戦略が重要なメンタルスポーツ!足を使うゴルフ「フットゴルフ」の世界に迫る【マイナースポーツ特集#15】

趣味

戦略が重要なメンタルスポーツ!足を使うゴルフ「フットゴルフ」の世界に迫る【マイナースポーツ特集#15】

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フットゴルフとは、サッカーボールを使って行うゴルフのこと。ゴルフクラブの代わりに足を使ってカップインを狙い、打数の少なさを競うスポーツです。2006年に複数の国で時を同じくして誕生(!)し、2009年にオランダでルールが整備されたのち、2012年には第1回ワールドカップが開催されるほど急速に発展。現在ではアメリカやイギリスなど欧米を中心に40カ国以上でプレーされています。

今回インタビューをしたのは、フットゴルフ日本代表として活躍する前田春香さん。前田さんは、大学時代に友達の誘いでフットゴルフを体験。その後、初めて出場した国際大会で大敗し悔しい思いをしたことがきっかけで、フットゴルフにのめりこんでいったそう。前田さんに、フットゴルフの魅力やはまったきっかけなどを聞きました!

「フットゴルフ」はサッカーより運動量が少ない&ゴルフより簡単!

——フットゴルフって、どんなスポーツなんでしょうか?

前田

ひとことで言うと「サッカーボールと足を使って行うゴルフ」です。ルールはほぼゴルフと同じで、競技を行う場所もゴルフ場です。ゴルフと異なるのは、ドライバーなどの道具は使わずに足でサッカーボールを蹴ってフットゴルフ専用のホールにカップイン(ボールを穴に入れること)させるところぐらいですね。

9ホールまたは18ホールまわり、最終的に打数が少ない人が勝ちです。

——基本的にはゴルフと似ているんですね。ほかに「ここはゴルフと違う」という点はありますか?

前田

ゴルフの場合、コースを回れるようになるまである程度練習を積む必要がありますが、フットゴルフはボールを蹴ることができればコースを回れるので、幅広い方が楽しめる点が大きな違いですね。また、サッカーのように走り回らないので、激しい運動ができない方もプレーできます。

選手として活躍しているのは、高校生から40〜50代くらいの方が中心ですが、初心者向けのコンペやイベントだと、下は幼稚園から上は70代の方まで参加されているんですよ!

——幅広い年齢の方が取り組みやすいスポーツなんですね!

前田

あとは、ゴルフと比べて一打の飛距離が短いので、コースの長さがゴルフよりも短く設定されています。ゴルフの場合、ロングホールと呼ばれる長いコースだと401〜575ヤードですが、フットゴルフの場合は長いコースでも200ヤードほどですね。(※ヤード数はいずれも女子の場合)

フットゴルフのコース表

——ゴルフの場合は、一般女性のドライバーの飛距離で平均175ヤードほどですが、フットゴルフは一打の飛距離ってどのくらいなんですか?

前田

私の場合、思い切り蹴って80〜90ヤードくらいの飛距離です。ただ、日本の芝は季節によって茂り方が違うので、芝の状態によって飛距離は変わってきます。冬は乾燥していてボールがよく転がりますが、夏は芝がしっかりと生えているので、あまり転がらないんです。同じコースでも、季節によって優勝スコアが全然違うなんてこともあるんですよ。

——芝の違いで飛距離が変わるんですね!国によっても違いはあるんでしょうか?

前田

イギリスやオーストラリアは、日本と違ってよく転がる芝ですね。飛距離が出やすい一方でホールを狙うときの調節が難しく、繊細なコントロールが求められます。

初めての国際大会で大敗……悔しさからフットゴルフにのめり込む

——フットゴルフは、どんなきっかけで始めたんでしょうか?

前田

元々、小学3年生〜高校まで部活動でサッカーをやっていました。大学2年生の時に、フットゴルフをやっていた大学の友達に「サッカーをやっていたならフットゴルフもできるんじゃない?」と誘われたんです。でも最初のうちは「わざわざゴルフ場に行くのは面倒だな……」と思って断っていました。

翌年の2016年、大学3年生の時に、お盆の時期に軽井沢で開催される大会に誘われたんです。試合と観光がセットになっていたので旅行気分で参加して、そこで初めてフットゴルフを体験しました。

——そこでフットゴルフの魅力にハマったんですね!

前田

いえ……その時はフットゴルフをしている間中、「早く軽井沢観光に行きたいな〜」と思っていました(笑)。旅行の中のアクティビティのひとつ、という感覚だったんです。

——えっ、そうなんですか?じゃあ選手として活動するようになったのは何がきっかけだったんでしょうか。

前田

軽井沢に行った約1ヶ月後に開催された、日本代表選考会に参加したのがきっかけです。

元々、フットゴルフ日本代表は男子の枠しかなかったのですが、2016年からシニアと女子の枠を新設することになったそうで。友人に誘われて気軽な気持ちで参加してみたら、選考会で2位になることができ、日本代表として選ばれました。それがきっかけで本格的にフットゴルフに取り組むようになったんです。

——気軽に参加したら日本代表に……すごいですね!

前田

でも、その後日本代表として出場した日米対抗戦で、ボロボロに負けてしまって……。フットゴルフの経験が少なかった上、アメリカの慣れない環境下での試合ということもあり、まったく歯が立ちませんでした。

しかも、負けた相手が40歳の選手だったんです。当時22歳だったこともあり、「親世代の相手に負けるなんて!」と、試合後の食事が喉を通らないくらい、ものすごく悔しくて。そこからスイッチが入りました。フットゴルフにどんどんのめり込んでいって、自ら練習を積んで大会に参加するようになっていきました。

——負けた悔しさがきっかけで、のめり込んでいったんですね。

前田

はい。サッカー経験者は「楽しい」よりも「悔しい」でハマる方が多いですね。私自身、サッカーの経験があったのである程度できるだろうという自信はありましたが、実際にやってみると思っていた以上に難しかったです。

——どんな点が難しいんでしょうか?

前田

コースの特性を踏まえた上で、1打目はここにボールを置く、2打目はここ……というように、しっかりと戦術を立てながら進めないと勝てないスポーツなんです。1打1打、冷静に戦略を立てる必要があるので、メンタルコントロールがとても重要です。そこが、難しくも面白い部分ですね。

戦略の立て方についてはゴルフの知識が生かされる部分が大きいので、ゴルフの本を読んだり、YouTubeで動画を見たりして勉強をしています。

個人競技ならではの緊張感でメンタルが鍛えられた

——フットゴルフをやってきた中で、印象深いエピソードを教えてください。

前田

2019年の9月に出場した全英オープンで大敗してしまったのが、一番印象に残っています。

イギリスはフットゴルフが盛んで、選手層が厚く世界ランク1位の選手もいる強豪国なんです。相手選手との実力差も大きかった上、崖のような急斜面がいくつもある難しいコースで、芝感も日本とまったく違ったので、ミスが続いてしまって。その結果、冷静さを保てず、打数がどんどん重なってしまいました。試合中に「フットゴルフを辞めたい」と思ってしまったくらい、悔しくて辛い試合でした……。

——そうなんですね……。全英オープンのあとは、何か大会に参加されたんでしょうか?

前田

2ヶ月後の11月に、オーストラリアで開催されたアジアカップに参加しました。全英オープンでの経験をうまく生かすことができて、優勝したんです!

イギリスと芝感が似ていたことと、辛い経験を経てメンタルがかなり鍛えられたことが、優勝できた要因だったかなと。「ちょっとくらいミスをしても大丈夫!」としっかり自分を持って戦えました。

2019年にアジアカップで優勝したときの前田選手

——フットゴルフはメンタルが鍛えられるスポーツでもあるんですね。

前田

サッカーをやっていた時は、団体競技なので負けたとしても「自分一人の責任」とはあまり思わなかったんです。フットゴルフは個人競技なので、自分にすべての責任がある状況なんですよね。フットゴルフを始めてからメンタルはより鍛えられたと思います。
パッティングのときなんて、ギャラリーも静かになるのでかなり緊張感があります。プレッシャーのかかる場面が多いスポーツだと感じますね。

——ちなみに、フットゴルフをやっていることで「こんな癖がついた」「こんな影響があった」ということはありますか?

前田

歩いている時に、道をコースに見立てて戦略を考えてしまうことはありますね。「このコースめちゃくちゃ難しいじゃん!」「あそこにピンがあったらこう蹴るだろうな」とか、勝手に妄想しています(笑)。

あとは、国際大会などで海外の選手と交流することも多いので、「外国人だから」「男性だから・女性だから」という固定概念を持たずに、フラットな目線で色々な人と接することができるようになりました。

目指すは世界一!結果を残すことでフットゴルフの知名度も上げたい

——普段はどこで、どんな練習をされているんでしょうか?

前田

平日は、主に朝の時間帯に公園や河川敷で練習をしています。基本的にはパットの練習が多いのですが、強く蹴って飛ばさなければいけない場面もあるので、フリーキックのように強く蹴る練習をすることもありますね。外で練習ができないときは、自宅でパットの練習をしています。ゴルフ場にもほぼ毎週行っていて。土日のどちらかでラウンドをまわっています。

——前田さんは会社員としてフルタイムで勤務もされていますよね。お仕事とのバランスはどのように取っているんですか?

前田

フレックスタイム制なので、出勤をゆっくりめにさせてもらって朝に練習をすることが多いです。夜は仕事で遅くなってしまうこともあって、練習時間が取りにくいんです。上司は「会社の制度をうまく使って練習に励んで!」と、理解をしてくれています。すごくありがたい環境ですね。

所属しているチームのユニフォーム

——選手としての今後の目標や展望を教えてください!

前田

来年、日本でフットゴルフW杯が開催されるので、そこで優勝して世界一になるのが、1番の目標です!女子の日本代表枠は2名で、その枠に選ばれるためには、月に1回開催されている日本フットゴルフ協会主催の大会で結果を残し、ポイント数を積み重ねていく必要があります。なので、今は毎月の大会でしっかり結果を残せるように、日々練習をしているところです。

フットゴルフはまだ日本での知名度は低いですが、強い選手がいれば注目していただける機会も増えると思っていて。フットゴルフ普及のためにも、レベルアップに努めて大会で結果を残していきたいです。

広いコートでボールを蹴る気持ち良さをぜひ体感してほしい!

——フットゴルフは、どんな人に向いていますか?

前田

ゴルフやサッカーの経験がある方は、経験が生かせると思います。あとは、メンタルコントロールが重要なスポーツでもあるので、冷静にコツコツ取り組める性格の方が向いています。

——「フットゴルフをやってみたい」と思ったら、まずは何から始めたらいいんでしょうか?

前田

日本フットゴルフ協会のWebサイトに、フットゴルフ用のコースが設けてあるゴルフ場の一覧が載っているので、そこから行きやすい場所を選んで、ゴルフ場を直接予約して行くのがいいと思います。

フットゴルフコース一覧:https://www.jfga.jp/courses

あとは、チームや協会が主催している体験会やイベントもあります。「フットゴルフ・イベント」などでネットで検索していただくと、イベント情報が掲載されているサイトが出てきます。Facebookでイベントページが作られていることも多いので、Facebook上で探していただくのもいいかもしれませんね。

——フットゴルフに必要な道具を教えてください!

前田

ウェアとシューズ、サッカーボール、あとは試合で使うマーカーですね。
サッカーボールはゴルフ場で貸し出しをしているので、最初のうちは用意する必要はありません。マーカーは、他の人のプレーの邪魔にならないようにボールをよける際に、ボールの位置をマークするためのものです。マーカーも最初のうちは経験者に借りればいいので、最初はウェアとシューズがあれば大丈夫ですよ。

——ウェアとシューズは、どんな物を選べばいいんでしょうか?

前田

基本的にはゴルフ場のルールに則ったウェアを着ます。上はポロシャツなど襟付きのもので、下はジーンズ以外のパンツを着用します。ハーフパンツの場合はソックスを履く、という点はサッカー寄りですね。

シューズは、芝を傷つけてしまうスパイクはダメなので、サッカーのトレーニングシューズや、ゴルフのスパイクレスシューズを使います。遊びとしてプレーする場合はスニーカーでも大丈夫ですが、滑りやすいので気をつけてくださいね。

——ゴルフ場の利用料はいくらくらいなんでしょうか。

前田

フットゴルフで利用する場合は、1回4,000〜5,000円くらいですね。ゴルフの場合は1万円くらいかかるのですが、フットゴルフでの利用だと半額くらいで済むんです。ゴルフクラブなども必要ないので、ゴルフよりも始めやすいかと思います。
あとは、フットゴルフのコースがあるゴルフ場は限られているので、住んでいる場所によっては交通費がかかるかもしれません。

——最後に、フットゴルフを始めようとしている人へメッセージをお願いします!

前田

フットゴルフはボールを蹴ることができれば誰でもできるスポーツです。ゴルフをしたことがない方にとっては、ゴルフ場に行くのが少しハードルに感じるかもしれませんが、天気のいい日に、青い芝がずーっと続く広い空間でボールを蹴るのは、すごく気持ちいいんですよ! 選手としてではなく趣味として年に3〜4回ほどフットゴルフを楽しんでいる友達もいます。気軽な気持ちで、ぜひ一度体験してみてください!

フットゴルフを始めるのにかかる費用

ウェア代上下で約5,000円〜10,000円
シューズ約2,000〜3,000円
ボール代購入の場合3,000円〜数万円、レンタルの場合約500円(※ゴルフ場による)
コース代1回4,000〜5,000円(※ゴルフ場による)
合計14,000円~

※体験でやってみる場合は、手持ちのポロシャツなどを利用すれば、コース代+交通費程度ですみます!

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