日々色好日 #60 「薄水色-usumizuiro-」

特集

日々色好日 #60 「薄水色-usumizuiro-」

特集

18歳で写真を撮りはじめてから今年でちょうど10年。

28歳の私がファインダーをのぞいて見ているのは2021年の風景であるはずなのに、そこかしこに18歳の時の記憶や感情の気配が感じられる。プリントした写真にもきちんと写っている。そんなことが多々あります。

一生のうち両手に持つことのできるものには限りがあって、時間が経つごとに何かしらが少しずつ欠けていきます。

そういうふうにできているのだということは理解しているつもりですが、それでもどういうわけだか、私はそのことわりに抗うために写真を撮りつづけているようなふしもあるのです。

撮ることは見ること、感じること、記録することであり、ここから先の未来に生きてどんどん欠けていくであろう自分を修復していくために、今の自分ができる最大限のことだと感じています。

それでは、本日の伝統色を紹介します。

伝統色紹介:薄水色-usumizuiro-

薄水色とは水色を薄くしたような淡い青緑色のこと。

『万葉集』で「水縹(みずはなだ)」と呼ばれていた色が、江戸時代に入ると「水色」と呼ばれるようになり、それをさらに淡くした色が薄水色です。

同じ読みの伝統色名に「淡水色(うすみずいろ)」がありますが、こちらの方が薄水色よりもさらに薄い色を指すそうです。

作品紹介: 『Aquarius Heaven』kZm

ラッパー・kZmの『Aquarius Heaven』は、ASIAN KUNG-FU GENERATIONの楽曲『ラストシーン』をサンプリングしたDJ DISKプロデュースの楽曲です。

ASIAN KUNG-FU GENERATIONの『ラストシーン』はアルバム『ソルファ』に収録されている、10代後半にこれでもかというほど聴いた思い出の楽曲。

だから初めて『Aquarius Heaven』を聴いた時は、あの時に流れていた音楽が形を変えて再び目の前に現れたことに感動して、それと同時に様々な記憶が波のように押し寄せてきました。

苦しかったこと、嫌だったこと、それでも明るい方の出口を探したかったこと。涙さえ流れないほど鈍ってしまった感情。いくつもの傷跡。

それは二度と思い出したくない記憶のはずでしたが、10年くらい経った今では苦しかったことも悲しかったこともなんだか懐かしくなりました。

きっとこの曲を聴かなかったら思い出すこともなかったし、こんなふうに懐かしい気持ちになれることも、そう思えるほど時間が経ったのだということにも気づけないままだったはずです。

欠けていくものを修復する。

もしかしたら音楽にも写真と同じ力があるのかもしれない、と、ぼんやり思うのでした。

人気記事Ranking
  • 月間

  • 週間

  • すべて

menu

したい・ほしいを探す

したい・ほしいを叶える