日々色好日 #25 「黄朽葉色-Kikuchibairo-」

特集

日々色好日 #25 「黄朽葉色-Kikuchibairo-」

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一昨年の年末久しぶりに実家に帰った時、実家の近所を散歩をしました。空気の澄んだ穏やかな冬の日のことです。

通学路、小学校、中学校、神社、公園、土手……生まれ育った町にはあまりいい思い出がないので散歩をしてもつらくなってしまう気がしていたのですが、意外とそんなことはなく、何もないけどいいところだなと素直に思いました。

故郷への気持ちの変化は歩いてみたから気づいたことのような気がしています。

それでは、本日の伝統色を紹介します。

伝統色紹介:黄朽葉色-Kikuchibairo-

黄朽葉色はくちなしの実で染めた赤みがかった黄色のこと。

「赤朽葉(あかくちば)」「青朽葉(あおくちば)」などと同様に「朽葉色」をベースにした変相色とされています。

この伝統色はかなり古くから使用されてきた色で、平安文学の『宇津保物語』や『枕草子』にもその色名が登場します。

作品紹介:『転々』三木聡

(あらすじ)借金を抱えた孤独な大学8年生・竹村文哉(オダギリジョー)が取り立てに来た借金取りの福原(三浦友和)から提案された借金をチャラにする方法は、吉祥寺から霞が関までの福原の「東京散歩」に付き合うことだった……

『転々』は中学三年生のときに見た映画で、当時はコミカルな描写を面白いと感じるだけでした。

しかし十年以上たった今改めてこの作品を見ると、画面の向こうに流れている空気から言葉にできないほどの小さな感情の揺れを感じ、それが大雑把ではなく繊細に描かれていることに驚きました。

人はそれぞれ同じくらいの体温をもつ生き物です。

どれだけ孤独であろうとしても生きていくことは必ず誰かのあたたかさに支えられて成り立つものだし、無意識だとしても自分も誰かを支えているはずだから、今ここにある誰かや自分のあたたかさを信じてみてもいいかもしれない。そんなことをぼんやりと考えています。

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