日々色好日 #74 「深碧-shinpeki-」

特集

日々色好日 #74 「深碧-shinpeki-」

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現在住んでいるアパートの裏には大きな木があります。

初夏から盛夏にかけていきいきとした緑の葉を贅沢につけてくれる素敵な木なのですが、カブトムシやコクワガタ、セミの住まいにもなっている様子で、彼らとは時々我が家の玄関ドアの前で遭遇することがあります。

最近の来訪者で興味深かったのは「ハナムグリ」という昆虫。初めて見たのですが、光沢のある深い緑色が美しく、それでいて全体のフォルムは丸っこく、ちょっとだけ可愛いと感じてしまいました。

緑のそばで暮らしていると時々こういったことが度々あり、元来虫は苦手なはずなのに少しだけワクワクする出会いの機会になっています。

それでは、本日の伝統色を紹介します。

伝統色紹介:深碧-shinpeki-

深碧とは、宝石の「緑碧玉(りょくへきぎょく)」の色のような深く濃い緑色のことです。色名についている「碧(へき)」は「碧玉(へきぎょく)」を意味しています。

碧玉は不純物が多く混じった石英の結晶のことで、混ざっている不純物の違いにより様々な色があり、青・赤・緑・紫・黄褐色と様々な色があります。ちなみに、宝石の「緑碧玉」は「グリーンジャスパー」の和名です。

「碧」がつく伝統色名は他に「青碧」「紺碧」「紅碧」などがありますが、どれも碧色の石の色に由来しているとされます。

作品紹介:『緑響く』東山魁夷

『緑響く』は昭和を代表する日本画家・東山魁夷(ひがしやまかいい)の代表作のひとつ。長野県立美術館・東山魁夷館収蔵。

この作品は、長野県茅野市豊平に実在する「御射鹿池(みしゃかいけ)」という池がモチーフとなっています。

CMや書籍カバーにも登場したことがある作品なので、作者である東山魁夷の名前を知らなくても見たことがある人は多いはず。

静謐な空気、深い緑色の森、一頭の白馬、鏡面のように静かな池……ひとつひとつがすごく印象に残るモチーフではないのに、この作品は一度見たら忘れがたい印象を見る者に残します。

東山魁夷はこの作品を制作したときのインスピレーショについて「モーツァルトのピアノ協奏曲の第二楽章の旋律が響いているのを感じた」と述べていたそう。

絵を見ている人の心に、柔らかく美しく、静かに音が響くような作品。

いつか長野県立美術館へ行って『緑響く』の原画を見ること、モチーフとなった「御射鹿池」に行ってみることが、いまの私のささやかな目標になっています。

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