日々色好日 #23 「濡羽色-Nurebairo-」

特集

日々色好日 #23 「濡羽色-Nurebairo-」

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向こうがどう思っているかはわかりませんが、最近顔見知りになったカラスがいます。

いつもたった一羽で隣家の塀の上にじっとしていて、人間が近づいても驚いて飛び去ることはなく一定の距離を保つだけ。なかなか肝が座ったカラスなのです。

何とも群れず何も恐れず、孤独をものともしない孤高の黒は、根っからの寂しがり屋で孤高とは程遠い私にはとてもまぶしく見えるのでした。

それでは、本日の伝統色を紹介します。

伝統色紹介:濡羽色-Nurebairo-

濡羽色はカラスの羽のような艶のある黒色のことで、「濡烏(ぬれがらす)」や「烏羽色(からすばいろ)」とも呼ばれます。

ただの真っ黒ではなく光沢のある黒色は「烏(からす)の濡羽色」というように、黒く艶やかな女性の髪を形容する言葉として古くから現在まで使用されています。

作品紹介:『孤独論 逃げよ、生きよ』田中慎弥

(作品について)芥川賞作家・田中慎弥のエッセイ『孤独論』は、現代に生きる多くの人がなんらかの「奴隷」になってしまっていることに警鐘を鳴らし、自分の考えや自分の行動、そして自分の人生を守れるのは自分だけなのだということを説いている。

逃げることが許されない世界で追い詰められる人が増えているように感じることが多くなりました。

しかしこの『孤独論』では、そんなふうにして人々に刷り込まれた「逃げることは悪いこと」という概念を著者が一蹴しています。死ぬことを選んでしまうより、なにがなんでも逃げるべきだと。

本書には「逃げよ、生きよ」という副題が存在していて、私は時々その副題を見るためだけに本棚の前に立ちます。

その言葉には叱責も同情も心配も優しさも含まれておらず、ただ乾いたあたたかい手が背中に置かれるような感じがするのです。

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