日々色好日 #2 「空色-sorairo-」

特集

日々色好日 #2 「空色-sorairo-」

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空がだんだんと澄んで深みを増し、やわらかだった日差しが日に日に強くなって夏の気配を感じる……そういった自然のささやかな変化に気がつくようになったのは散歩が日課になってからです。

もともと歩くのは好きでよく歩いてはいましたが、今までの散歩は本当に「ただ歩いているだけ」だったのだということに気づいて、少しだけ勿体ない気持ちになりました。

空の色や暖かさ、風の感触や空気がはらむ湿度などを意識して、その変化に気付けること。
些細なことですが、私の今の生活の中ではとても大切なものになっています。

季節はただ過ぎていくように思いますが、よくよく見ているとその移ろいはとても美しく豊かなもので、四季のある土地に生まれたことが幸運であると感じます。

それでは、本日の伝統色を紹介します。

伝統色紹介:空色-sorairo-

空色は淡く明るい青色。「真空色」や「空天色」とも書かれ、平安時代からずっと愛されてきた色です。

日本の伝統色名には気象・天体に関する色名があまりなく、昼間の晴れた空を表すのはこの「空色」のみとされています。
濁点のない清々しい語感の良さで明治・大正から文学作品などに好んで使用されるようになり、より一般的に広く使われるようになりました。

気持ちがいい初夏の空を見上げたら、きっとこの「空色」を見つけることができるはずです。

作品紹介:『回転ドアは、順番に』穂村弘×東直子

 

「遠くから来る自転車を探してた 春の陽、瞳、まぶしい、どなた」

その一首で始まる穂村弘と東直子の共著『回転ドアは、順番に』は、ある春の日に出会った男と女が、ある春の日に別れるまでの恋愛問答歌です。

短歌と合間にはさまる詩のような短い文章だけでも、眼差しや風景や、その場に流れているはずの空気の質感をはっきりと感じ取ることができます。

うららかな春の日に出会い、他愛のないことでふざけ合う日々を過ごし、そして別れが来る。
大切な人との離別は受け入れがたいものですが、それでも最後の一首に救いや希望があるように感じてしまう。

表紙のやわらかなイラストの背景は清々しい空色をしていて、読後に再び装丁を眺めると読む前とはまた違った印象を受けます。

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