日々色好日 #8 「茄子紺-nasukon-」

特集

日々色好日 #8 「茄子紺-nasukon-」

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雨の降る音がやさしい膜のように感じられる夜はつい夜更かしをしてしまう。そんな夜は、部屋の明かりを消して窓を開けて窓辺でぼんやりすることに決めています。

湿った葉っぱやアスファルトの匂い、やわらかな雨音に意識を向け、あとは何も考えずにぼーっとするだけ。だいたい20分くらいそうしていると、それまでのもやもやが洗い流されて満ち足りた気持ちになっています。雨の日だけの特別な時間です。

それでは、本日の伝統色を紹介します。

伝統色紹介:茄子紺-nasukon-

夏野菜でおなじみのナスを連想する赤みがかった暗い紺色。

色名から想像すると古くからありそうな色だと思ってしまいますが、茄子紺は近代になってから使うようになった色名で流行したのは大正時代だそう。伝統色としては比較的新しいものとされています。

藍染の濃い色に蘇芳(マメ科の植物からなる染料)で染め重ねることによって出る色で、陶器や衣服などによく使用されています。

日常生活の中でも見つけやすい伝統色なので、ぜひ探してみてください。

作品紹介:『きらきらひかる』江國香織

(あらすじ)
「私たちの結婚について説明するのは、おそろしく厄介である」

互いの全てを許し合い、10日前に結婚した夫婦、睦月と笑子。一見仲の良い普通の夫婦に見えるが、睦月はホモセクシャル、そして笑子はアルコール中毒という秘密を抱えていた。睦月の恋人の紺くん、笑子の元恋人の羽根木さん、友人の瑞穂、互いの両親……。周囲と関わりながら不思議な夫婦関係の二人が織りなす、エモーショナルな恋愛小説。

『きらきらひかる』を初めて読んだのは中学生の時で、それ以来何度も何度も読み返してずっと大切にしている本です。

印象的なシーンは笑子と睦月が夕食にドーナツを食べるところで、笑子が「夕食はドーナツにしましょう」と提案すると、睦月は「あんまりうれしくないなぁ」と言いながらもすぐにコーヒーをいれてくれます。夕食にドーナツという妙なちぐはぐさ、ごっこあそびのような空気、ドーナツの砂糖と油とコーヒーの香り。

そういったひとつひとつが悲しいほど二人の関係にしっくりきていて、なんでもないシーンですがとても心に残っています。

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