日々色好日 #3 「若草色-wakakusairo-」

特集

日々色好日 #3 「若草色-wakakusairo-」

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5月のことを陰暦で「皐月」と言います。田植えの時期なので、耕作を意味する古語の「さ」をとり「皐(さ)月」になったそうです。

北関東にある故郷を出てから稲田を見ることはほとんどなくなりました。でも、晴れた日に気持ちよさそうにゆれるいちめんの緑はずっと記憶に残っていて、少し青くさいような風の匂いと、田植えの終わった後の田んぼでタニシやおたまじゃくしを見たこともしっかりと憶えています。

なんにもないただの田舎だと思っていたこの風景。それがいつの間にか、生涯忘れることのない美しい風景、私だけの原風景になっていることが、不思議でなりません。

それでは、本日の伝統色を紹介します。

伝統色紹介:若草色-wakakusairo-

若草色は明るい薄黄緑で、新しく芽吹いた緑のようにやわらかく、明るく鮮やかな色です。
平安時代から愛される伝統的な色で、「新鮮な」「新しい」「未熟な」などの意味があります。

「若」のつく色名はその色の美称にもなり、若草色は俳句では春の季語として使用されます。
さらに古来では、若草色はやわらかくみずみずしく、美しいものにもたとえられました。

平安時代に成立した歌物語『伊勢物語』では、若い娘のみずみずしい魅力を若草になぞらえています。

作品紹介:『リトル・フォレスト  冬・春』森淳一

 

映画『リトル・フォレスト  冬・春』は、一度街で暮らしたものの、居場所を見つけられずに故郷の村へ戻った女性・いち子(橋本愛)の物語。

監督は『重力ピエロ』などを手掛けた映画監督の森淳一、原作は『海獣の子供』で知られる漫画家の五十嵐大介。

大自然の中にある東北の山村・小森で自給自足の生活を送りながら、主人公のいち子は自分の生き方を見つめ直していきます。

この映画は、自然の恵みと厳しさ、季節ごとに表情を変える村、そしてそこで暮らす人々や季節の収穫物を使った料理などの山村での暮らしを映像にするだけではなく、もう一度居場所を見つけようと静かにもがくいち子の心を繊細に表現しています。

『リトル・フォレスト 冬・春』編では、雪の白から芽吹く緑へと山村の風景が変わっていきます。
春になり、収穫した春キャベツを洗って、いち子がそのまま嬉しそうに食べるシーンが印象的。
春キャベツのやわらかな緑色を見ているだけでこちらもパッと明るい気持ちになります。

春の暖かな陽気、いきいきとしだす草花の気配、そして季節の食べ物。

現実でもフィクションでもそういったものに対して無条件に嬉しくなるのは、自分の中の原始的な部分が季節に呼応しているからのような気がしてしまい、映画を観ながら不思議な気持ちになりました。

『リトル・フォレスト  冬・春』を観る際には、前編である『リトル・フォレスト  夏・秋』も併せて観るのがおすすめです。

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