日々色好日 #50 「勝色-katsuiro-」

特集

日々色好日 #50 「勝色-katsuiro-」

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近所の川は河口からは少し離れているのに夜になると微かに潮のにおいがするときがあって、そんな夜は孤独の濃度が一気に高くなる気がしています。

そのとき私が感じて「孤独」と呼んでいるものは寂しさとはまた違う感情です。

まだ私自身も自分の中にあるその孤独の正体を知りませんが、それが他のどの感情にも当てはまらないものだということだけはわかります。

嬉しくも悲しくもない。いいのか悪いのかもわからない。

ひとりで夜の海を眺めている時みたいに、心がしんと静まり返るのです。

それでは、本日の伝統色を紹介します。

伝統色紹介:勝色-katsuiro-

勝色とは、紺よりも色の濃い、ほとんど黒色に見える暗い藍色のことを指します。

勝色は「かちいろ」「かちんいろ」とも呼ばれ、色名の「かつ」は藍色を濃く染めるために布などを「かつ」(※叩くの意)ことからきているそうです。

鎌倉時代になると「かつ」に「勝」の字をあて、縁起色として武士や軍人に好まれたとされています。

作品紹介:『25時のバカンス』市川春子

(作品について)漫画家・市川春子による漫画作品『25時のバカンス』は、解散間際の海洋研究所を舞台に、天才研究者である西乙女(にし おとめ)とカメラマンである弟の甲太郎、研究所の室長や職員、そして重要な役割を担う「貝たち」が不思議な物語を紡いでいきます。

「孤独は生まれてから塵に帰るまでの苦い贅沢品です」

作品を読み進める中でこんなセリフが出てきて、思わずページをめくる指が止まりました。

孤独が贅沢品?

衝撃的でした。今までずっと「孤独であること=よくないこと」という図式が、当たり前のこととして自分の中に染み込んでいたからです。

あるときの私が、潮のにおいが微かにする夜の河原で自分の孤独がどんなものかを観察してみようと思ったのも、そのセリフがきっかけだったのかもしれません。『25時のバカンス』を読んでから、少しずつ自分の孤独について考えることが増えました。

孤独というものは気まぐれです。自由にしているようでそうでもない。

隣にいたと思ったらいなくなるし、今はそばに来てほしくない時に土足で踏み込んできたりもします。

私の孤独は私にしかわからず、私にしか見えず、私にしか触れられないものであること。

私にしかわからないのに、私の孤独がどんなものなのかは一生わからないかもしれない。

時々そう感じることがあって残念に思いますが、でもほんの少しだけ、それでいい気もしています。

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