タックルしないラグビー⁉日本代表に聞く「タグフットボール」の醍醐味【マイナースポーツ特集#19】

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タックルしないラグビー⁉日本代表に聞く「タグフットボール」の醍醐味【マイナースポーツ特集#19】

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2019年秋、日本でワールドカップが開催されブームを巻き起こしたラグビー。日本代表の活躍ぶりに、すっかり夢中になった人も多いのではないでしょうか。

今回取り上げるのは、ラグビーの1種である「国際ルールのタグラグビー(タグフットボール)」。最大の特徴は、腰にひらひらとしたタグをつけて、タックルの代わりに取り合うこと。激しいコンタクトプレーがないため、子どもから50〜60代まで幅広い層が一緒に楽しめるスポーツなんです。

お話を聞かせてくれたのは、「国際ルールのタグラグビー(タグフットボール)」日本代表として活躍している木村有希さん。タグフットボールならではの面白さから、世界大会での面白エピソードまで、木村さんのアツい思いを伺いました。

タックルしないから、子どもから大人までみんなで楽しめる

「国際ルールのタグラグビー(タグフットボール)」日本代表として活躍している木村有希さん

——木村さんがされているタグフットボールって、どんなスポーツなんですか?

木村

ルールはラグビーとほとんど同じで、プレイヤーの腰に2本のタグを付けて、それを取り合うのが特徴です。このタグを取ることがタックルの代わりになります。コンタクトプレーがないので、性別や年齢に関係なく、安心してできるんですよ。

8人制で試合時間は20分ハーフと、ラグビーの半分の時間・人数で行います。ラグビーはスクラムを組んだり激しいタックルをしたりする印象が強いと思いますが、その要素がないものと考えてもらえればいいと思います。

——タグフットボールは、日本でいうタグラグビーとは違うものなんでしょうか?

木村

日本でよく知られているタグラグビーは、子どもが授業や部活でやっているものですね。日本独自のルールです。腰に付けたタグを付けて取り合うこと、コンタクトプレーがないことはタグフットボールと同じです。人数は5人制で、キックはありません。コートやボールの大きさも、タグフットボールより少し小さいです。

一方タグフットボールは「キックあり」なのが特徴です。攻撃の回数が6回までと決められている中で、どう攻撃を組み立てるか考えるのが面白いですよ。競技としての正式名称は「タグフットボール」ですが、1990年ごろにオーストラリアで生まれたので、「oztag(オズタグ)」と呼ばれたりもします。日本の競技人口は、まだ1000人くらいですね。

——タグフットボールは、海外ではすでに人気スポーツだと聞きました。

木村

はい、世界ではれっきとした人気スポーツで、各国で大会が開かれています。特にラグビーの盛んなオーストラリアやニュージーランドをはじめ、イギリスやアイルランド、フランスなどでも人気が高くなってきています。オセアニア圏の競技人口は10万人を超えているんですよ。

出会いは、小学生のときに参加したラグビースクール

「国際ルールのタグラグビー(タグフットボール)」日本代表として活躍している木村有希さん

——そもそも、タグラグビーとの出会いは何だったんですか?

木村

小学生の時に、地元の愛知県にある一宮ラグビースクールに入りました。もともと兄弟がラグビーをやっていたので私もやってみようと思ったんです。そこでは日曜日の練習とは別に、土曜日にタグラグビーをやっていて。それに軽い気持ちで参加したのが出会いです。

——それからずっとラグビーを続けたんですか?

木村

いえ。年齢を重ねていくうちに離れて、中学では卓球部、高校ではソフトテニス部と、ラグビーとはまったく違う競技に打ち込みました(笑)。ただそれでも、タグラグビーは楽しくてなんとなく続けていたんです。

——そこからどうやって、タグラグビーとの再会を果たしたんでしょうか。

木村

私は京都の大学に進学したんですが、地元の一宮ラグビースクールでお世話になったコーチの知り合いが、大阪でタグフットボールをやっているということをたまたま聞いたんです。それで練習会に参加してみたのがきっかけでしたね。そこから一気にハマりました。それ以来、就職して東京に移ってからも、ずっと続けています。

年齢・性別に関係なく、工夫次第で勝てるのが醍醐味

「国際ルールのタグラグビー(タグフットボール)」日本代表として活躍している木村有希さん

——タグフットボールならではの面白さって、どんなところにありますか?

木村

工夫次第で、体の大きい相手や足の速い男性にも勝てることですね。腰に付けるタグはひらひらしていて、走りながら取るのはかなり難しいんです。スピードはもちろん、それ以外の要素も含めて考えたうえでの、戦略の立て方が大事になります。特にチームメイトとのコミュニケーションや連携が重要ですね。年齢や性別に関係なく、勝てる要素があるのは大きな魅力です。

——普段の練習はどのようにやっているんでしょうか。

木村

毎週土曜日の10〜12時に都内で練習会を開いていて、だいたいいつも20〜40人くらいが集まります。現状、日本ではタグフットボールの公式チームはないので、タグフットボール好きたちが気軽に集まって練習している雰囲気です。開かれた環境ですし、本当に誰でもウェルカムですよ。不定期ですが、平日の夜にも練習会があったりします。

「国際ルールのタグラグビー(タグフットボール)」日本代表として活躍している木村有希さん

——一緒に練習しているのは、どんな人たちですか?

木村

20〜30代が多いですが、50代のメンバーもいて、年齢層はとても幅広いです。ラグビーなどほかのスポーツもやりながらタグフットボールも楽しんでいる、という人が多いですね。社会人で仕事を持っている人や、子どもを連れてきている人も多数います。男女でいうと、男性が7〜8割と多いです。だから自然と、男女混合で練習することになりますね。

——女性は少ないんですね。

木村

女性はまず、ラグビー経験者が少ないですし、そもそもタグフットボールに出会うきっかけがあまりないのかもしれません。また、いったん始めてやり続けるというのも難しいんですよね。結婚・出産などライフステージの変化にあわせて離脱する人もいます。もちろん、いったん離れてから戻ってきたり、子どもを連れて来ている人も多いですよ。

——国際交流もできそうですね!

木村

発祥の国・オーストラリアをはじめ、ニュージーランド、スペイン、アイルランド、フランスなどいろいろな国の人が参加していますよ。中には日本語をあまり話せない人もいるんですが、タグフットボールという共通点を介して、なんだかんだ意思の疎通ができます。「パス!」と呼べば伝わるし、チームが勝ったら一緒に喜んだりして。そうやって違う言語や文化の相手とコミュニケーションをとれるのは、スポーツのいいところですね。

心から好きだから、忙しくても苦にならない

「国際ルールのタグラグビー(タグフットボール)」日本代表として活躍している木村有希さん

——木村さんは普段、仕事もされていますよね。両立するのは大変じゃないですか?

木村

平日は、香料メーカーの開発職として働いています。もともと理系だったし食べることが好きなので、食品関係の開発に興味があったんです。土日は必ず休みなので、タグフットボールも思う存分できます。

——とはいえ、二足のわらじは忙しいですよね。

木村

確かに忙しいですが、どちらも心から好きなことなのでまったく苦になりません。好きな仕事と好きなスポーツを両方追いかける毎日は、とても生きやすいですよ。それだけ私に向いている仕事なのかもしれません。

——好きな仕事が、タグフットボールと両立できるものでよかったですね。

木村

というよりも、プライベートも充実させられる会社を選んで就職しました。タグフットボールはずっと続けたかったので。例えば国際大会に行くとなると、1週間くらいお休みをもらうことになります。それが可能な会社か、スポーツに理解のある会社か、というのは見極めて入社しました。大学時代、国際大会に参加した経験がここに生きたと思います。

——大学時代から国際大会に参加されたんですか!

木村

はい。2年生のときにニュージーランド、4年生のときにオーストラリアに行きました。どちらもラグビーの国ですね。1回目は40人くらい、2回目は60人くらいの選手が日本全国から集められて大会に参加しました。

年齢・性別によってカテゴリー別になっていて、私は男女混合で組む「オープンミックス」に参加しました。ほかにも、男性の「オープンMens」、女性の「オープンWomens」、40歳以上限定の「オーバー40」、50歳以上限定の「オーバー50」などがあります。

「国際ルールのタグラグビー(タグフットボール)」日本代表として活躍している木村有希さん

——国内の全国大会やリーグはあるんですか?

木村

全国大会が年に1回あって、それに加えて各地域でミニ大会が開かれています。これらは、タグフットボール協会が旗振り役となって企画しています。私も最近は、何か役に立てればと思って手伝いに参加しています。ほかにもいろいろなイベントをやっていますが、どれもタグフットボールを全国に広め、盛り上げていこうという狙いです。

——これまで国際大会に何度も行かれていますね。参加されてみていかがでしたか?

木村

2016年にはオセアニアカップでニュージーランドに、18年にはW杯でオーストラリアに行きました。とにかく、チームメイトも対戦相手もひたすらハイレベルです。全国から選抜されて集まった仲間と一緒に、上手な相手と本気で試合するのはとてもいい経験になります。

試合は目覚ましい結果とはなりませんでしたが、レベルの高い相手に通用する場面もたくさんありましたよ。体格が良くて足の速い外国人男性とマッチアップして、ディフェンスで止められたときはうれしかったですね。ラグビーではそんな相手には負けてしまいますが、タグフットボールでは勝てるのが面白いところだと思います。

海外の文化に間近で触れられる!超貴重な体験

「国際ルールのタグラグビー(タグフットボール)」日本代表として活躍している木村有希さん

——国際大会の、ピッチ外での思い出はありますか?

木村

敗退した国同士でフレンドマッチをしたり、相手国のメンバーと仲良くなれたりしました。フランスと試合した後、フランス国内の大会に参加しないか? と誘われていた仲間もいました(笑)。こうやって世界中に、タグフットボールの輪が広がっていくんです。

——日本でやっているときとは雰囲気が違いそうですね。

木村

全然違います! 国際大会って、開会式からお祭りのような雰囲気なんです。例えばニュージーランドが相手の時はキックオフ前に、マオリ族の伝統舞踊「ハカ」を見ることができました。迫力がすごかったですよ。ほかにもサモア代表の「シバタウ」など、オセアニア各国の踊りを間近で見ました。他国の文化に触れられる、すごく貴重な経験だったと思います!

「国際ルールのタグラグビー(タグフットボール)」日本代表として活躍している木村有希さん

——選手としての、今後の目標を教えてください!

木村

個人としては、国際大会でもっともっと活躍して、結果を出したいです。大きな大会で活躍すればするほど、タグフットボールの認知度が上がって、普及につながると思うので。タグフットボールの日本代表という肩書きを生かして、SNSを始めたのも普及が狙いです。

チームとしては、まず日本の競技人口を増やすのが一つ。それからタグフットボールの輪を広げて、どんどんほかのコミュニティと連携することで、国際交流できるスポーツであると知ってもらうことですね。そういう面白さも含めて多くの人に知ってもらって、日本のタグフットボールも盛り上げていきたいです。

——タグフットボールを始めようと思ったら、どうしたらいいでしょうか。

木村

まずは近くの練習会に行ってみてください。老若男女だれでもウェルカムです。東京・大阪・山口・福岡で練習会をやっているのでぜひ。それ以外の地域にも、広げていけるように頑張っているところです。近いうちに名古屋でも練習会が立ち上げられると思います。Facebookで練習の告知をしていますし、これからはTwitterも活用していく予定です。

——必要な道具はありますか?

木村

いえ、最初はとにかく動きやすい服装で来てもらえればOKです。ボールや腰につけるタグは貸し出しがあります。本格的にやろうと思ったときに、グッズをそろえればいいと思いますよ。

——タグフットボールに少し興味があるという人へ、アドバイスをお願いします!

木村

タグフットボールは本当に、年齢も性別も関係なく楽しめる生涯スポーツです。プレイヤーにはラグビー経験者も多いですが、特に女性には未経験者もたくさんいます。私がそうだったように、とにかく一度やってみて、好きになったら自然にうまくなれます。少しでも興味を持ってもらえたら、ぜひ練習会に来て、第一歩を踏み出してほしいです!

タグフットボールを始めるのにかかる費用

ウェア(動きやすい服装)3,000〜10,000円程度
シューズ2,000〜5,000円程度

 

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