日々色好日 #78 「萌黄色-moegiiro-」

特集

日々色好日 #78 「萌黄色-moegiiro-」

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小学校一年生のときのこと。学校の隣の公園、といってもただの空き地のような手入れのされていない雑草の生い茂る土地なのですが、そこで同級生たちと虫取りをしたことがあります。

今では虫全般が苦手なのですが、当時は蝶々を素手で捕まえていたし、バッタも素手で捕まえていました。振り返ると、よくそんなことができたな……と思います。

でも、いつから虫を素手で触ることができなくなったのでしょうか。一体いつから、草の生い茂る日当たりのいい空き地にワクワクしなくなったのでしょうか。

私は大人になってからの日々のほうが好きで、大人になってよかったと心の底から思うのですが、それでも大人になることと引き換えに失ったものも沢山あるのだなと感じています。

それでは、本日の伝統色を紹介します。

伝統色紹介:萌黄色-moegiiro-

萌黄色は、萌え出る若葉のようなさえた黄色みのある緑色のことを指します。平安時代から用いられてきた長い歴史のある伝統色で、ほかに「萌木」とも表記します。

若木の色として若さを象徴する色であり、平安時代では若者向けの色として愛されていたそうです。

『平家物語』では若き平家の貴公子・平敦盛が「萌黄縅(もえぎおぞし)」の鎧を着用していたり、二十歳の弓の名手・那須与一が「萌黄匂(もえぎにおい)」の鎧を着ていたりと、萌黄色が若武者の象徴として登場します。

「萌葱(もえぎ)」とも書かれることがありますが、こちらは青葱に由来する濃い緑色をさしており、江戸時代に流行しました。

作品紹介:『一瞬の風になれ』佐藤多佳子

(あらすじ)「目標、速くなる。」高校入学と同時にサッカーの道を諦め、陸上部に入部した主人公・新二。サッカー選手として活躍する兄と、幼馴染であり「ショートスプリントの天才」と呼ばれる一ノ瀬連という二人の天才のそばで、新二は走ることへ真っ直ぐな情熱を持ち、どこまでも自分を伸ばしていく。そんな高校3年間を描いた青春小説。


この本を読み終えた時、こういう熱量や真っ直ぐさは自分の青春時代にはなかったなあと眩しい気持ちになりました。

当時は何かに本気になることはダサいことだと思っていたし、コツコツ積み上げる努力も嫌いで、何も得られなくてもいいからなるべく楽な道を選んで生きていきたいと考えていました。

後悔はいつもあって、その中でも、勉強をしっかりしなかったことより、友達を多く作らなかったことより、あの時代に情熱を持ってなりふり構わず打ち込める何かを持っていなかったことが、一番勿体なかった気がしています。

ダサくてもなんでも、大人になって思い出した時に輝く眩しさで目がくらむような、そんな熱い時代があってもよかったなと思うのです。

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