「自重トレ×パフォーマンス」で世界へ!アジアチャンピオンが語る「ストリートワークアウトで見えた、新しい人生」【マイナースポーツ特集#26】

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「自重トレ×パフォーマンス」で世界へ!アジアチャンピオンが語る「ストリートワークアウトで見えた、新しい人生」【マイナースポーツ特集#26】

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今年、おうち時間を利用して筋トレや自重トレーニングを始めた人も多いのではないでしょうか。トレーニングは家の中で淡々とやるイメージがありますが、パフォーマンスしながら楽しんでできるのが、今回取り上げる「ストリートワークアウト」です。

公園などで自重トレーニングをしながらパフォーマンスするというもので、海外、とくにヨーロッパではかなりの人気があります。スポーツとしてのストリートワークアウトの魅力は、どんなところにあるのでしょうか。

今回お話を聞かせてくれたのは、なんと現役アジアチャンピオンの矢野優人さん。“無重力の MASATO”としてYouTubeでも大人気の矢野さんに、ストリートワークアウトならではの面白さをじっくり聞いてみました。

ストリートワークアウト は、パフォーマンス性もあるのが魅力

ストリートワークアウト 現役アジアチャンピオンの矢野優人さん

——まずストリートワークアウトって、どんなスポーツなんでしょうか?

矢野

公園やビーチなどで、自重トレーニングを行うスポーツです。鉄棒やうんてい、平行棒などを使って、楽しみながら自然に体を鍛えられるんですよ。トレーニングの基本は腕立て伏せや懸垂、腹筋など一般的なメニューですが、もちろんもっと難しい技もあります。

——いわゆる筋トレや自重トレーニングとは、どこが違うんでしょうか?

矢野

屋外でやるので、パフォーマンスの要素もあるのがいちばんの特徴です。知らない人から歓声をもらえると、モチベーションが上がりますよ。また、筋トレは特定の部位を狙って鍛えますが、ストリートワークアウトでは技のトレーニングをしているうちに、自然と肩・腕・背中の筋肉がついてくるところが違いです。

——ストリートワークアウトをやっている人は、若い男性が多いんでしょうか?

矢野

いえ、年齢も性別も関係ありません。子どもから70代の方までさまざまな人がやっていますよ。年齢に関係なくできるスポーツなので、むしろ年配の方々に人気が出てきているようです。

ストリートワークアウト 現役アジアチャンピオンの矢野優人さん

——海外を中心に、人気のスポーツだと聞きました。

矢野

海外、特にヨーロッパではかなり人気があって、競技人口も数万人いると思います。最近は日本でもメディアに取り上げられる機会が増えて、少しずつ広まってきましたが……国内の競技者は、まだ50人くらいですね。まずは「ストリートワークアウト」の名前を、もっと普及させたいです!

——大会の方式を教えてください!

矢野

今年はコロナの影響で延期になってしまいましたが、毎年春に日本大会、秋にアジア大会が開かれます。3つの体重別階級があって、1人当たり最大2分間×2ラウンドの競技時間が与えられます。制限時間内でどれほどいいパフォーマンスをできるか競いあうというルールです。

——世界大会には、どうやったら行けるんでしょうか?

矢野

アジア大会で3位以内に入ると、世界大会の出場権をもらえます。世界中、どの国も出場権があるのでいろいろな国の選手が参加しますが、世界大会で強いのはヨーロッパ勢ですね。

普通の人がやらないことをやりたくて、ストリートワークアウトを始めた

ストリートワークアウト 現役アジアチャンピオンの矢野優人さん

——そもそも、矢野さんがストリートワークアウトを始めたきっかけは何だったんですか?

矢野

5年ほど前に、筋トレ方法を探そうとYouTubeを見ていたら、海外の方がストリークワークアウトをやっている動画を見つけたんです。それがすごくかっこよくて……マネをしたのが始まりですね。

——もともと、トレーニングが好きだったんですね。

矢野

もともと筋トレが好きだったのに加えて、普通の人がやらないことをやりたいという気持ちがあったんです。腕立て伏せしながら両足を浮かせるなんて、普通はしませんよね(笑)。

——なるほど! 最初はどうやって練習していたんですか?

矢野

自宅で自重トレーニングをやっていました。少し経ったある日、Instagramを通じて、大阪にストリートワークアウトをやっているチームがあることを知りました。思い切って参加してみたら、10代から年配の方まで30人くらいのメンバーがいて。それから一緒に練習するようになりましたね。

——それがきっかけで、矢野さんのストリークワークアウト人生が大きく前進したわけですね。

矢野

はい。チームのメンバーに、1年後にストリークワークアウトの日本大会(2017年の第1回大会)があることを教えてもらったんです。じゃあそれを目標にしよう! と思って。それから毎日、ちょっとした隙間時間を見つけてはひたすらトレーニングを積み重ねました。

 ストリートワークアウト 現役アジアチャンピオンの矢野優人さん

——お仕事との両立は大変じゃありませんでしたか?

矢野

ものすごく大変でした(笑)。当時は製造業の生産現場で働いていたんですが、朝起きてトレーニングして、昼間は仕事して、夜もまたトレーニング。その繰り返しでしたが、1つのことを突き詰めるのが楽しくて、まったく苦じゃありませんでしたね。これを1年続けて、ふと気付いたらかなりの力がついていました。

——最初に達成感を感じたのは、どんなときでしたか?

矢野

「プランシェ」という難易度の高い技をできるようになったときです。腕立て伏せの状態で両足を宙に浮かせるポーズなんですが、 これが本当に難しいんです。でも華やかな技ですし、見栄えするので人気があり、人前で披露できたときの達成感も大きいです。

——そして1年後、国内大会に初出場されたわけですね。

矢野

はい。結果は6位で、そこからさらにみっちりトレーニングを始めました。そして2018年は日本大会で優勝、アジア大会にも出て準優勝。さらにエジプトで開かれた世界大会に出て、12位という結果でした。

——一気に駆け上がりましたね!

矢野

2019年もアジア大会に出て、優勝して、念願のチャンピオンになりました。もちろん香港で開かれた世界大会にも出て、こちらは4位に。ついに、表彰台まであと一歩のところまで来ました。次回はもちろん、世界チャンピオンを目指します!

仲間が楽しくトレーニングする姿を見て、挫折を乗り越えた

——すごく順調な競技人生に見えますが、挫折はありましたか?

矢野

もちろんありますよ。2017年に全国大会で6位になった後、すごくモチベーションが上がってたくさんトレーニングしていたら、足を骨折してしまって。全治するまでの2カ月間、下半身のトレーニングがまったくできなくなったことが精神的に辛く、やめることも視野に入れました。

——それをどうやって乗り越えたんですか?

矢野

SNSで仲間が楽しそうにトレーニングしているのを見たら、やっぱり僕はストリートワークアウトが大好きだなと強く思ったんです。やめたいとはどうしても思えなくて、上半身だけ使うトレーニングを再スタートしました。今振り返れば、自分の気持ちを再確認するいい機会だったなと思います。

——すごいですね! ストリートワークアウトならではの面白さって、どんなところですか?

矢野

トレーニングには辛いイメージがあるかもしれませんが、ストリークワークアウトには遊びの要素があるから楽しんでやれるんです。公園やビーチはもちろん、旅行先でもできるし、宴会芸としても使えます(笑)。

——旅行先でもやっているんですか!?

矢野

僕は今年の1〜2月に日本中を旅して、各地でパフォーマンスをしてまわりました。各地で知らない人に歓声をもらったり、子どもが僕のプランシェを見て笑顔になってくれたり……。最高に楽しかったですよ。

——普段、どうやって練習しているんですか?

矢野

普段はまず自宅でやってから、公園やジムに行きます。大阪にはストリークワークアウト専用のジムがあるんですよ。公園やジムでは、競技者も趣味でやっている人も関係なく、仲間と一緒に楽しんでトレーニングしています。

ストリートワークアウトは運動神経も年齢も性別も関係なく、誰でも始められる

ストリートワークアウト 現役アジアチャンピオンの矢野優人さん

——筋トレは1人で黙々と取り組むイメージがあります。ストリートワークアウトは違うんですね。

矢野

ある程度技をできるようになったら、その練習をしているうちに自然と体が鍛えられるイメージで、ますます楽しくなっていくんですよ。自重を生かしたトレーニングなので、運動経験も年齢も性別も関係ないし、お金もかかりません。誰にでもおすすめできるスポーツです!

——逆に、辛いのはどんな部分でしょうか?

矢野

難しい技はできるようになるまで時間がかかるので、先が見えない苦しさがありますね。毎日頑張って練習していても「本当にできるようになるのかな?」という疑問が生まれたり。僕も「プランシェ」ができるようになるまで2年くらいかかりました。

——ストリートワークアウトをやっているからこそ身についた、独特の習慣やくせなどがあれば教えてください。

矢野

毎朝、起きたらすぐに逆立ちします。目を覚ますためというより、精神を高めるためですね。競技者として、基本の技はどんな時でもできないといけませんから。寝起きでできればいつでもできるだろうと思って、2年ほど前から始めました。

ストリートワークアウト 現役アジアチャンピオンの矢野優人さん

——国際大会に出られていると、世界中に仲間ができそうですね!

矢野

国際大会には毎年同じ選手が出ていることが多いので、数回出ていれば顔なじみができます。仲良くなると、大会の前後に一緒に遊びに行ったりしますよ。最近は現地まで一緒に行くほど関係性の深い友達もできました。

——逆に、国際大会で大変なのはどんなことですか?

矢野

日本語が通じないことです。世界大会でエジプトに行ったときなんか、英語さえあまり通じなくて。空港から会場まで行くのも一苦労ですし、本番中、自分の競技順も名前が呼ばれるまでわからない状態でした。

——それはすごい経験ですね……。今後の目標を教えてください!

矢野

もちろん、世界大会優勝です! それと同時に、ストリートワークアウトが日本でもっと普及するよう僕が引っ張っていきたいですね。東京や大阪、沖縄だけじゃなく、全国的に盛り上げていきたいです。

オンラインイベントのような、新しいことをどんどんやりたい

ストリートワークアウト 現役アジアチャンピオンの矢野優人さん

——ストリートワークアウトの普及のために、どんなことが必要でしょうか?

矢野

まずはこういうスポーツがあるんだと発信すること、そして気軽に参加できる場を増やすことですね。年齢や性別に関係なくできるということを感じてほしいと思います。それから大会の回数を増やしたり、オンラインイベントを始めたり、どんどん新しいことをやっていきたいです!

——矢野さんは、SNSをフル活用していますね。特にYouTubeは、チャンネル登録者数が2万人を超えています!

矢野

SNSはストリートワークアウトを普及させるのはもちろん、自分の成長記録にも、それから仲間とのコミュニケーションにもすごく使えるんです。YouTubeは今年3月に始めました。コロナ禍に合わせて、家でできるトレーニングを紹介してみたらすごい反響があって、うれしかったですね。

——撮影も動画編集も、自分でやっているんですか?

矢野

はい。最初の頃は慣れなくて、短い動画を作るのに丸一日かけたりしていましたよ。でもストリートワークアウトの普及につながるし、ファンの方々からコメントをもらえるのもうれしいので、毎日コツコツ配信しています。

——すごい……。現在は、ストリートワークアウトで生計を立てているんですか?

矢野

そうなんです。競技者がみんな、ストリートワークアウトで生活していけるようにしたいです。そのためにも、もっと認知度を上げるところから頑張っていきます!

ストリートワークアウト 現役アジアチャンピオンの矢野優人さん

——ストリートワークアウトをやってみたいと思ったら、どうしたらいいでしょうか?

矢野

腕立て伏せと懸垂を、毎日やってみてください。だんだん回数を増やしていって、回数をこなせるようになったら技にチャレンジするといいと思います。大事なのは、諦めないこと。最初はできないのが当たり前で、技をできるようになるまで数カ月はかかりますから。

——最初に覚える技は、何がおすすめですか?

矢野

「マッスルアップ」ですね。鉄棒で懸垂をして、さらに体を鉄棒の上まで引き上げるという技です。難しく見えますが、体を正しく使えば自然にコツをつかめるようになり、そのうちできるようになりますよ。

——始めるときに、準備するものはありますか?

矢野

特にありません。練習は家でも公園でもできるのでまずやってみて、もし本格的にやりたいと思ったら、その時にアイテムを買えばいいと思います。ただ、効率よく自重トレーニングするならプッシュアップバーや倒立バーがおすすめですね。安いものだと1,000円ほど、高いもので10,000円くらいです。

——ストリートワークアウトを始めてから、矢野さんの人生はどう変わりましたか?

矢野

周りからの見られ方が変わったし、大会で結果を出してからは自信もつきました。頑張った分だけ筋肉がついて、パフォーマンスが上手くなりますから。それにストリートワークアウトを通して、世界中に友達ができました。人生がガラッと変わる、夢のあるスポーツだと思います!

ストリートワークアウトを始めるのにかかる費用 

ウェア(動きやすい服装)3,000〜10,000円程度
シューズ2,000〜5,000円程度

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