日々色好日 #75 「玉子色-tamagoiro-」

特集

日々色好日 #75 「玉子色-tamagoiro-」

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先日、夜中に作業していて無性にお腹が空いてしまい、ホットケーキを焼こうとしてふいに浮かんだ記憶がありました。

夜中に台所に立ち、ボウルにどさっとホットケーキミックスを入れ、砂糖を入れ、卵を割って混ぜる。雑貨屋で買った安っぽい焼きドーナツメーカーを取り出してスイッチを入れ、型に流し込む。

焼ける間に紅茶を入れておき、声をかけるといつもきまって嬉しそうな顔で振り向いてくれる父の姿がありました。

太り気味の父です。深夜の焼きドーナツは健康によくないと思いつつも、嬉しそうな顔が見たくてつい「今日ドーナツ焼く?」と頻繁に聞いてしまっていました。

テレビを見ながら他愛無い話をして一緒に食べる、やたらと黄色い焼きドーナツ。すごく美味しいわけではないのに、今でも時々食べたくなる思い出の味です。

それでは、本日の伝統色を紹介します。

伝統色紹介:玉子色-tamagoiro-

玉子色は卵黄のような明るい黄色のこと。江戸時代から見られる伝統色で、寛政の流行歌「はたおり唄」や井原西鶴の浮世草子「好色一代女」などにもこの色が登場し、当時の流行色だったことがわかります。

ほかにも卵にちなんだ伝統色として「鳥の子色」がありますが、こちらは卵の殻のような薄い黄色です。

作品紹介:『世界の台所探検』岡根谷実里

『世界の台所探検』は世界の台所探検家·岡根谷実里による食に関するエッセイ集。この書籍では世界16カ国·地域の家庭の台所に訪れ、その土地に生きる人と共に料理をすることでその土地の暮らしや社会·文化背景を伝えることを目的としています。

コラムではマーケットでの風景や見たこともない食材、調理器具などが紹介されていて、新鮮な驚きが味わえるとともに、言語や暮らしの環境を超えて世界に存在している「食べること」について思いを馳せることができます。

私は幼いころからかなりの偏食だったこともあり、大人になってからも食べることにあまり興味がなく食事はいつも「義務」でした。

それが変わったのはある人と出会ってからのことです。その人はとにかく、美味しいものが大好き。本当に気持ちよくたくさん食べる人で、その食べっぷりは見ていて楽しい気持ちになりました。

影響されやすいタチなので、目の前で美味しそうに食事をする人がいることで自分も少しずつ食べることが好きになっていき、気づけば今では自分も美味しいものが大好きな食いしん坊。

仕事の合間の休憩時間に何を食べるか、晩御飯の献立はどんなものかを考えてひとりでにやにやしているのでした。

食べることや味わうことの愉しみを教えてくれる、そんな人と出会えたのは、とても幸運なことだったと思っています。

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