お手玉でリフティング?!アジア人初世界チャンピオンが語る「フットバッグ」の奥深さ【マイナースポーツ特集#23】

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お手玉でリフティング?!アジア人初世界チャンピオンが語る「フットバッグ」の奥深さ【マイナースポーツ特集#23】

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フットバッグは、「バッグ」と呼ばれるお手玉のようなボールを蹴って遊ぶスポーツ。アメリカの病院でリハビリトレーニングの一環として、靴下に豆を詰めて蹴ったのが発祥です。欧米を中心に競技人口は600万人とも言われており、日本でもその人気は広まりつつあります。

今回インタビューしたのは、プロフットバッグプレイヤーの石田太志さん。世界大会にて2度優勝経験があり、世界のトッププレイヤーのみが名を連ねることができるフットバッグの殿堂「The Big ADD Posse(BAP)」にも選出されました。

石田さんに、フットバッグを始めたきっかけやフットバッグの魅力を伺いました!

アメリカ発祥のニューストリートスポーツ・フットバッグ

——「フットバッグ」とはどんなスポーツなんですか?

石田

「バッグ」と呼ばれる、直径5cmほどのお手玉のようなボールを蹴って遊ぶスポーツです。アメリカの病院でリハビリトレーニングの一環として、靴下に豆を詰めて蹴ったのが発祥と言われています。

——元々、リハビリとして考案されたものなんですね!

石田

現在は欧米を中心に、競技人口は600万人にのぼります。場所を問わずプレーできる気軽さやダンスのような見た目の美しさ、1人でも複数人でも楽しめる多様性も相まって、 注目のニューストリートスポーツとして、日本でも人気が高まっているんです。

 

——種目が分かれているようですが、メジャーな種目とその特徴を教えてください。

石田

日本でメインに行われているのは「フリースタイル」です。その中で部門がいくつかに分かれているのですが、メジャーなのは「シングルルーチン」「シュレッド30」ですね。

——それぞれの部門について教えてください。

石田

シングルルーチンは、1人でステージに上がり音楽に合わせて2分間で演技を行い、芸術点と技術点で採点されます。フィギュアスケートのようなもの、と言えばイメージしやすいでしょうか。

——なるほど!「シュレッド30」はどんな部門なんですか。

石田

30秒以内に技をいくつも繰り出し、合計点を競う部門です。フットバッグの技は現在約2000種類あり、それぞれに点数がついています。難しい技ほど点数が高いので、30秒以内に難しい技をなるべくたくさん入れるのが勝利の鍵です。バッグを落とすと時間をロスしてしまうので、いかにミスをしないかもポイントですね。

——そういえば、先日オンライン開催されたフットバッグ世界大会で、シュレッド30部門で銅メダルを獲得されたんですよね!

石田

はい。今回はコロナの影響で初のオンライン開催で、録画した映像を提出して審査してもらう形式でした。自分は大会での一発勝負で力を発揮できるタイプなので、少しやりにくさはありましたね。優勝を目指していたので悔しさはありますが、感触としてはもっと点数は上げられそうだと感じたので、更に練習を積んでいきたいです!

 

ダンス・リフティング・ストリート感に惹かれフットバッグをスタート

——石田さんはいつフットバッグを始めたんですか?

石田

大学に入学した2003年からです。たまたま行ったスポーツショップでフットバッグのプレー動画が流れていたのですが、それに衝撃を受けて、その場でバッグを購入しました。

——「衝撃を受けた」というのは?

石田

小さいバッグで、ものすごいスピードで技を繰り出す様子が、ダンスのようでかっこよかったんです。元々ストリートカルチャーが好きだったので、フットバッグのストリート感にも惹かれました。元々サッカーをずっとやっていたこともあり、リフティングに通じる要素も、興味が湧いた理由のひとつです。

——たしかに、ストリートダンスのようでもありリフティングの要素もある、すごくユニークなスポーツですよね。

石田

練習を重ねる中で、技が少しずつできるようになるのが楽しくて、どんどんハマっていきました。
ただずっと独学だったので、海外のプレイヤーから学びを得たいと思い、2004年に世界大会に出場しました。でも当時はまったく英語が話せなくて、コミュニケーションが思うように取れなかったんです。

——英語が話せないのに、いきなり世界大会に出場するってすごいですね……!

石田

それがきっかけで、2006年にカナダへ行き1年間滞在しました。
カナダはフットバッグのレベルが高いので、英語の習得とともにフットバッグのレベルアップも目的でした。
また、当時は大学卒業後にはアパレル関連の仕事に就きたいと考えていたので、服の勉強をしたいとも思っていたんです。

——現在はプロフットバッグプレイヤーとして活動されていますが、大学生の頃はそういった考えはなかったんですか?

石田

当時はプロとして専業でフットバッグをやっている人は、国内外含め1人もいなかったので、仕事にするのは難しいだろうな、と……。
大学卒業後はアパレル企業に就職して、仕事をしながら競技活動も並行していました。

フットバッグ一本で生きていくことを決意。世界初のプロプレイヤーに

——プロフットバッグプレイヤーとして活動しようと思ったのはなぜなんでしょうか?

石田

就職してからプロプレイヤーになるまでの約3年半は、仕事から帰宅後に深夜まで練習をして翌日また出社する……という生活を続けていました。その間ずっと、フットバッグへの情熱が冷めずに続けていられたことで、自分は本当にフットバッグが好きなんだと確信したんです。

——就職と同時にスポーツを辞める方も多いですが、ずっと情熱が冷めなかったんですね。

石田

アパレルの仕事も楽しかったのですが、「フットバッグを仕事にしてそれで生活できたら、自分にとって1番幸せな形なんじゃないか」という思いが徐々に強くなっていったんです。そして2011年の9月に会社を辞め、プロフットバッグプレイヤーとして活動を始めました。

——ちなみに、辞めた当時はお仕事のあてはあったんですか?

石田

いえ、全くありませんでした。最初は失業保険を切り崩して生活しながら、資金提供をしてくれるスポンサーを探しました。でも何百社訪問しても1社も決まらなくて……。「フットバッグ一本でやっていくのは難しいと思うよ」と言われることもあって、悔しかったですね。

——そうなんですね……。そこからどうやって仕事として成り立たせていったんですか?

石田

企業を訪問する中で「スポンサーは無理だけど、今度うちのイベントでパフォーマンスをしてみる?」と声を掛けてくださる方が出てきたんです。最初はとにかく顔を売ろうと、お金をもらわずにいろいろな場所でパフォーマンスをして、その様子をSNSで発信していました。

——最初は無料でパフォーマンスをしていたんですね……!

石田

それを繰り返すうちに、観客の方やSNSを見た方からパフォーマンスの依頼をいただくようになり、徐々に活動の場が広がっていきました。
パフォーマンス活動は依頼ベースでの仕事ですが、自発的な活動として、レッスン教室の運営やフットバッグ関連の商品開発も行っています。

——商品開発というのは?

石田

「使いやすいバッグがないとフットバッグを始めてくれる人が増えない、それなら自分で作ろう!」と思ったのがきっかけで、バッグを制作・販売しているんです。
最近は企業からの依頼も増えてきて、Jリーグチームのロゴを入れたバッグをJリーグで販売したりもしています。海外の工場とのやり取りには英語を使うので、留学での経験が活かせています。

2度の世界一を経て、15年目にして殿堂入り

——フットバッグをやっていて「楽しい!」と感じるポイントを教えてください!

石田

新しい技を習得しようとしても最初はなかなかできなくて、コツコツ練習を続けていると、ある日突然できるようになるんです。その瞬間の感動は何物にも代えがたいものがあります。
あとは、ずっとやり続けていると、ランナーズハイのような瞬間が訪れるんです。それも楽しいと感じるポイントですね。

——逆に難しさや大変さを感じる点も教えてください。

石田

成長速度を感じにくい点ですね。簡単に難しい技ができる日もあれば、何回やってもできない日もあるんです。繊細なコントロールが必要なスポーツだからこそ、体のちょっとしたコンディションの違いに左右されます。

——フットバッグをやっていて、嬉しかったエピソードを教えてください!

石田

二つあって、一つ目は2014年に初めて世界一になった時です。日本はフットバッグ後進国でトップ10にも入ったことがなかったので、表彰台に上がれたらいいけど難しいかな、と思っていました。3位・2位と優勝候補だった選手の名前が呼ばれ「他に上手い選手なんていたかな?」と思っていたら1位で自分の名前が呼ばれ、驚きました!

——たしか、アジア人としても初のチャンピオンだったんですよね! かなりの快挙ですね。

石田

二つ目は、2018年に2度目の世界一になり、同年にフットバッグの殿堂「The Big ADD Posse(BAP)」に入れたことです。BAPは世界のトッププレイヤーだけが入れるグループで、フットバッグを始めた時からの憧れでした。15年目にしてやっと入ることができ、本当に嬉しかったです!

——BAPというのは、どんな基準で選ばれるんでしょうか?

石田

すでに殿堂入りしている選手が「殿堂入りのレベルに達しているかどうか」を基準に投票を行い、過半数を獲得した選手が殿堂入りを果たします。
僕の場合、純粋に技術面だけで見ると他のトップ選手ほどではないのですが、大会で力を発揮しやすいタイプなので、そこを評価していただけたのかなと思っています。

——ちなみに、フットバッグをやっているからこそ日常でついやってしまう癖とかってありますか?

石田

フットバッグは、バッグを蹴らずに足の上で受け止める動作が多いので、落としたものを足で受け止めがちなところはありますね。ここ数年はスマホを落としても画面を割っていません(笑)。
あとは、外で練習や動画撮影をすることも多いので、無意識にロケーションを確認してしまうことはよくあります。

3度目の世界一を狙いつつ、プロプレイヤーのロールモデルを目指す

——普段はどんな場所で練習をされているんですか?

石田

体育館や開けた広場、公園などです。あまりスペースを使わないので、地面が平らであれば比較的どんな場所でもできます。
ただ、芝はすべりやすく、砂はフットバッグを落とした時に汚れやすいので、この二つは避けています。

——自宅で練習されることはあまりないんでしょうか。

石田

以前はやっていませんでしたが、コロナの影響で自宅で過ごす時間が増えた中で、自宅でもできる技をInstagramのストーリーやYouTubeに投稿していました。技を絞れば室内での練習も可能だな、と感じましたね。

 

——筋トレなどフットバッグ以外のトレーニングは何か行っていますか?

石田

基本的にはフットバッグの練習のみです。フットバッグが元々トレーニングとして発祥したものなので、フットバッグを練習する中で必要な筋肉や肺活量が自然と鍛えられるんです。練習後のストレッチなどのケアはしっかりと行っています。

——今後の目標や展望を教えてください!

石田

3度目の世界一を目指したいです! また、プロとして活動の場を広げ、他の選手にも良い影響を与えられたらと考えています。
2011年からフットバッグ一本で活動をしてきましたが、最近は僕の活動を見てプロとして活動し始めた選手も出てきました。まだ海外に1〜2人なので、もっと増えたらいいなと思っています

——石田さんがロールモデルとなっていく、ということですね。

石田

あとは、フットバッグの普及にも力を入れていきたいです。休日に公園でフリスビーをやるような気軽さで、日常的にフットバッグで遊んでいる光景が見たいですね。そのためにも、選手として活躍しながら、SNSやYouTubeなどでのプロモーションにも力を入れていきたいと思います!

スポーツ経験がなくてもOK!技ができた時の感動を味わってほしい

——フットバッグはどんな人に向いているスポーツですか。

石田

練習に場所も取りませんし、家の中でも練習できるので、幅広い方におすすめです。初心者向けの難易度が低い技であれば筋力もそこまで必要ありませんし、スポーツ経験がない人も始めやすいと思います。

——「このスポーツをやっていた人に特に向いている」というのはありますか?

石田

サッカー経験者は足を使ってボールを扱うことに慣れているので、上達しやすいと思います。あとは卓球・テニス・バレーボールなど、ボールを捉える能力が求められるスポーツの経験がある方もコツを掴むのが早いですね。

——やりたくなったらまずは何から始めたらいいんでしょうか。

石田

YouTube等を見ながら独学で始めるか、レッスンや練習会に参加するかのどちらかです。
独学の場合は、友達同士で始めるのがおすすめです。最初のうちは、1人だと詰まった時に辛くなってしまうので。あとは、レッスン等に参加してその場でフットバッグ仲間を作るのもいいと思います。

——たしかに、みんなでわいわい練習したほうが楽しそうですね! 石田さんは、レッスン教室も開催されていますよね?

石田

はい。週に1回横浜市のスポーツクラブ「スポーツジャングル10」でのレッスンと、1対1のプライベートレッスン、動画を添削するオンラインレッスンをやっています。神奈川・東京を中心に、今年からは新潟県三条市でも行っていますので、お近くの方はぜひいらしてください。料金などの詳細は、公式サイトにまとめてあります!

——世界チャンピオンから直接指導を受けられるのは、かなり贅沢ですね!

石田

あとは、東京で月に1度、日本フットバッグ協会主催の練習会が開催されています。現在はコロナの影響で練習会の中止が続いていますが、開催の際には公式Facebookページで告知されるかと思いますので、チェックしてみてください。

——フットバッグを行うにあたって必要な道具を教えてください。

石田

揃える必要があるのは、バッグとシューズです。服装は半袖短パンがおすすめですが、動きやすければなんでもOKです。

——バッグはどういったものを選べばいいんでしょうか。

石田

薄い人工スエードかベロア生地のものがおすすめですが、ネットで販売されているもの……安価な商品は特に、プレイヤー目線からすると使いにくいものも多いんです。
手前味噌で恐縮ですが、使いやすく、安くて質のいいバッグを作りたいと思い開発した商品を「FOOTBAG MANIA」で販売しているので、宜しければご覧ください!

——靴はどんなものがいいんですか?

石田

最初はスニーカーで大丈夫です。甲の部分でバッグを捉えやすいよう、幅広なデザインのものがいいですね。
競技として本格的にやる場合は靴選びはかなり重要です。専用シューズはなく、既製品をフットバッグ用に改造して使用します。フットバッグ協会のサイトに詳しく載っているので、ご興味がある方は見てみてください。

——フットバッグを始めようとしている人へメッセージをお願いします!

石田

なかなかできなかった技ができた瞬間の感動は本当に癖になるので、ぜひ味わっていただきたいです! 運動量も多いので、ダイエット効果も期待できます。
暇つぶしで輪になって蹴って遊ぶのも楽しいので、友達と遊ぶ際、コミュニケーションツールのひとつとして使ってもらうのもいいと思います。ぜひ気軽に始めてみてください!

フットバッグを始めるのにかかる費用

バッグ1,500円〜
シューズ5,000円〜
レッスン費用3,000円〜 ※石田さん主宰レッスンの場合。レッスンにより費用は異なります。

 

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