日々色好日 #70 「玄-gen-」

特集

日々色好日 #70 「玄-gen-」

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一人でカフェに行く時はいつも道に面した席に座ることにしています。

行き交う人々、散歩中の犬、自転車、車、時々スケートボート。「人間観察」というほどしっかり頭を使うわけではありませんが、ぼんやりと目についた人の暮らしを疲れない程度に想像してみたりするのは結構面白い遊びです。

そこまで頻繁にやるわけではないのですが、出先で読むはずの文庫本を家に忘れた時などは代わりの暇つぶしとして時々そんなことをしています。

ちなみに最近で一番嬉しかった「道に面した席」は、ファストフード店の二階にあるイートイン席でした。

そこは商店街にあるお店だったので人通りが多く、眺めているだけで「人がいっぱいいるということは、ここにいる人の数だけ特別で個人的なストーリーがあるということだ」と思い、なんだか尊いものを見た気がしてひとりで勝手に感動してしまったのでした。

それでは、本日の伝統色を紹介します。

伝統色紹介:玄-gen-

玄は赤みや黄みを含んだ深い黒色のことです。玄の色は「黒」を意味し、「黒」は同義語として扱われます。

玄の文字の成り立ちについては諸説ありますが、黒く染めた糸の束が吊るされている様を表しているようです。

その黒い糸が複雑に絡み合った束に奥深さを感じた人々は、「黒」のほか「天」「幽遠」「暗闇」「静寂」「森羅万象の根源」など、色を超えた思想的な概念を見出し、玄にさまざまな意味を持たせていったそうです。

作品紹介:『放浪の天才数学者エルデシュ』(著)ポール·ホフマン、(訳)平石律子

『放浪の天才数学者エルデシュ』は、20世紀で最も多くの論文(共著を含む)を発表したハンガリー出身の天才数学者、ポール・エルデシュの生涯をまとめた一冊です。

私は数字を見ただけで鬱々としてしまう完全文系人間なのですが、どんなところでも必ず「変わり者」と評されるエルデシュのことがなんとなく気になり、試しに買ったのがこの書籍でした。

独特の考え方や行動や語彙、深く数学の世界に潜ることのできる集中力と好奇心、そしてユーモラスな発言……。エルデシュの死後書かれたこの書籍では、彼に関わった人がその風変わりなエピソードを懐かしみ、親愛と敬意を込めた口調で語っている様子が深く印象に残りました。

偉大なる変わり者は、数学だけではなく多くの人に愛された人だったのかもしれません。

故郷・ブタペストにあるエルデシュの墓碑には、彼が生前考えていた「Végre nem butulok tovább(やっと、これ以上愚かにならずにすむ)」という言葉が刻まれているそうです。

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