ラケットの代わりに使うのは頭!?3年連続日本一に輝いた絶対王者が語る「ヘディス」の魅力【マイナースポーツ特集#11】

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ラケットの代わりに使うのは頭!?3年連続日本一に輝いた絶対王者が語る「ヘディス」の魅力【マイナースポーツ特集#11】

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2006年にドイツで生まれた新スポーツ「ヘディス」。卓球台とボールさえあればすぐに始められるシンプルさと、全身を使ってボールを打ち返すダイナミックさが人気となり、競技人口は右肩上がり、今では世界大会も開催されています。

YouTubeでヘディスの動画を観ていたら実際に競技されている様子を見てみたくなり、練習にお邪魔させていただきました。和やかな雰囲気の中で繰り広げられる激しいラリー戦は一瞬たりとも目が離せない!!見るだけでも楽しいスポーツでした。

練習後にお話を伺ったのは、全日本選手権で前人未到の3連覇を果たし、「絶対王者」と呼ばれている平野伸幸選手。ヘディスの魅力や楽しさについて語っていただきました!

卓球台を挟んで頭でボールを打ち合う「ヘディング卓球」

——練習を見せていただきありがとうございました!あらためて、ヘディスとはどんなスポーツなのか教えてください。

平野

ドイツの学生が考案したスポーツで、卓球台を使ってボールをヘディングで打ち合うので「ヘディング卓球」とも呼ばれています。日本に入ってきたのは2017年。まだ歴史は浅いですが、小学生からシニア層まで幅広い方が楽しんでいます。

ルールは卓球とほぼ同じです。違いは、「ラケットではなく頭を使う」「台に手をついたり乗ったりすることができる」「相手からのボールがコートに着地する前に打ち返してもOK」の3つ。11点を2セット先取したほうが勝ちで、ダブルスがある点も同じですね。卓球台以外に、直径15.9cm、重さ100gのゴム製ボールと専用のネットを使います。

——ありがとうございます。平野選手は何をきっかけにヘディスを始めたんですか?

平野

2017年に全日本ヘディス選手権の予選大会が各地区であり、僕の住んでいた磐田市(静岡県)では東海予選が行われました。そこに友人がスタッフとして参加していて、「出場者が足りないから来てほしい」と誘われ、軽い気持ちで行ったんです。
試合に参加してみたら、1試合目も2試合目も大差で勝利。正直、「あれ?もしかして向いている?」と思いました(笑)。

——ヘディスをやったのはそのときが初めてだったんですよね……?

平野

そうです。ルールも知らず初めてやったんですが、7試合勝ち上がってその大会で優勝しました。

——すごい!

平野

ヘディス協会の方から翌月の全国大会に呼んでいただいたので、それまでにサーブを極めようと家にあった卓球台でひたすら練習をしました。頭のどの部分に当てたらどこへ飛んでいくかを見たり、回転を加えてみたり。やっているうちに手足と同じように、打ちやすい「効き頭」があることも知りました。

——効き頭は初耳です!先ほどもいろんなサーブをやられていましたよね。

平野

「レインボーショット」と名付けたのですが、僕は「カーブ(右左)」「天井サーブ」「ドライブ」「スピン(2種類)」「ストレート」の7種類のサーブを持っています。

バリエーションがあるので、「カーブが打ち返されてしまったから次はスピンにしよう」ということが可能なんです。このサーブのおかげで、全国大会でも優勝できました。

回転をかけて上に投げたボールを……

頭に当ててサーブ!

——センスだけでなく努力あっての優勝ですね。2018年、2019年の全国大会はいかがでしたか?

平野

2017年の全国大会優勝後、「あの人はサーブだけ」という声を聞いたので、2018年はレインボーショットを封印し、誰でも打ち返せるようなごく普通のサーブで挑みました。

——えっ!サーブ封印!?どうやって戦ったんですか?

平野

サーブの代わりに、スマッシュとディフェンスを強化したんです。それで優勝できたので、サーブだけじゃないということを証明できました。

2019年は思い通りにボールを打てるようになっていたので、「相手に自分の打ちやすいボールを打たせて攻める」をテーマに戦いました。僕の動きを研究し、サーブを真似してくれる人もいたので苦戦しましたが、3連覇はひとつの大きな目標だったので勝てたときはとてもうれしかったです!

激しいラリーの裏には心の駆け引きがある

——平野選手が考えるヘディスの魅力とはなんでしょうか?

平野

ダイナミックな動きの裏にある心理戦です。それぞれ打ち方も違えば戦術も違います。どんなボールが来るかを予測して動いて、思い通りのプレーができたときは気持ちいいですね。逆に、「あれ、違った。じゃあどうする?」と瞬時に考えるのもまた楽しいです。

——ボールを打っていて頭は痛くならないんですか?頭を振ったり前屈みになったりもしますが、血がのぼったりは?

平野

慣れるまではボールがよく当たる部分が痛くなりましたが、今はまったく痛くならないです。柔らかいゴム製のボールなので安心ですよ。頭を動かすのは上下でなく前後なので、血がのぼることもないですね。

頭や首を使うスポーツと思われがちですが、実際は低い体勢になったり前のめりになったりするので、足や腰の筋力が大事なんですよ。僕の場合は、サッカーで鍛えられた下半身が活かされています。

——平野選手はもともとサッカーをやっていたんですね!ヘディスをやるにあたって経験があると有利なスポーツはありますか?

平野

卓球の経験があると卓球台のサイズ感をわかっているので有利かなと思います。サッカーや野球、バスケなど、いろんなスポーツの経験を持つ人がいますが、僕がすごいと思ったのは剣道経験者。サーブの回転がすごくてびっくりしました。手首の使い方が上手なんでしょうね。

奥が平野選手!腰を落とした体勢

——そうなんですね!へディスを始めて、生活は変わりましたか?

平野

常にボールと一緒にいるようになりました。車の助手席に置いておいて信号が赤になったら回転させながら上に投げたりとか。あとは、一緒に寝ていますね。

——愛情がすごいですね。

平野

ボールは友達だと思っているので、ボールの上に乗るのも嫌だし座るのも嫌。サッカーをやっていたころは蹴っていましたが、今はそれも嫌ですね(笑)。重要な局面で自分を助けてくれるのはボールだと信じています。そういう気持ちを持っていることも大事だと思うんですよね。

——信念からの行動でもあったんですね。普段はどんな練習をされているんですか?

平野

1人の場合は、筋トレをしたり家で自主練をしたりしています。練習相手がいる場合は浜松市や袋井市にある卓球台がある練習場で、試合形式の練習をします。

普段は静岡県内で練習をしていますが、今日は東京都内に私用があったので、新座市(埼玉県)で活動しているチーム「HC.Ahorn-niiza(ヘディスクラブアーホルンニイザ)」の練習に混ぜてもらいました。

相手がすばらしいプレーをしたら「いいサーブだったね」などと褒め合うのもヘディスのいいところ。初めて会った人とも友人のようにプレーができて最高なんですよ。

今回お邪魔した「HC.Ahorn-niiza(ヘディスクラブアーホルンニイザ)」選手の皆さんと平野選手

——これまでの競技人生で特に印象に残っている出来事を教えてください。

平野

2017年にスロバキアで開催された世界大会に行ったときの現地の方の対応は忘れられません。「日本からノブが来たぞ!」と歓迎していただき、試合会場でも日の丸が描かれた旗を振ってくれました。

試合では世界ランク1位の選手と戦ったんですが、もうハンパないです!スピードやテクニックというより、基礎ができているから全然ミスをしないんですよ。どこを攻めても返されて、拾い続けているだけでヘトヘトになりました。

この経験でディフェンス能力の高さが強さに比例することを知って以降は、どんなボールでも諦めずに拾いにいくようになりましたね。

——全日本ヘディス選手権で3連覇を成し遂げましたが、次はどんな目標を描いていますか?

平野

もちろん4連覇は考えています。さらに、また世界の舞台で戦いたいです。2017年、2018年に日本一になったときに世界大会へ行かせてもらったのですが、いい結果を残せませんでした。今僕の世界ランクが77位なので、30位以内に入り、アジアでトップになりたいです!

普及活動にも注力。スクールをつくって次の世代を育てたい

卓球台の上に、立ってる!!?

——平野選手はヘディスの普及活動にも力を入れてらっしゃるんですよね。

平野

はい。積極的にメディアに出演しています。昨年は、NHK Eテレ「天才てれびくんYOU」やCBCテレビ「本能Z」など多くの番組に出させていただきました。反響も大きく、「体験会をやってほしい」という声をたくさんいただいています。

「本能Z」では、卓球台の上に飛び乗ってボールを打ち返す技に今田耕司さんが「フジヤマ」という名前をつけてくれたんですよ。

——さきほど実際に見せていただきましたが、すごい迫力でした!平野選手以外にフジヤマをできる人はいるんですか?

平野

海外ではいますが、日本では僕だけですね。身長が低いので卓球台の上に立ってもどの高さのボールにも頭が届くんです。動きで相手にフジヤマをやることがバレないように、静かに飛び乗る練習もしています。

せっかくいい名前をつけていただいたので、大会で見ている人から「フジヤマだ!」と言ってもらえるくらい広めたいです。

メディア露出以外では、袋井市(静岡県)が体育館を貸したりなど協力してくださるそうなので、2ヶ月に1回体験会をやる予定です。ゆくゆくは、小中学生を50人くらい集めてスクールをつくり、次の世代を育てたいと思っています。

——ドイツの時計ブランド「ZIIIRO(ジーロ)」とスポンサー契約を結ばれたそうですが、どういった経緯からですか?

平野

ジーロはまだあまり世に知られていないスポーツを広める活動をしていて、これまでもパルクールやスラックラインなどの選手をサポートしています。新たなマイナースポーツを探している中でヘディスを見つけてくださり、声をかけていただきました。

競技用に時計を提供していただいたほか、スポーツ選手をはじめとする各界の著名人が集まる会へ招いていただくなど、ヘディスをPRする機会をつくっていただいています。

——実際にヘディスをやってみたいと思った場合、どうしたらいいのでしょうか?

平野

静岡県内では、年齢別の体験会を行う準備をしています。ほかの地域でヘディスを体験してみたい方、チームに入って活動したいという方は、ヘディス公式サイトへお問い合わせていただければ、近くで活動しているチームを紹介できると思います。

問い合わせ先:info@headis.jp

ボールとネットはチームで持っているので、運動できる服と靴さえあれば参加可能。個人練習をしたい方は、公式サイトからボールを買うこともできます。

——最後に、これからヘディスを始めようかなと考えている方に向けて、メッセージをお願いします!

平野

ヘディスはお子さんからご高齢の方までみんなが楽しめるスポーツです。見るのとやるのでは全然違うので、興味がある方はぜひ一度体験してみてほしいです。僕もそうでしたが、始めてすぐに日本一になれる可能性もありますよ!

——とてもおもしろいお話でした!ありがとうございました!!

ヘディスにかかる費用

体験会・練習無料

※参加チームや会場によって有料になる場合あり

 

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