってみてどうでした?

柴田

感覚としては、ダーツと似ているな、と。的に当てるよりも的に入れるほうが得意だったみたいで、何度か試合をしているうちに「あれ、意外と勝てるな?!」って楽しくなって、ハマりました。

——向いてたんですね! 選手になろうと思ったきっかけはあったんですか?

柴田

「選手になろう!」というより、楽しみながら続けていたら選手になっていた感じですね。月1ペースで仲間内で遊んでいるうちに「大会に出てみたら?」と誘われて、出場するようになりました。でも、やっぱりそう簡単には勝てなくて。

——大会となると強い選手もたくさんいそうですもんね。

柴田

負けず嫌いな性格なので、大会で負けて悔しくて練習に打ち込む……というのを繰り返しているうちに自然と上達していき、大会にもコンスタントに出場するようになりました。

——ビアポンをやっていて「楽しい!」と思うポイントを教えてください。

柴田

狙ったカップに、思い描いた放物線で決められた時は気持ちよくて、楽しいなと思います。
あとは、冒頭でもお話したとおり「外すと負ける」ルールなので、「必ず決めなければ!」という緊張感も楽しいです。

——競技として取り組むようになってから、「楽しい」と思うポイントって変わりましたか?

柴田

変わったというより、楽しみが増えました!
世界大会に出場するようになってからは、いろいろな国の人と交流する機会が増えました。英語はあまり得意ではありませんが、言葉や国の壁を越えて、ビアポンを通して世界各国の人たちと仲良くなれるのは、大きな楽しみです。

——競技としての難しさ、厳しさを感じる場面はありますか?

柴田

基本的にダブルス競技なので、パートナーといかに協力しながら試合を進めるかが大切です。連携が取れていないといい結果は出ないので、そこは難しくもあり、面白い点ですね。

——パートナーとのやり取りでは、どんなことが大事なんでしょうか。

柴田

お互い「この位置に入れるのが得意」というのがあるので、得意なカップ位置を事前に共有しておくのは大事です。そこを踏まえつつ、「どの位置にカップを残せば互いに決めやすいか?」と相談しながら試合を進めています。
世界大会でも、トップ層の選手はとくに、試合中にしっかりとコミュニケーションを取っているんです。

——ビアポンをやっていたことで「こんなメリットがあった」というのはありますか?

柴田

社会人バスケサークルに入っていますが、ビアポンを始めてから以前よりもスリーポイントシュートが入るようになりました! コースの読みや力の入れ具合が計算できるようになったからでしょうか。たまにバスケのリングがビアポンカップに見えることも……というのは冗談ですが(笑)、「的を狙う力」は確実にUPしました!

オンライン大会は世界中で開催!日本にいながら世界中の選手と対戦できる

オンライン大会の試合の様子(ダブルス)。自宅に設置したビアポンテーブルをカメラで映しながら、試合を進めていく

——普段はどんな場所で練習をしているんでしょうか。

柴田

週に1回程度、ビアポンテーブルが設置されているお店に友人と行って、練習をしています。最近はコロナの影響もありなかなか集まれませんが、「One World One Pong」という団体が毎週土曜日にオンライン大会を開催していて、練習も兼ねてそちらに参加しています。

——「One World One Pong」主催のオンライン大会、というのは?

柴田

「AOP(Asian Online Pong)」と呼ばれる大会で、アジア圏の選手のレベルアップを目的としています。インドネシア・フィリピン・香港・マレーシア、そして日本の5カ国の選手が主に参加していて、総当たりで対戦をしたり、レベル別トーナメントを開催したりしています。

——アジア圏以外でも、オンライン大会は開催されているんですか?

柴田

はい、世界中でほぼ毎日開催されています!
時差があるので、アメリカ大会は日本時間の午前中、ヨーロッパ大会は日本時間の深夜になりますね。私がメインで参加しているのはAOPですが、申込をすればアメリカやヨーロッパの大会にも参加は可能です。例年ラスベガスで開催されている世界大会も、今年はオンライン開催でした。

——オンラインならではのやりにくさはありそうですが、渡航費用がかからないなどメリットも多そうですね。

柴田

ダブルスの試合でパートナーとも遠隔だと、少しやりづらさは感じますね……! ただ、現地に行かないと対戦できないようなトッププレイヤーと、日本にいながら対戦できるのは大きなメリットだと感じます。

初世界大会では実力を発揮できず……悔しさをバネに2020年に世界女王に

——お仕事と競技活動は、どのように両立されているんでしょうか。

柴田

普段は週5日フルタイム勤務の会社員で、平日の夜や週末に練習をしています。大会は基本的に土日祝日が多いので、無理なく両立できていますね。
昨年は世界大会出場のために1週間お休みをいただいたんですが、スポーツなどの課外活動に理解のある会社なので、快く送り出していただけました!

——会社の理解があるのは嬉しいですね! 世界大会で印象的だったことはありますか?

柴田

実は、高校の修学旅行で韓国に行った以外に、海外に行ったことがなかったんです。見慣れない風景や会場の大きさ、たくさんの外国人に囲まれて試合をする状況に圧倒されてしまって、普段の実力をまったく発揮できませんでした……。

——不慣れな場所、しかも海外での試合なんて、かなり緊張してしまいますよね。

柴田

最終日に何とか調子を取り戻して、参加120チーム中、女子チーム賞で2位を獲得できました。初の国際試合は学びが多く、海外選手との交流も楽しかった一方で、「前半の調子が良ければもっと上を目指せたのに」と悔しい気持ちも大きかったですね。

——もっと上を目指したい! という気持ちが芽生えたんですね。今年の世界大会はオンライン開催とのことでしたが、いかがでしたか?

柴田

全体優勝は逃してしまいましたが、女子トップの成績で最優秀女子賞をいただくことができました!
世界各国のトップ選手たちと戦えてとても刺激を受けましたし、その中で女子トップの成績を修められたのは本当に嬉しかったです。

——選手としての今後の目標を教えてください!

柴田

世界中のビアポンプレイヤーに名前を覚えてもらえるような選手になりたいです! ビアポンを通じて世界中に友達ができたら楽しいだろうな、とすごくワクワクしています。
今後はアメリカやヨーロッパの大会にも積極的に出場し、結果を残していきたいです。そのために、日々の練習や大会への出場をコツコツと重ねていきたいと思います!

——今後、ビアポンをどのように盛り上げていきたいですか?

柴田

「飲み会ゲーム」の印象を持つ方が多いので、競技としての一面もしっかり伝えていきたいです。
日本ビアポン協会のWebサイトやSNSで各種情報を発信していますし、今後は協会Youtubeチャンネルで初心者向けの動画も配信予定です。競技としてのビアポンの魅力をたくさんの方に知っていただけたらと思います。

スポッと入れて気分爽快!運動不足・ストレス解消にぜひ!

——ビアポンはどんな人に向いているスポーツですか。

柴田

バスケ、テニス、野球など手を使う球技の経験者は比較的上達が早い印象ですね。でも体力や運動能力はそこまで問われないので、老若男女誰でも、何歳からでも楽しめます!
実は芸能人やスポーツ選手の間にも、ビアポン人気は浸透中なんです! ルールがシンプルで皆でわいわい楽しめるので、幅広い方にプレイしていただきたいですね。

千原せいじさん率いる「よしもとビアポン部」は協会主催の大会にも出場!

元プロサッカー選手・小椋祥平さん。「ビアポンは個人でもペアでもできて、みんなで盛り上がれるスポーツ!」とお気に入りなんだとか。

——やりたくなったら、まずはなにから始めたらいいんでしょうか?

柴田

単純に遊びとしてやるなら、カップとピンポン玉を用意すればOKです!
自宅で本格的に練習したい、オンライン大会に参加したい場合は、ビアポンテーブル・カップ・ピンポン玉を揃える必要があります。協会の会員向けショップだと割引価格で購入でき、3つセットで3万円です。

——道具を買う前にお試しでやってみたい場合、できる場所ってありますか?

柴田

ありますよ! 関東でビアポンテーブルが設置されているお店は、吉祥寺の「lucky george」や秋葉原の「スリーモンキーズカフェ」などですね。店舗情報をまとめた記事を書いていますので、興味がある方は見てみてくださいね!

——最後に、ビアポンを始めようとしている人へメッセージをお願いします!

柴田

ゴミ箱にゴミを投げ入れる時でも、一発でスポッと入ると気持ちいいですよね。ビアポンも、狙い通りカップに入る瞬間は気分爽快になります! 本気でプレイすると意外と汗をかくので、運動不足解消やストレス発散にもおすすめです。
ビアポンを通じて友達もできるので楽しいですよ。大会は初心者でも参加できるので、ぜひ気軽に始めてみてください!

ビアポンを始めるのにかかる費用

【遊びで始める場合】

プラスチックカップ100円〜
ピンポン玉300円〜
店舗利用料1000円〜 ※ワンドリンク制、個室料金など店舗により異なる

【競技として始める場合】

ビアポンテーブル・カップ・ピンポン玉セット(公式)3万円 ※会員価格

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