日々色好日 #76 「鴨頭草-tsukikusa-」

特集

日々色好日 #76 「鴨頭草-tsukikusa-」

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小学校から高校まで、私にとって学校という場所はなかなかしんどいものでした。

「みんな」が「普通」にできていることが難しく、集団の中でうまくやっていく器用さもなく、授業中に窓の外を見ては「どうしてここにいなければいけないのだろう」と思っていました。

どこにも居場所がなく、どこにも行く元気や勇気すらない。

この苦しさがずっと続いていくのかと思うと、途方もなく暗く苦しい気持ちになってしまいました。

でも、どれだけ私が苦しくても見上げた空は青く澄んでいて、清々しいような、忌々しいような、複雑な気持ちになったことを覚えています。

それでは、本日の伝統色を紹介します。

伝統色紹介:鴨頭草-tsukikusa-

鴨頭草は、友禅染の下絵に使用されていた青花紙(ツユクサの花の絞り汁をしみこませた紙のこと)の濃い青色のことです。

鴨頭草はツユクサの古名で、青花紙はこの草の花弁の色素を使用したものだったことからこの名前がつきました。

花の絞り汁からとれる色素を布に移すことから「移し色」とも呼ばれていたそう。褪色しやすいことから人の移り気な心を表し、和歌でもよく詠われた伝統色名です。

作品紹介:『底辺女子高生』豊島ミホ


(作品について)「底辺」から脱するために家出をした高校2年生の時のエピソードを描く『完敗家出マニュアル』、図書館での静かな孤独と食堂の冷やし中華の思い出『紅ショウガの夏休み』、出席時数の関係で迎えた自分一人だけの卒業式『卒業式は二回』。「学校」という場所へ押し込まれ、周囲に馴染めないまま過ごす苦しさや誰かへの怒り、孤独、虚無感、その後に訪れる諦念を鮮やかな筆致で綴る、作家・豊島ミホによる「底辺」な青春を描いたエッセイ集。


深刻な内容なのにどこかクスッと笑える部分がある。

この本を最初に読んだ10代後半の時、自分の苦い記憶を客観的に見つめ、コミカルに表現できてしまう著者の文章表現の豊かさに爆笑しつつ感銘を受けた記憶があります。

でも、久々に再読してみたら、細部の描写に痛いほどの苦しさや虚しさなどの切実な気持ちがのっていることに気づきました。

多くの人が通ってきたあの頃、程度や形は違えど、それぞれが感じてきたあの頃のしんどさがこの本には書かれています。

今苦しさの真っ只中にいる人だけではなく、過ぎ去ったしんどさを忘れることができない人にもおすすめできる一冊です。

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