リズム感・柔軟性に自信がない人にこそおすすめ!楽しみながら健康になれる「エアロビック」の魅力【マイナースポーツ特集#22】

趣味

リズム感・柔軟性に自信がない人にこそおすすめ!楽しみながら健康になれる「エアロビック」の魅力【マイナースポーツ特集#22】

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「エアロビック競技」は体操競技のひとつで、音楽に合わせて体を動かす「エアロビック」が競技として発展したもの。国際大会が多数開催され、近年はオリンピック種目化を目指しています。また、健康促進のためのフィットネスや生涯スポーツとしても注目されています。

今回インタビューをしたのは、エアロビック競技選手の上田真穂さん。2019年全日本選手権ではトリオ部門で優勝・女子シングル部門で3位の成績を残し、日本代表として10年以上国際大会で活躍しています。

上田さんに、エアロビックを始めたきっかけや魅力、エアロビックのおすすめポイントなどを伺いました!

エアロビック=有酸素運動/エアロビック競技=無酸素運動!意外と知らない違い

(C)日本エアロビック連盟

——「エアロビック」はどんなスポーツなんでしょうか?

上田

アメリカの運動生理学者が提唱した運動処方理論「エアロビクス」を起源として生まれたスポーツが「エアロビック」で、それが体操競技として発展したものが「エアロビック競技」です。競技としての始まりは1982年にアメリカで開催された競技会で、その後世界中に広がっていきました。

——アメリカ発祥なんですね!

上田

現在はアメリカをはじめ、アジア、南米、ヨーロッパなど世界80ヶ国で親しまれています。国際大会も多数開催され、近年はオリンピック種目化を目指しているんです。
子どもから高齢の方まで男女問わず幅広い方が楽しめるので、フィットネス目的で取り組まれる方も多く、生涯スポーツとしても注目されています。

——フィットネス目的の「エアロビック」と「エアロビック競技」はどんな違いがあるんですか?

上田

エアロビックは有酸素運動、エアロビック競技は無酸素運動という点が大きな違いです。
エアロビックは有酸素運動なので、持久力アップや脂肪燃焼の効果が期待できます。一方、エアロビック競技は競技時間が1分20秒で、短い時間で力強い動きをするので、無酸素運動なんです。体操種目の床に近いスポーツですね。

——運動効果が全く違うんですね! エアロビック競技は体操競技のひとつとのことですが、他の競技と比較してどんな特徴があるんでしょうか。

上田

柔軟性に加え筋力が必要で、音楽のテンポが早いので、演技面ではパワフルな印象を受けるかと思います。
衣装の面ではシューズを履くのが大きな特徴です。また、新体操だとスカートがついた衣装を着るケースもありますが、エアロビックはスカートなしのレオタードです。

初出場の全国大会で最下位。悔しさがきっかけで本格的に競技の道へ

#aerogym_photography by Rai Ner

——上田さんはいつ頃からエアロビックを始めたんですか?

上田

母が元々エアロビックの選手だったんです。引退後は指導者としてクラブを運営していて、私は母の元で幼少期からエアロビックに取り組んでいました。

——最初から、本格的に選手としてやっていこうと思っていたんですか。

上田

いえ、選手として本格的に競技に打ち込もうと思ったのは、小学校高学年の時に団体で全国大会に出たのがきっかけです。
出場が決まった時は「憧れの舞台に立てる!」と嬉しい気持ちでいっぱいでしたが、結果は最下位で……。本当に落ち込みましたし、大会が終わった直後は「続けていくのは無理かもしれない」とまで思いました。

——それはショックですね……。

上田

でもそこで「もっと頑張りたい!」とスイッチが入ったんです。
その後より本格的に競技活動に打ち込むため「アステム湘南VIGOROUS」へ所属クラブを変更しました。

——悔しい経験がバネになったんですね。

上田

ずっと母の元で指導を受けてきましたが、自分で所属先を決めて東京から茅ヶ崎まで週6日通って練習を続ける中で、憧れる先輩方や仲間の影響で徐々に選手としての意識が強まっていきました。

——競技歴が20年以上とかなり長いですよね。長く続けてこられた理由は何ですか。

上田

結果はもちろん大事ですが、そこだけに執着していなかったからだと思います。
中学生で今のクラブに移った時、活躍する同年代を見て焦る気持ちはゼロではありませんでしたが、「私は大人になってから活躍しよう」と思っていました。

——焦りを感じながらも、考えを切り替えたんですね。

上田

エアロビックがとにかく好きだったんです。クラブで練習している時間が幸せで、競技会で同年代の選手に会えたり、憧れの選手の演技が見られたりするのも楽しくて。
結果だけにとらわれず、自分の技術向上に向き合って楽しみながら続ける中で、徐々に結果がついてきました。

仲間と一緒にエアロビックをする時間が何よりも楽しい

(C)日本エアロビック連盟

——エアロビック競技に取り組む中で、楽しいと感じるポイントを教えてください。

上田

コロナの影響で練習できない期間を経て、仲間と一緒に練習できる楽しさをより実感しました。
神奈川県に緊急事態宣言が出ていた4〜5月の約2ヶ月間は、クラブでの練習はありませんでした。2ヶ月ぶりのチーム練習で最初に集合してみんなの顔を見た時、一緒に練習ができる嬉しさをすごく感じたんです。

——当たり前にやっていたことができなくなると、改めてその大切さに気づきますよね……。

上田

自宅で練習をしていましたが、みんなでわいわい練習するのはやっぱり楽しいな、と。仲間と一緒にエアロビックに向き合う時間が、私にとってはすごく大切なものだったんだと改めて気付きました。

——エアロビック競技に取り組む中で感じる、厳しさや難しさについても教えてください。

上田

私は競技歴が20年以上あり、国際試合にも10年以上出場し続けていますが、世界の壁の高さを感じています。
ルールは年々変化していますが、ここ何年かでアクロバティックな動作や技を取り入れられる、体操要素が多く、運動強度の高さ・身体能力の高さが求められるルールに変化してきたんです。

——そうなんですね!

上田

海外では体操経験がある選手がエアロビック競技をやっていることが多いのですが、私はエアロビック一本でやってきました。これまでやったことがないことに対応しながら、世界の選手と戦うのは厳しいと感じますが、粘り強く、エアロビック一本だからこそ出せるパフォーマンスを追究していきたいです!

——ちなみに……エアロビックをやっているからこそ、つい日常でやってしまう癖ってありますか?

上田

表現スポーツなので、表情や手振りがオーバーになったり、ボディーランゲージが多くなったりはしますね。
あとは、音楽が聞こえるとつい体が動いてしまうことは多いです。電車で音楽を聞いている時に無意識に手を動かしていたり、スーパーのBGMに乗って体を揺らしてしまったりすることはよくあります(笑)。

「褒める自分」と「厳しい自分」を自分の中に共存させるのが成長の鍵

(C)日本エアロビック連盟

——普段はどんな練習をされているんですか。

上田

神奈川茅ヶ崎市にある、所属クラブのスタジオで主に練習をしています。週4日はチーム練習、週2日は個人トレーニングです。

——それぞれどんな練習をしているんでしょうか。

上田

チーム練習では、コーチに演技を見てもらいながらアドバイスをいただいたり、演技構成の相談をしたりしていますね。個人トレーニングでは、チーム練習で出た改善部分や、筋トレ・心肺機能向上トレーニング・体のメンテナンスなどをします。

——週6で練習はハードですね! お仕事は何をされているんですか?

上田

大学非常勤講師として、平日はほぼ毎日大学で講義をしています。一般体育や、エアロビックの授業もあります。
また、所属クラブでは選手兼コーチとして、エアロビックを競技として本格的に始める前の子どもたちのクラスを指導しています。練習中に後輩の指導や演技の振り付けをする機会も多いです。

——選手とコーチ業、それぞれどんな点を意識していますか。

上田

選手として心がけているのは、自分の頭の中に「人間・上田真穂」と「アスリート・上田真穂」の2人を常に置いておいて、会話させるようにしていることです。

——「人間とアスリートの2人を会話をさせる」というのは……?

上田

たとえば、自分の演技の映像を見ている時に「すごい、いい感じじゃん!(人間)」「いや、ここができてないよ!(アスリート)」という感じで。自分を褒めてあげる自分(=人間)と、厳しいことを言う自分(=アスリート)を自分の中に共存させておくようなイメージです。改善点だけではなくいいところも探すようにしています。

——コーチ業ではどんなことを心がけていますか?

上田

自分が伝えたいことを一方的に言うのではなく、選手の声をよく聞くように心がけています。
また、ちょっとした仕草で相手の捉え方は大きく変わるので、相手が座っていたら自分も座って話す、目をしっかり合わせるなど細かい部分も気をつけてコミュニケーションを取っています。

——なるほど、会社での部下の指導なんかにも役立ちそうなポイントですね。

上田

あとは、あえて知らないふりをして「次の練習までに調べて、私に教えて!」と言うことがあります。私が教えるよりも自分で調べて考えるほうが、知識がしっかりと定着するので。
指導者としてはまだまだですが、選手の目線に立った指導ができるコーチになっていきたいです。

目指すは全日本優勝!エアロビックの普及活動にも積極的に取り組みたい

#aerogym_photography by Rai Ner

——エアロビック競技を続けてきた中で、印象的だった出来事はありますか?

上田

昨年2019年の全日本選手権で団体優勝した時に、10歳下のメンバー2人とチームを組んだ時のことですね。
以前は後輩にできない姿を見られるのは、恥ずかしい気持ちがありました。でもメンバー2人と練習を重ねる中で、「得意・不得意は人それぞれ違っていて、自分にも不得意なことがあってもいいんだ」と感じたんです。

——できない姿を見せてもいいんだ、と思えるようになったんですね。

上田

後輩にアドバイスをもらって自分一人ではできなかったことができるようになった時、喜びも楽しさも2倍に感じました。
今では、後輩に限らずいろいろな人にアドバイスをもらっています。積極的にコミュニケーションを取ることで自分の人間的な成長にもつながりますし、技もできるようになる……いいことだらけですよね!

——逆に、悔しかったエピソードもあれば教えてください。

上田

全日本選手権の団体優勝以外は、2019年はずっと悔しいこと続きのシーズンでした。一昨年から、なかなか結果が出ない期間が続いていていたんです。昨年はこれまでの競技人生の中で最大限の努力をして臨みましたが、それでも結果につながらなくて。全日本選手権でも本当は個人で優勝したかったんですが、3位止まりでした。

——団体優勝・個人3位と聞くとかなり好成績に感じますが、やはり1位を目指したい! という気持ちが強いんですね。

上田

はい。去年の悔しさがあったからこそ、「今年は絶対に個人で全日本チャンピオンになる!」という意気込みで、日々の練習に取り組んでいます。

——選手、そしてコーチとしての今後の目標・展望を教えてください。

上田

選手としては、やはり個人で全日本チャンピオンを目指したいです!
コーチとしては「エアロビックに出会えてよかった」と思ってもらえるような指導をしたいですね。やりがいを見出す部分が、結果なのか練習なのか、周りとのコミュニケーションなのかは人それぞれなので、選手の志向に合わせた指導ができるコーチになりたいです。

——選手の個性を踏まえた指導をする、ということですね。

上田

あとは選手としてもコーチとしても、エアロビックを長く続けたい人が、続けられる環境を整えたいと思っています。今はプロがないので、大学卒業後にやめてしまう人がほとんどなんです。

——就職がきっかけで引退する選手が多いんですね。

上田

エアロビックは表現スポーツなので、競技年数を増せば増すほど演技における表現の幅は豊かになっていきます。続けたいと思った選手が長く競技活動ができるよう、エアロビックを多くの方に知っていただき、応援してくださる方やスポンサー企業が増えたらいいなと思っています。

——競技普及のためには、どんなことが今後必要になってくると思いますか。

上田

業界内だけではなく、外の世界とどんどん繋がりを作ることが大切だと感じています。SNSの活用やメディア出演など、活動の幅を広げていきたいです。
また今年の7月から、品川区エアロビック連盟アンバサダーとして活動しています。現在は、品川区にゆかりのある方々にご挨拶をして、今後の普及活動の土壌を作っているところです。

上田

エアロビック競技はオリンピック種目を目指すまでの競技にはなりましたが、まだ認知度は高くありません。選手として競技活動に打ち込むのはもちろんのこと、エアロビック競技をメジャースポーツにするため、自分にできることをやっていきたいです!

楽しみながら健康を目指したい人・自分を好きになりたい人におすすめ!

——エアロビックはどんな人におすすめのスポーツですか?

上田

音楽が好き、踊るのが好き、体力をつけたい、ダイエットをしたい……など、いろんなニーズに応えられるスポーツです。どこでも・誰でも・いつでもできるので、老若男女幅広い方におすすめですね。

——ちなみに、リズム感や柔軟性に自信がない人でも、できるものなんでしょうか……?

上田

まったく問題ありません! エアロビックをやる中で自然と培われていくので、そういう方にこそ、ぜひやっていただきたいですね。

——やりたくなったら、まずは何から始めたらいいんでしょうか?

上田

スポーツジムでのレッスンもありますので、そこから始めることもできますが、日本エアロビック連盟の登録クラブで自分に合ったレッスンを受けるのが一番おすすめですね。
連盟のサイトに、地域ごとの登録クラブリストが掲載されているので、お近くのクラブを探してみてください。

——「登録クラブ」と聞くと、趣味というより競技として本格的に取り組む方が行くイメージなんですが……。

上田

競技をやっているチームもありますが、初心者向けのクラスや生涯スポーツとしてのスローエアロビックなど、趣味として楽しみたい方向けのクラブもたくさんありますよ。
私が所属するアステム湘南VIGOROUSでもいろいろなレッスンがあるので、お近くの方はぜひ来ていただきたいですね!

——エアロビックを始めるにあたって必要な道具ってありますか?

上田

シューズとウェアくらいでしょうか。競技用シューズは1万円くらいしますが、趣味として始めるなら一般的な運動靴で問題ありません。はずむ動作があるので、クッション性があるシューズだといいと思います。
ウェアは、動きやすいものなら何でもOKです!

——最後に、エアロビックを始めようと考えている人へメッセージをお願いします!

上田

やっていくうちに自然と体が鍛えられますし、音楽に合わせて体を動かすのは単純に楽しいので、ストレス発散にもなります。楽しみながら心も体も健康になりたい方は、エアロビックをやってみていただきたいです。
あとは、自分のことを好きになりたい方にもおすすめしたいですね!

——「自分のことを好きになりたい人におすすめ」というのは?

上田

エアロビックは体の使い方や表情で表現をするスポーツなので、練習中は自分にとことん向き合います。「こういう動きをすると楽しい」「自分はこんな表情もできるんだ」など、常に新たな発見があるんです。
新しい自分に出会いたい、自分をより深く知って自信をつけたい方はぜひ始めてみていただきたいです!

エアロビックを始めるのにかかる費用

シューズ3,000円〜
ウェア3,000円〜

 

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