【今週のことばたち#4】未来は現在と同じ材料でできている(シモーヌ・ヴェイユ)

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【今週のことばたち#4】未来は現在と同じ材料でできている(シモーヌ・ヴェイユ)

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お元気ですか?

こんにちは。今、みなさんは「いつ」これを読んでいるでしょうか。2020年の8月、夏の盛りでしょうか。それとも8月も過ぎ、鈴虫が鳴き出した秋の初めでしょうか。はたまた、ずっとずっと先のいつか、でしょうか。今、僕はみなさんが目にする時点からさかのぼって、「昔」に書いています。はじまって早々、わけのわからない話をしてごめんなさい。実は今回お話したいのは、そんな「時間」がポイントになる名言なんです。ということで、きっと皆さんが僕からみた「未来」で元気にしてくださっていることを信じて、本題に入っていきたいと思います。

幸福な人生を歩むには

まず最初に、少し遠回りに思えるかもしれませんが、幸福な人生を歩むにはどうすればいいのか。という話をしてみたいと思います。今回の名言を語る上で、必要不可欠なちょっとした寄り道ですので、お付き合いいただけたら嬉しいです。

そもそも幸福とは何でしょうか。この幸福という言葉の中身だけで、一冊の本ができてしまうくらい、その定義は困難です。ですが、ここはひとまず、それぞれの「幸福」があるんだと仮定して話を進めたいと思います。それぞれの幸福とは、その人、それぞれにとっての幸福という意味です。六本木のタワーマンションに住んでビジネスをするのが幸福という人、海辺でゆったりと暮らすのが幸福という人、一人でいるのが幸福という人、沢山の人と一緒に暮らすのが幸福という人、それぞれの人の幸福を意味しています。

こうした、自分にとっての幸福にたどり着くには、どうすればいいのか。ここもまたいろんな考え方があると思うのですが、そのひとつに「今を大切にする」、という考え方があります。

「今」を大切に生きる

「今」とは、まさに自分が現在関わっている時間のことです。この「今」という瞬間の連なりが人生だと考えると、この「今」を充実させることこそが、人生の充実につながる。ひいては、幸福になることに繋がる、そのように考えることが出来ます。

割と自己啓発本でもこのような考え方をしているものは多いですし、最近のベストセラーでいうとアドラー心理学を広めた『嫌われる勇気』も今という刹那を踊るように生きることを歌っています。

たしかに考えてみれば、人生は「今」の連続です。過去を振り返ることも、未来を夢描くこともできますが、それをしているのもあくまで「今」の自分です。そして、過去とは「今」の残像であり、未来とは「今」の先に連なるものです。そう考えると、「今」に集中していくことこそが、幸福に繋がるという考え方はなかなか説得力があるのではないでしょうか。ここまではよく、本などで語られているところです。

「現在」と「未来」をつなぐもの

そして、いよいよ本題に入りたいと思います。今回、ここで話したいのは、それでは「どのようにして」、「今」という時間を生きるべきなのか、ということです。

そこでヒントになるのがフランスの哲学者、シモーヌ・ヴェイユの今回の名言「未来は現在と同じ材料でできている」です。

僕たちは未来を夢や願望に近づけて考えがちです。僕も本当にこの癖があって。すぐに未来を好き勝手に「こんな素敵な人と出会いたい」とか「こんな場所に住んでみたい」などと願望のような形で描いてしまいます。

もちろん、これが一概に悪いとは言えないのかもしれませんが、問題なのはそうした未来と今の自分を区別して考えてしまうことです。僕たちは、「今の自分が想像上の未来の自分になるには、何らかの奇跡がなければ無理だろうな」と漠然と考えてしまいがちな気がするのですが、それは多分違って。

シモーヌ・ヴェイユの言うように、あくまで「未来」と「現在」の自分が持っているモノ(材料)は同じはずなんです。「現在」の自分が努力なり、工夫をしていく中で、持っている材料が増えたり、グレードアップすることはあるかもしれません。ですが、ベースはあくまで現在の自分が持っている材料です。それを元手に未来を作っていくとなれば、それはまさに「未来は現在と同じ材料でできている」と言えるはずです。

シモーヌ・ヴェイユの言いたかったこと

この名言を残したシモーヌ・ヴェイユという人は、第二次世界大戦の最中、ほぼ無名のまま亡くなったフランスの哲学者です。若い頃から哲学に関心を寄せ生きてきたシモーヌ・ヴェイユは、自らの思想に基づき、平和運動やデモ等にも積極的に参加し、工場労働にも身を投じる中で更に自らの思索を深めました。

彼女の人生を見つめると、口だけ頭だけでなく、自らの生き方・真理を模索する旅だったんだろうな、と思います。真っ直ぐで不器用で、でも真理と美を見つめる視線はあまりにも鋭い。そんな彼女の表情がその人生から想像できます。そんな彼女が残した言葉だということを踏まえると、この言葉の持つ前向きな矢印を感じます。

きっとシモーヌ・ヴェイユは、自らの信じるもの、大切だと思うものを追い求めるにあたっては、「現在」の自分から始めるしかないと言い聞かせるために、この言葉を生み出した気がします。真理への到達は、人間の悲願ではありますが、容易なことではありません。それはほとんど願望・夢のようなものとも言えます。ですが彼女はそれに、「今」を生きる自らの身を投じて挑んだ。それはまさに、「未来は現在と同じ材料でできている。」と思えていたからこそ、できた行為なんじゃないかと思えるんです。

ゆとり世代の生き方論?

ここまで、あまりにも激しくてまっすぐなシモーヌ・ヴェイユの人生を振り返ってきたので、急にゆとり世代ど真ん中の自分の話になってしまうのは申し訳ないのですが、せっかくですので、もう少し身近な例として、最後にこの問題を少しだけ僕たち自身に寄せて考えてみたいと思います。

この「未来は現在と同じ材料でできている」という考え方は、これからの世界にとって必要な発想、寄って立つ最初の地盤になる考え方のような気がするんです。僕たちは、今という激動の時代に否応なく向き合っています。これまでのように、とんでもなく壮大な夢を掲げ、それに向かって走っていくようなビジョンはなかなか持てそうにありません(きっとそうした文脈で生まれた一つがさとり世代という言葉だと思います)。

ですが、世界を投げ出して、どうにでもなれ、と考えるのもあんまりです。そんなときに、「未来は現在と同じ材料でできている」と思うとどうでしょうか。うまくいえないのですが、今、ここからやるべきことが少しだけ浮き出てくるような気がします。

たしかに課題は山積みで、完全な解決は困難に見える。だけど、未来と現在は同じ材料でできているのであって、やれることはその材料の組み立て方を変えたり、材料を磨くことなんだと。そう思うだけで、少しだけ違ったアイデアが生まれ、小さくても幸せな世界へ一歩あゆみを進められるような気がします。

ポケットに入れておきたい言葉

ということで。今回はシモーヌ・ヴェイユの「未来は現在と同じ材料でできている」という言葉を紹介しました。意味をシンプルに表現してしまえば「今ここから」という当たり前のことにたどり着くのですが、この言葉には不思議な温かさと前向きになるための魔法が掛かっている気がします。たくさん悩むことはあると思いますが、よければこの言葉をポケットに入れて、少し迷った時に取り出して眺めたり匂いを嗅いでもらえたら嬉しいです。

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