初心者でも気軽に楽しめる!日本ランキング1位の選手に聞いた、テニス+スカッシュのラケット競技「パデル」の魅力【マイナースポーツ特集#14】

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初心者でも気軽に楽しめる!日本ランキング1位の選手に聞いた、テニス+スカッシュのラケット競技「パデル」の魅力【マイナースポーツ特集#14】

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「パデル中心の人生にしたい。そう思って、時間の融通がきく、フリーランスエンジニアになる道を選びました」

そう語るのは、ダブルス限定ラケット競技「パデル」日本ランキング1位の日下部 俊吾さん。

パデルは、テニスとスカッシュを合わせたようなスポーツです。約40年前にスペインで生まれ、現在はヨーロッパを中心に世界30ヶ国でプレーされています。

大学時代にテニスサークルに所属していた日下部さんは、サークル引退後、大学院に進んだ後にサークルの先輩から誘われたのがきっかけでパデルを体験。その後、競技の奥深さに魅了され、特訓のために本場スペインに足を運ぶほどパデルにのめり込んだそう。

現在、フリーランスのエンジニアとして働きながら、日本ランキング1位の選手として活躍する日下部さんに、パデルの魅力や仕事と競技の両立についてなど、お話を聞いてきました!

パデルは「8割テニス+2割スカッシュ」のラケット競技

—— パデルはどのようなスポーツなんでしょうか?

日下部

テニスとスカッシュを合わせたような、ダブルス限定のラケット競技です。強化ガラスの壁に囲まれたコートの中で、ネットを挟んで相手と打ち合います。壁を使う点はスカッシュに似ていますが、点数の数え方やルール、勝敗の付け方などはテニスと同じです。イメージとしては「8割テニス+2割スカッシュ」という感じですね。

——「壁を使う」とのことですが、具体的にどんな風に使うんでしょうか?

日下部

相手が打ってきたボールが自分のコート側の壁に当たって跳ね返り、それを打ち返す……というシーンが一番多いですね。

自分のコートの後ろの壁に向かって強くボールを打ち付けて、相手コートにボールを返すこともあります。「コントラパレッド」という技で、ロブ(高い弧を描きベースライン際に落とすショット)を打たれた時によく使うショットです。

コントラパレッド

日下部

「相手のコート内にボールを入れる」という点はテニスと同じで、ノーバウンドで返すか、ワンバウンド後に返せればOKです。相手コートの壁に直接当ててしまうとアウトになります。

おしゃれなデザイン

——「ここはテニスと違う」という点を教えてください。

日下部

パデルのコートは、テニスコートの半分くらいの広さで、ガラスの壁に囲まれているのが一番の違いです。あとは、ラケットやボールもテニスとは異なります。パデルのラケットはテニスラケットよりも短く、ガットの部分には穴の空いた板が張られています。ボールについては、見た目はテニスボールとほとんど一緒ですが、テニスボールよりも空気圧が低いものを使用しています。

——テニスより、初心者が取り組みやすそうですね!

日下部

そうですね! テニスのラケットはガットの中央にボールを当てないとボールがきちんと飛びませんが、パデルラケットは板張りなのでボールを飛ばしやすいんです。コートが狭いので相手コートにボールが届かない……というケースも、テニスよりは少ないと思います。また、壁に当たってボールの速度が緩くなるので、打ち返しやすいというメリットもあります。

テニスの場合、試合ができるようになるまでにはかなりの練習が必要ですが、パデルの場合は初心者でもラリーが続きやすいので、すぐに試合を楽しめるのが大きな魅力です!

「戦略性が高い」「コミュニケーションが重要」なのがパデルの魅力

——パデルを始めたきっかけを教えてください。

日下部

大学時代にテニスサークルに所属していて、卒業とともにサークルを引退し、大学院に進みました。その翌年の2017年、大学院1年生の夏に、テニスサークルの先輩から誘われてパデルを体験したのがきっかけです。気軽な気持ちで参加してみたら「めちゃくちゃ楽しい!」と、すっかりハマってしまって。そこから本格的にパデルに取り組むようになりました。

——パデルに夢中になった理由というのは?

日下部

中学からテニスをやっていましたが、ある程度学びきった感があり、これ以上強くなるにはあとはひたすら努力を続けて突き詰めていくしかない……という状態でした。でも、なかなか思うように実力が伸びなかったんです。そんな時に、パデルと出会いました。

パデルはテニスと似ているもののまったく違う部分もあるので、テニスの経験を活かしながら、新しいスポーツを一から学ぶ感覚が新鮮で、すごく面白かったんです。

——テニスの経験を活かしつつ、新鮮な気持ちで取り組めたんですね。

日下部

あとは、戦略性がすごく高いスポーツなので、テニスよりも、体格差や年齢差がハンデにならないんです。テニスだと、強い球を打ち込まれるとサーブ一球で終わることもありますが、パデルは壁に当たることでボールが緩やかになるのでラリーが続きやすく、その分、戦略の立て方が重要になってきます。そこも魅力に感じた部分ですね。

自分よりも体格が大きい選手にも頭を使えば勝てますし、経験が物を言うスポーツなので、テニスよりも選手年齢が15歳くらい上なんですよ。30〜40代で活躍している選手はたくさんいます。

——パデルは「ダブルス限定競技」ですよね。ダブルスならではの面白さや難しさについて教えてください。

日下部

パデルは、パートナーとの試合中のコミュニケーションがすごく重要なんです。テニスのダブルスでも声かけはしますが、パデルの場合は壁を向く(対戦相手に対して背を向ける)シチュエーションも多いので、相手の位置を知らせるための声かけがより重要になってきます。そこが、難しくも面白いポイントです。

重要度でいうと、技術+メンタルが6割、コミュニケーションが4割くらいですね。

——パートナーとの信頼関係も重要になってきそうですね。

日下部

すごく大事ですね。僕はテニスの時はシングルスプレイヤーで、パデルに転向して初めてダブルスを経験しました。相手のミスを「相手のせい」と思わず、自分ごととしてとらえて一緒に頑張っていく……というのは、メンタルコントロールが難しい面もありますが、ダブルス競技にとってすごく重要なポイントだと感じています。

パデルの本場スペインでの特訓を経て、日本ランキング1位を獲得

——パデルを始めてから日本ランキング1位になるまでは、順調な道のりだったんでしょうか。

日下部

いえ、最初の頃はまったく勝てませんでした。パデルを始めた半年後くらいから大会に出場するようになりましたが、5大会連続で一回戦負けをしてしまって……。あれは本当に悔しかったですね。元々負けず嫌いだったこともあり、「もっと強くなりたい!」と、闘争心に火がつきました。

——大会で結果を出せるようになってきたのは、いつ頃からですか?

日下部

2018年のシーズンからです。最初の頃はペアをきちんと組んでいませんでしたが、2018年のシーズンから固定の選手とペアを組むようになり、ペアの練習をしっかり積むようになったことで徐々に勝てるようになってきました。

また2018年の夏に、パデルの本場スペインに行き、3週間パデル漬けの日々を送ったんです。そこでパデルへのモチベーションがぐっとあがり、ますます練習に励むようになっていきました。

——日本ランキング1位を獲得されたのはどの大会ですか?

日下部

2019年8月に開催された国際大会「FIP Nexus & 凌駕 マスター大会」で優勝したタイミングでポイント数が日本トップになり、日本ランキング1位を獲得しました。

2018年に続き、2019年の3月にもパデル修行のために1ヶ月間スペインに渡航したのですが、その時にすごくいいコーチと出会えたんです。かなりスパルタな人で、自分ではできていると思っていたことも「全然できていない!」と厳しく指導をされました。そのコーチのおかげでプレースタイルがガラリと変わり、日本ランキングトップを獲得することができたんです。

2019年は15大会中11大会で優勝、4大会で準優勝と、かなりの好成績を残すことができました。

日下部

スペインには年に1回程度のペースで足を運んでいますね。昨年12月〜今年の2月末くらいにも行っていました。

スペインではパデルは国民的なスポーツで、パデルの競技人口がテニスの1.5〜2倍とかなり多く、選手層も厚いんです。日本ランキング1位とはいえスペインには自分よりも強い選手はたくさんいるので、学びも多いですし、刺激にもなります。

——ちなみに、パデルをやってきたことで「この経験は日常に活きている」「こんな部分が変わった」ということはありますか?

日下部

ダブルス競技のパデルを続けてきたことで、コミュニケーション能力が上がったと思います。

あとは……テニスとパデルでは打ち方や動きが全然違うので、テニスがめちゃくちゃ弱くなりました(笑)。テニス中なのに、壁に当たることを想定した動きを無意識に取ってしまうこともよくあります。そこはちょっと残念な変化ですね(笑)。

パデルに注力するため新卒フリーランスに。世界で活躍する選手を目指す!

——現在はフリーランスのエンジニアとのことですが、お仕事と競技のバランスはどう取っているんでしょうか?

日下部

今は週4でエンジニアの仕事をしています。始めのうちは就職活動もしていましたが、「パデル中心の人生にしていきたい」という気持ちが強くなり、フリーランスの道を選びました。

元々、大学ではエンジニアリングについて学んでいました。さらにパデルの大会で知り合った方がCTOを務める会社でインターンをしていて、卒業後もその会社で業務委託として働かせてもらえることになったんです。リモートが可能で勤務時間も融通がきくので、パデルの練習やトレーニングにしっかりと時間を使うことができています。

——すごくいい職場環境ですね!

日下部

CTO自身もパデル経験者なので、僕の夢を応援してくれています。スペインに長期渡航できたのも、その人のおかげです。リモート可能とはいえ、海外に長期で行くのは他の会社では難しいと思うので、めちゃくちゃありがたい環境です。

パデルの活動を応援してもらえている分、エンジニアの仕事でもしっかり会社に貢献したいと思っています!

——ブログやSNSなど、パデルの発信活動にも力を入れていますよね。「パデルを広めたい」という思いは、やはり強いんでしょうか。

日下部

そうですね。僕自身がパデルのことが大好きなので、「面白いスポーツだからもっと広まってほしい!」という思いがあります。

日本ではまだマイナーなスポーツですが、体格差によるハンデが少なく戦略性が高いという点で、パデルは日本人に向いているスポーツなんじゃないかなと。日本のパデルのレベルをもっともっと上げていきたいですね。そのためにも、まずはパデルをより多くの人に知ってもらいたいと考えています。

——パデルの認知を広めるために、今後どんな取り組みをしたいですか?

日下部

SNSやブログでの発信は今後も積極的に続けていきたいです。パデルの良さを伝えるには写真や動画で見ていただくのが一番いいので、写真や動画を手軽にアップできるInstagramが、SNSの中で一番力を入れています。動画をもっと強化していきたいので、今後はYouTubeにも取り組みたいですね。

——選手としての、今後の展望を教えてください!

日下部

世界の舞台で活躍できる選手を目指して、もっと実力をつけていきたいです。現状、世界ランクのトップ層はスペインやアルゼンチンの選手で、日本とのレベルの差がものすごく大きいんです。今以上の実力をつけるなら、スペインを拠点にして練習を積んでいく必要があるんじゃないかと思い、方法を模索しているところです。

もちろん、日本に留まって国内のパデル普及に尽力するのも選択肢のひとつですが、自分の限界が見えるまでは、自分自身の強さを追求したいと思っています。

初心者でも始めやすい&本気で取り組めば日本代表を目指せるチャンスも!

——「パデルをやってみたい!」と思ったら、まずは何から始めればいいんでしょうか。

日下部

パデルコートがある施設が主宰している体験会やイベントがあるので、そちらに参加していただくのがいいと思います。パデルができる施設の一覧は、日本パデル協会のWebサイトに載っているので、そちらから施設のWebサイトを見ていただければ、イベント情報が確認できます。
「肉パデル」「おでんパデル」など、食事とセットのイベントが多くて、初心者でも楽しめますし、友だちもできますよ!

パデルコートがある施設一覧

——パデルを始めるにあたって必要な道具を教えてください。

日下部

ラケットやボール、シューズは施設で借りられるので、用意するのはウェアくらいですね。ウェアは基本的には動きやすい服装であればOKです。体験を経て「本格的に始めたい」と思ったら、道具を揃える必要があります。

パデル専用シューズは1万円程度で、ボールは3つ入りで700円です。ラケットは安いものだと8,000円くらいから、高いと5万円の物もありますが、まずは初心者用の安いラケットを買うのがいいと思います。

——パデルを始めようと考えている人にメッセージをお願いします!

日下部

「ラケットスポーツって難しそう」と抵抗感を持っている人もいると思いますが、パデルは初心者でも簡単にプレーできるので、体験会やイベントに気軽に足を運んでもらいたいですね。

また、今はまだ競技人口が少ないので、日本代表を狙えるチャンスが大きいんです。敷居が低くて始めやすい一方で、競技として突き詰めたい人にとってはすごく未来のあるスポーツだと思います。「新しい趣味が欲しい」「何かに熱くなりたい」という人にはぴったりなスポーツなので、ぜひ一度体験してみてください!

パデルを始める際の費用

ウェア上下で約5,000〜10,000円
ラケットレンタルの場合約300円、購入の場合は8,000円〜
シューズレンタルの場合約300円、購入の場合は約10,000円〜
ボールレンタルの場合は無料、購入の場合は3つ入り700円
コート1時間2,000〜4,000円(※コートによる)
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