日々色好日 #65 「薄浅葱-usuasagi-」

特集

日々色好日 #65 「薄浅葱-usuasagi-」

特集

遠くに見えるのはウインドサーフィンの帆。

海水浴場のオープン時期以外はよくひとりで由比ヶ浜に行って散歩をするのですが、ここの海はだいたい穏やかに凪いでいます。

群馬から横浜に移り住んだ最初の年、私は街にも人にも馴染めずにいました。人混みは怖いし、友達もいなく、いつもなんとなく寂しかったのです。

初めて由比ヶ浜に行ったのもそんな時で、ぼんやりと曇った空の下、静かな波音と風の音を聴きながらゆっくり歩いたのを覚えています。

寂しさと孤独は別のもので、歩けば歩くほど寂しさが薄れていくのに、歩けば歩くほど孤独がとぎすまされていくような、そんな気持ちになる不思議な場所です。

それでは、本日の伝統色を紹介します。

伝統色紹介:薄浅葱-usuasagi-

薄浅葱とは、「浅葱色(あさぎいろ)」を薄くしたような緑味のある淡い青色のこと。上品で涼しげな色合いは現在でも人気な伝統色です。

薄浅葱のもととなる「浅葱色」は平安時代から存在する古い伝統色で、もともと若い葱(ねぎ)にちなんだ色として知られていますが、実物の葱よりも青みが強く淡い色になっています。江戸時代の元禄期から正徳期にかけて流行し、派生色が多く生まれました。

今回紹介する薄浅葱もそのひとつとして伝統色名として定着したものとされています。

作品紹介:『ともだちは海のにおい』(著)工藤直子(イラスト)長新太

『ともだちは海のにおい』は童話作家・工藤直子による児童文学。作中のイラストは絵本作家・長新太が手がける。ある美しく静かな夜の海で出会う、ビールが好きないるかと本とお茶が好きなくじらの友情を描いた作品。1985年(昭和60年)産経児童出版文化賞受賞。


読書の楽しみ方を教えてくれたのは父方の伯父でした。

私が小さい頃、よく一緒に書店に行っては「なんでも好きな本を一冊選びなさい」と本を買ってくれました。

当時6歳かそこらの私にはそれまで本を自分で選ぶ機会はなく最初は戸惑いましたが、振り返ってみるとあのとき「本を選ぶことも読書の楽しみのひとつである」ということを知った気がしています。

『ともだちは海のにおい』はそんなふうに選び、生まれて初めて自力で読み切った思い出深い児童文学。

手に取った理由は表紙のイラストが素敵だったからという単純なものだったと思うのですが、読み進めるうちにぐっと世界にひきこまれました。

誰かに読むことを強制されず、国語の教科書に載っているお話や図書室に置いてある推薦図書でもない、自分で選んで自分で読んだ最初の本。今も時々読み返しています。

 

人気記事Ranking
  • 月間

  • 週間

  • すべて

menu

したい・ほしいを探す

したい・ほしいを叶える