日々色好日 #20 「撫子色-nadeshikoiro-」

特集

日々色好日 #20 「撫子色-nadeshikoiro-」

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学生のときは恋愛小説が好きで、図書室に置かれているものを手あたり次第に読んでいました。

物語の中では様々な形の恋がすべて美しく鮮やかに描かれていて、まだなにも知らない世間知らずの小娘だった私はいつか自分もそんな劇的な恋をするのだと憧れを抱いたものです。

それでは、本日の伝統色を紹介します。

伝統色紹介:撫子色-nadeshikoiro-

撫子色は秋の七草・ナデシコの花のような少し紫味のあるやわらかな薄いピンク色のこと。

撫子色は古くからの日本の伝統色名で、平安時代の襲の色目(かさねのいろめ)にもなっています(襲の色目とは四季折々の変化を色彩で表現した日本の配色法で、衣服の表地と裏地の配色の組み合わせのこと。もっとも代表的なものが平安時代の「十二単」です)。

作品紹介:『恋する、ふたり』前川麻子

(あらすじ)母は恋多き人だ。いつも恋人がいて、たまに結婚したり、同じ回数の離婚をしたりする……。恋愛体質の母・可南子と新しく紹介された若い恋人のモリカワくん、そして13歳のあたし。母とその恋人と娘という、三人の不思議な関係を軽やかに描く前川麻子の短編小説。祥伝社文庫の恋愛アンソロジー『Friends』収録。

読んでいていちばん印象に残ったのが、モリカワくんに恋をする母・可南子の純粋な可愛らしさです。

ある日突然大きな買い物の紙バッグに入った素敵な服や靴、口紅を買ってくるときにはすでに彼女の恋は始まっています。歌を口ずさみ、長風呂になり、毎日おろしたての下着を身につけるようになり、気分の浮き沈みが激しくなる。

恋をしている人の心情を直接描写するのではなく、些細な変化を描いて恋の高揚感を表現しているところに作者の手腕があらわれていると感じました。

この作品との最初の出会いも学生時代のことで、読後はいつか自分も誰かに恋をしたらこんなふうに可愛らしい変化が起こるかもしれないと思っていました。

大人になってからなんとなく気付いたのが、恋愛はドラマチックでも甘美なものでも特別なものでもないということ。私たちは物語の中で恋愛をしているわけではなく、恋も愛もおそらくただの感情で、ただの現実です。

しかしそれが人生の大きな彩りになるということも、また真実なのかもしれません。

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