生きている間に出会う人、そして別れていく人というものは、どのくらいいるのだろう。そんなことを考えながらふと、私はある友人のことを思い出していました。
彼女はとても美しい女性でした。それでいて気取ったところがなく、誰にでも笑顔で接し細やかな気配りができる素敵な人でした。
いつだったか彼女が薄い水色の綺麗なアクアマリンの指輪を私にくれたことがありましたが、大掃除や引っ越しの際に失くしてしまったのか現在その指輪は私の手元にはありません。そして彼女とも、もう随分と長いこと連絡をとっていません。
先ほど気になって調べたところ、アクアマリンの石言葉は「幸福」だそう。私は、彼女が私の幸福を願っていてくれたのだということを、今になって初めて知りました。
それでは、本日の伝統色を紹介します。
目次
伝統色紹介:瓶覗-kamenozoki-
瓶覗は藍染のごく淡いやわらかな青色を指します。藍色系統の伝統色の中でもっとも薄い色とされていて、「藍染の染料の入った甕(瓶)を少し覗いただけ」という意味でつけられた色名だそう。別名は「覗色(のぞきいろ)」。
瓶覗は分類的には藍色系の色ですが、ほんのわずかしか色味がないため、英語の「オフホワイト」、つまり日本の染色用語で言うところの「白殺し」に分類されることもあるそうです。
作品紹介:『センネン画報』今日マチ子
「次の授業のノート見せて」「プリント忘れちゃった」「まじうざい」「昨日あいつがさー……」「購買行く?」
さざなみのように聞こえる教室の喧騒。開けられた窓から入るぬるい風の感触。
『センネン画報』は誰もが通ってきた「あのころ」の景色や感情を叙情的に切り取った、イラストレーターの今日マチ子による1ページ漫画です。
そこには、思春期の得体の知れない苛立ちや焦り、寂しさと孤独が、やわらかなタッチと薄い青を基調にした色使いで美しく描かれています。
悩んでばかりでとにかく早く過ぎ去ってほしいと思っていた私自身の「あのころ」ですが、いま振り返ると当時の悩みなんて瞬時に笑い飛ばせるくらい大したことではなかったりします。
もし当時の自分に一瞬でも会えるなら、歳をとって鈍感で図太い大人になるのも悪くないものだということを伝えたいです。