日々色好日 #49 「今様色-imayouiro-」

特集

日々色好日 #49 「今様色-imayouiro-」

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たまに食べたくなる思い出の味。

私にとってのそれは、姉がよく作ってくれたアボカドのクリームパスタと、砕いたチョコレートがごろごろ入った手作りの大きなクッキーです。

母の作るごはんの味だって懐かしいはずなのに、どういうわけだかよく思い出すのは姉の料理のこと。

彼女が実家を出たのはもう随分と昔の話です。引越しの朝、これから気軽に姉の作るごはんを食べたり、一緒に料理をしたりする機会は無くなるのだろうなとぼんやり思い、大切な何かを失ったような気持ちが少しだけ残りました。

でも、あの家で暮らした日々にあたたかな笑い声と美味しいごはんやお菓子があったことを、私はきっと一生忘れることはないでしょう。

それでは、本日の伝統色を紹介します。

伝統色紹介:今様色-imayouiro-

今様色とは「今流行りの色」という意味の、淡い紅色のことです。

この「今」というのは平安時代のことで、遅くとも10世紀ごろに流行していたとされます。平安文学にもよく登場する色名です。

今様色の色合いは書物によりその表記がばらばらなのですが、『源氏物語』で光源氏が最愛の妻・紫の上に今様色の衣装を贈っていることからすると、聴色(ゆるしいろ)である「一斤染(いっこんぞめ)」よりも色の濃い今様色は、禁色(きんじき)に入る色なのではないかと思われます。

作品紹介:『彼女のこんだて帖』角田光代

(あらすじ)自分のためだけのラムステーキ、母の手料理のかぼちゃの宝蒸し、実家の漬物、離婚を回避するミートボールシチュー。食べることはいつだって私たちを勇気づける。美味しい料理が人を繋ぎ、あたたかな幸せを生み出す。角田光代の連作短編集。

日々の中で食べることや食事を作ることはおざなりになりがちですが、あたたかで美味しい食事は、心と体、さらに言えば人生をなるべく楽しく生きるために必要なものなのだとこの作品を読んで思いました。

私自身も毎日料理をしますが、ときどきルームメイトと一緒にごはんを作ると、自分では思いつかない料理の組み合わせや作り方、知らない調味料などを教えてもらえることもあります。

そうしてできた美味しいごはんの背景には、互いの育った土地やその地域の味、そしてそれを伝えて繋げていった多くの人の気配がするのです。

美味しく食べて健やかであってほしいという願い。

食べることはただの栄養補給ではなく、もっと深く命に根ざしたものなのだということを強く感じるのでした。

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