“相手を倒さない”ラケット競技!? 「思いやりのスポーツ」フレスコボールの魅力に迫る【マイナースポーツ特集#06】

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“相手を倒さない”ラケット競技!? 「思いやりのスポーツ」フレスコボールの魅力に迫る【マイナースポーツ特集#06】

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「フレスコボールは僕の人生を変えてくれた存在」と語るのは、フレスコボール日本代表の斉藤亮太さん。

フレスコボールは“誰も傷つけない競技性”が特徴のビーチスポーツ。味方同士のペアとラケットでボールをで打ち合い、技や速さ、ファッション性を競い合う、ラケットスポーツの中では珍しい採点競技です。

斉藤さんは2019年12月、ブラジルで開催された世界選手権に出場し見事3位に入賞。選手として活躍するだけでなく、『逗子フレスコボールクラブ』を立ち上げるなど、普及活動にも熱心に取り組んでいます。

斉藤さんの心を掴んで離さないフレスコボール。その魅力から初心者の始め方まで、たっぷり伺いました。

簡単そうで奥が深い!ブラジル生まれのビーチスポーツ

――フレスコボールとはどんなスポーツですか?

斉藤

専用のラケットを使って、直径4cmのゴムボールを7m離れたペアと砂浜の上で打ち合うスポーツです。1945年にブラジルで生まれ、日本には6年前に上陸しました。

――どんなルールなのでしょうか?

斉藤

毎年少しずつ変わっていて、まだ完成されたルールはないのですが、現時点での日本のルールは、基本的に1回打つと加点、落とすと減点です。アタックという強めの打球や、股抜きなどの技を繰り出すと加点され、勝敗は5分間打ち合った最終的な得点で決まります。できるだけ落球せずにどれだけ速くラリー続けられるかが重要ですね。他にもペアでお揃いのウェアで出場して、おしゃれなペアにはファッション賞がもらえたりと"ファッション性”も楽しめるスポーツなんです。

――先ほど体験させていただきましたが、一見簡単そうなのに、全然思う通りに打てなくてびっくりしました……。

斉藤

ラリーが続いているのを見ると簡単そうに見えますよね。実際にやってみると、予想を裏切ることがたくさんあるんです。「こんなに飛ぶの?」とか、「コントロールが難しい!」とか。それもフレスコボールの面白さの1つです。

――基本的にビーチでプレーするスポーツとのことですが、日差しの強い中、裸足で砂浜の上に立つと真夏は足の裏が熱くありませんか?

斉藤

砂を少し掘るとと太陽に当たっていなかった下の方の砂が出てくるので、その上に立ってプレーすれば全然熱くないですよ。ビーチスポーツ用の靴下も売っているので、それを履けばもっと安心です。日焼けは免れませんが……(笑)。

「打つ相手は味方」協力し合ってラリーを続ける

――斉藤さんは何がきっかけでフレスコボールを始めたのですか?

斉藤

大学4年生のときにフレスコボールの普及者に出会ったのですが、その人が全国レベルで活躍していた元テニスプレーヤーでした。僕もずっとテニスをやっていたので、そんな人が夢中になるスポーツってなんだろう?と興味を持ったのが始まりです。

そのときはまだ選手になろうとは思っていなかったのですが、2015年夏にフレスコボールのジャパンオープンがあると聞いて遊びに行ってみました。そこで本当に偶然、ブラジルの世界チャンピオンと打たせてもらえたんです。フレスコボールを実際にやるのはそのときが初めてだったのに、ラリーを長く続けることができて!ものすごく楽しかったですね。

――世界チャンピオン相手にラリーを続けることができたとは、さすがですね。

斉藤

いえいえ、相手が世界チャンピオンだからこそです。上手い人はどんなボールも拾うし、打ちやすいところに返してくれるのでどんな人が相手でもラリーは続くんだと今ならわかるのですが……。当時はそれをいいように捉えて、これは自分もできそうだと(笑)。その半年後にちょっとだけ練習して初心者限定のビギナーズカップに出場したら優勝できたので、ますます自信をつけてしまいました。

――大会で成果を出したことをきっかけに、選手の道を歩む決意をしたのですか?

斉藤

そうですね。僕自身、かつてはプロテニスプレーヤーの道を目指して挫折を経験していたので、「フレスコボールなら、テニスで成し遂げられなかった、日本代表として世界で活躍する夢を実現できるかもしれない!」と。そう思うようになってから、本格的に練習を始めました。

――フレスコボールの魅力は何ですか?

斉藤

1つは、「いつでも、どこでも、誰とでもできる気軽さ」です。ビーチスポーツではありますが、ラケットとボールさえあれば場所を選ばずにプレーすることができますし、誰でも練習すれば打てるようになります。

もう1つは、「相手を倒さない」スポーツであることです。相手の打ちやすい場所に打ったり、お互いの心境を察知してサポートしたりすることが大切なので、「思いやりのスポーツ」とも言われています。テニスではシングルスを主にやっていたので、コミュニケーションを取りながらプレーするのは新鮮さもあったし、この“ピースフルな競技性”はとても良いなあと感じています。

最終的には点数で順位が決まりますが、頑張って練習してきたペアと良いラリーができると、達成感や充実感を得られるので順位に関係なく誰もが気持ちよく楽しめるんですよね。大会では、1組ずつパフォーマンスをするので、みんなに努力の成果を発表することになり緊張もしますが、本番でしか味わえない気持ちよさ、爽快感があるので、もうこれに病みつきのプレーヤーも多くいると思います。

ラケットの規格はナシ。自由にアレンジして個性を表現

――普段はどのくらい練習しているのですか?

斉藤

毎週土日の午前中に始めて、ボールが見えなくなる夕方まで練習しています。メンバー同士での練習もしっかりやりつつ、興味ありげに遠くから見ている方がいたら声をかけて、できるだけやってみてもらうようにしています。フレスコボールに触れて楽しさを知ってもらいたいですし、初心者の方と打つのは僕たちにとっても想定外の球に対応するいい練習になるんです。

――初心者と打つのもいい練習と言ってもらえると体験しやすいですね!

木製のラケット(両端)とカーボン製のラケット(中央)がある

――フレスコボールで必要なのはラケットとボールだけですか?

斉藤

そうです。木製またはカーボン製のラケットと、ゴムボールだけです。ラケットは日本フレスコボール協会やAmazonでも購入ができますが、逗子では趣味でラケットを作っているおじいちゃんから、お手製のラケットを買えるんです。逗子で練習しているメンバーには、おじいちゃんから買っている人がけっこういて。工房が練習前後のみんなの憩いの場になっているぐらいです(笑)。そこでゴムボールも購入できるので、一式はすぐにそろいますよ。

ラケットは自分好みにアレンジしている人が多いです。野球やテニスなど昔やっていたスポーツのグリップを巻いていたり、軽くするために穴を開けたり、絵を描いている人もいます。

――斉藤さんはラケットにどんなこだわりを持っていますか?

斉藤

扱いやすさを重視しているので、他の人よりも軽めのラケットを使っています。今使っているのはブラジルの選手が使用しているモデルで、カーボン製のものです。

ラケットを選ぶときは必ず試打をしてから決めるようにしています。以前は木製のラケットを使っていたのですが、同じ木から作られていても微妙に重さが違ったりするんですよ。軽いラケットは振り回しやすいのですが、早いボールに打ち負けてしまいます。反対に重いラケットは強いボールが打てる分、動かしにくいんです。

なので、バランスの見極めというか自分にしっくりくるかが、とても重要で。僕がラケットを変えるのは、これならいける!と思えるラケットに出会ったタイミングです。出会ったら最後、たとえ試合前日であってもラケットを変えます。実際に、2018年のブラジル選手権では前日に変えました(笑)。本場リオデジャネイロはラケットの種類も多いのでつい試し打ちしたくなってしまって。

――そんな急に変えてしまうんですね……!ブラジル選手権といえば、2019年大会では3位入賞、おめでとうございました!

斉藤

ありがとうございます。日本代表としての出場は3回目ですが、やっと結果を出すことができ、本当に嬉しく思っています。

ブラジル選手権表彰式の様子

斉藤

今年から大会にスピードガン判定が導入されたので、代表に選出された9月からの3ヶ月間、代表メンバーと対策を試行錯誤してきました。練習していく中で「自分をサポートしてくれた人たちに絶対に恩返しがしたい!」というポジティブな気持ちになれたので、試合中も思わず笑顔になってしまうほど楽しみながらプレーすることができました。来年も同大会での上位入賞を目指しています。

ラリーが続くと楽しい! 初心者は上級者と打ってみよう

――斉藤さんはフレスコボールの普及活動にも熱心に取り組まれているそうですね。

斉藤

はい。SNSやブログなどを通じた発信や体験会の開催など、あの手この手で普及に取り組んでいます。日本一周や世界一周をしてでも広めようと考えていたこともあるぐらい(笑)。でも、地域に根差した活動の方が、そこを起点に輪が広がりやすいなと考えを改めて。僕は今逗子でやっていますが、九州、沖縄、関西、四国、静岡とか取り組んでいる地域がだいぶ増えてきました。逗子をロールモデルに、もっと多くの地域に拠点ができると嬉しいですね。

逗子フレスコボールクラブの皆さん

斉藤

僕が普及活動にもこだわるのは、もちろん自分自身の活躍を知ってもらうためでもありますが、より多くの人にフレスコボールというスポーツを知ってほしいとの想いがあるからです。僕の人生を変えてくれたフレスコボールは、競技に関わる人の生活を豊かにする力があると信じているんです。好きなスポーツを元気な体で夢中になって頑張れること、時間を忘れて没頭できることは幸せだなと改めて感じています。

――フレスコボールをやってみたい場合は、まず何から始めたらいいでしょうか?

斉藤

僕が拠点にしている『逗子フレスコボールクラブ』の活動時間中に来ていただければ、いつでも体験できます。ほぼ毎週土日に、逗子海岸で活動中です! 逗子に行くのが難しい場合は、日本フレスコボール協会や近くのクラブに問い合わせてみてください。

――最後に、これからフレスコボールを始めようとしている方にメッセージをお願いいたします!

斉藤

フレスコボールは、今の生活に刺激を求めている人や、何かに夢中になりたい人、大人になっても青春を味わいたい人にはぴったりだと思います。頑張り次第では日本代表を目指すことも可能ですし、実際に始めて1年で日本代表になった選手もいます。だからこそ追い抜かれないように僕自身も頑張り、今年も日本代表として世界大会に出場し、去年より上を目指していきたいと考えています。

一緒にトップを目指したい方から、趣味としてフレスコボールに興味をお持ちいただいた方まで、どんな方でもぜひ一緒に楽しみましょう。

上手い相手と打てば初心者でもラリーが続きます。逗子に来てくれれば僕が絶対に楽しませるので(笑)、ぜひ気軽に遊びに来てください!

――力強いメッセージをありがとうございました!

フレスコボールを始めるのにかかる費用

ラケット3,000円~
ボール(3個セット)1,500円〜
コート代0円
合計4,500円~

 

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