「音楽に触れるきっかけを」Official髭男dismのサポートパーカッション奏者・ぬましょうがレッスン教室を始めた理由

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「音楽に触れるきっかけを」Official髭男dismのサポートパーカッション奏者・ぬましょうがレッスン教室を始めた理由

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「音楽に興味を持ってくれる人を増やしたいんです」と熱い思いを語ってくれたのは、パーカッション奏者のぬましょうさん。

10歳の時に見たハモネプがきっかけで音楽に興味を持ち、小中高と吹奏楽でパーカッションを担当。その後、洗足学園音楽大学に入学して三沢またろう氏に師事し、現在はOfficial髭男dismやフレンズなど、多くのアーティストのサポートメンバーとしてライブやレコーディングに参加しています。

また、2019年12月にはパーカッション教室もオープン!10歳から年配の方まで、幅広い生徒さんが参加されています。

ぬましょうさんがパーカッションを始めた経緯や現在の活動、そしてパーカッション教室について、お話を聞きました!

バンドに「ワクワク感・ノリの良さ」をプラスするのがパーカッションの役割

——パーカッションは色々な楽器を扱いますよね。パーカッションの定義って何なんでしょうか?

ぬましょう

「この楽器を使う」という明確な定義があるわけではないんです。自然の中にあったものを叩いて音がして、それを面白いと思った人が楽器にしたのがパーカッションの起源で、そこからどんどん改良されて楽器になっていったんです。

クラシックのパーカッションは変わったものが多くて、海に冒険に出る曲の中で鎖をジャラジャラ鳴らしたり、踏切の音を表現するために線路を切ったものを叩いたりすることも。冗談じゃなくて、楽譜にそうやって書いてあるんですよ!

——面白いですね!そういえば以前、ボーリング場でのライブイベントで、ぬましょうさんがボーリングのボールを叩いている動画を見ました。

ぬましょう

あれは半分ギャグみたいな感じだったんですけど(笑)、ボーリングの玉を見た時に、「ウドゥという民族楽器に少し似ているな」と思って。

ぬましょう

ウドゥは壺の形の、ボディに穴が開いているナイジェリアの楽器です。穴をふさぐように叩くと、こもった低い音が出るんですよ。ボーリングの玉も、同じように穴の上から叩いたら意外といい音がしたので、取り入れてみました。ウドゥはイボ族の言葉で「壺」という意味で、日用品が楽器になった例です。もしかしたら、ボーリングの玉も何十年後かには楽器になっているかもしれませんね(笑)。

——パーカッションがバンドに加わることで、どんな効果が生まれるんでしょうか?

ぬましょう

パーカッションが入ることで、ビートの支えが増えてバンド全体のノリがよりよくなる効果があると、僕自身は思っています。1つの椅子の上に立つよりも、4つある椅子の上に板が引いてあって、その上に乗るほうが安定しますよね。同じように、ドラムのビートに対して、パーカッションで裏のビートを細かく入れて支えを増やすことで、メインの演者たちがノリよく演奏できる……というイメージですね。

——椅子の数が増えることで上に乗っている板が安定して、その上で思いっきり動ける。だからノリがよくなる、みたいなイメージですかね?

ぬましょう

イメージ的にはそんな感じです。

ぬましょう

パーカッションを入れることで、作り手側のワクワク感が増す効果もありますね。音楽でお客さんにワクワクを届けるには、自分たちがまずワクワクしていることが大事なんですが、音楽に真剣に向き合えば向き合うほど、楽しむことを忘れてしまいがちで。

パーカッションを入れるとガラっと曲の雰囲気が変わるので、「すごくノリが良くなった」「曲が明るくなった!」とバンドメンバーに言われることも多いんです。音楽を届ける側のワクワク感を呼び起こすきっかけに自分がなれたらいいな、と。

——作り手のワクワク感が大事なんですね!

ぬましょう

あとは、お客さんが歌だけじゃなくて楽器を見るきっかけにもなったらいいな、という思いもあります。昔の自分を思い返すと、曲全体じゃなくて歌をメインに聞いていたんですよ。そういう人は意外と多いんじゃないかなと。

ある日のライブセット。興味をもつきっかけになればと、ライブごとにTwitterに掲載している

ぬましょう

普段のバンドの編成にプラスしてパーカッションが置いてあったら、「何だあれ?」と目を引くじゃないですか。そこから、ドラムやギターなど、いろんな楽器があって曲が成り立っていることを感じてもらえたらいいなと思っています。

音楽の道を諦めようとするも、友達からの衝撃の一言でパーカッションを本格的にスタート

——ぬましょうさんは、いつからパーカッションを始めたんですか?

ぬましょう

小学校5年生、10歳の頃からです。
当時、ネプチューンさんが司会の『力の限りゴーゴゴー!!』という番組の中で、「ハモネプリーグ」という、アカペラグループがリーグ戦で競うコーナーがあったんです。初めて見た時、「口からドラムの音がする?!」と衝撃を受けました。そこからのめり込むように毎週ハモネプを見るようになって、「自分も何か音楽をやりたい」と思ったんです。でも歌は苦手だったので、小学校の金管バンドに入りました。

——ハモネプめちゃくちゃ流行ってましたよね!金管バンドでパーカッションを選んだのはどうしてですか?

ぬましょう

選んだというか……。最初はトロンボーンがやりたかったんですけど、入部試験のときにマウスピースで音が全然出なくて。色んなサイズのマウスピースを試してみてもダメで、最後に「じゃあ、これで太鼓を叩いてみて」って、先生からバチを渡されて。それで大太鼓をドーンと鳴らしたら、「鳴ったね!じゃあ君は大太鼓で」って言われたんです(笑)。

——えぇ!?そんな経緯だったんですね……(笑)

ぬましょう

「えっ、トロンボーンは?」ってなりました(笑)。でもとりあえず入ったから続けてみようかなと。金管バンドでは、クラシックを演奏する時は大太鼓で、ポップスの時はコンガを担当しました。そこでコンガにハマって「パーカッションって面白いかも」と、中学・高校でも吹奏楽部でパーカッションを続けていたんです。吹奏楽部ではクラシックをやっていましたが、ロックやポップス、パンクなど色んなジャンルを聴きましたね。

——その頃からもう「将来は音楽の道でいこう!」と思っていたんですか?

ぬましょう

いえ、実は高校3年で進路を考える時期に、音楽の道を諦めようとしたことがありました。パンクドラムへの憧れから、いずれはバンドでドラムを叩きたいとの思いがあったんですが、思うように実力が伸びなくて。部活でも後輩がどんどん成長していくのを目の当たりにして、「自分には音楽の道は無理かもしれない」と感じたんです。

——そうなんですね……そこから音大に進んだのは、何かきっかけがあったんですか?

ぬましょう

大学生の時から去年の4月まで、「Manhole New World」というバンドをやっていたんですが、そこのドラマーが高校の同級生で。そいつに、音楽の道は諦めようと思っていると話したら、「一緒に音楽続けようよ!でもお前ドラムのセンスないからパーカッションやれよ」って言われたのがきっかけですね(笑)。

——あれっ!?途中までいい話なのかな、と思って聞いていたらまさかの「センスない」発言……。

ぬましょう

ちょっとびっくりしましたけど(笑)、彼は当時からドラムがすごくうまくて、かなわないなと思っていたので、「パーカッションなら彼を超えられるかもしれない!」と考えたんです。それで、バンドマンやスタジオミュージシャンを育成する「ロック&ポップスコース」がある洗足学園音楽大学に行くことにしました。高校3年生の夏に進路を決めたので勉強はめちゃくちゃ大変だったんですけど、なんとか合格して。大学に入ってからバンド活動を本格的にスタートして、知り合いのライブのサポートにも入るようになりました。

Official髭男dismとの出会いは、お客さんが10人のライブ会場

——大学卒業後に「音楽を仕事にしよう」と思ったきっかけを教えてください。

ぬましょう

これといったきっかけがあった訳ではないんです。大学に入ってからずっと「どうしたらプロになれるか?」と考えていましたし、技術的にもまだ発展途上だったので、やめる選択肢が浮かばなかったんですよね。そもそも、同じクラスの同級生30人中29人が就職活動をしていなかったので、「就活って何?」という状態でした(笑)。

大学4年の2月頃にはもう4月以降のライブスケジュールが決まっていたので、そのまま自分のバンドでライブをやったりサポートに入ったりして生活をしていました。

——サポートの依頼ってどういう経緯で来るものなのでしょうか?

ぬましょう

僕の場合はバンドをやっていたので、対バン相手から「今度ワンマンライブをやる時に一緒にやってくれないか」と誘われることが多かったですね。今サポートに入らせてもらっているOfficial髭男dismも、3〜4年前に同じライブイベントに出たのがきっかけで知り合いました。

——そうなんですね!どんな出会いだったんですか?

ぬましょう

お客さんが10人くらいしかいないライブ会場で、Official髭男dismの演奏を見たんですけど、メンバーとお客さんとの一体感がすごかったんです。演奏中はお客さんが全員手を振っていて、「前に来て!」ってメンバーが呼びかけたら、みんなステージの前にバッと駆け寄っていって。「10人しかいない観客をここまでの熱量に持っていくってすごいな、何だこのバンド?!」って感動しちゃって。

——お客さんが10人……Official髭男dismにもそんな時代があったんですね。

ぬましょう

その日のライブで、僕はタンバリンでシンバルを叩くパフォーマンスをしていて、それを見て向こうも「何だあの人?」って思ったみたいで、声をかけてくれたんです。

帰りに一緒に牛丼を食べながら夢を語り合って、「僕たちがワンマンライブをできるくらいのバンドになったら、ぜひ一緒にやりましょう!」って言われて。その時は僕の方がちょっと年上なのもあって「おう、いいよ〜」なんて気軽に答えたんですけど、気付いたらどんどん有名になっていって。夢を叶えていってすごいなぁと思っていたら「そろそろ一緒にやりましょう」って一昨年急に連絡がきて!そこからサポートメンバーとして参加するようになったんです。

——すごい……!漫画みたいな展開ですね。

ぬましょう

去年はツアーに同行させてもらったし、フェスにもたくさん出演させていただきました。自分が見る側だったフェスに出るのがずっと憧れだったので、夢を叶えてもらったような感じです。感慨深い一年でしたね。

——ぬましょうさんは、色々なアーティストのサポートに入られていますよね。サポートに入る時に気をつけていることはありますか。

ぬましょう

サポート先のチームの温度感に合わせるよう意識しています。イメージとしては……自分は普段40度のお風呂に慣れていたとしても、サポートで入ったバンドが42度だったら、それに合わせて自分も温度を上げる、みたいな。逆に、自分の方が熱すぎるなと思ったら、相手の温度に合わせて抑え気味にすることもあります。熱量やテンション感がお互いぴったり合うと、すごくいいグルーブが生まれるんです。

——温度感を合わせるのが難しい時ってありますか?

ぬましょう

外部のサポートメンバーを入れ慣れていない現場に入る時には、難しさを感じるときもありますが、長い目で見て少しずつ温度を合わせていくようにしています。
メンバー以外のサポートスタッフやプロデューサーも全員含めてひとつのチームで、みんなが「この現場楽しみだな」と思いながら入ってきて初めて、いい音楽が作れると思うんです。いいチームを作るメンバーの1人になりたいし、自分が慣れたら、後から入った人にもチームに馴染めるように気を配っていきたいなと思っています。

音楽経験なしでも大歓迎!パーカッション教室で0を1にするお手伝いがしたい

——Twitterでパーカッション教室の告知を見ました。「ずっと野望だった」と書かれていましたが、教室を始めた理由や思いについて教えてください!

ぬましょう

「音楽に触れるきっかけを多くの人に提供したい」という思いがずっとありました。以前、自分のバンドのライブでお客さん全員にタンバリンを配っていた時期もあったぐらいで。音楽に合わせてタンバリンを鳴らす楽しさを体感してもらいたかったんです。それをきっかけに、色んな楽器に興味を持って、自分でも音楽を始めてみようと思う人が出てきてくれたらいいなと。

ただ、小さいお子さんやお子さんがいる親御さん、ご年配の人など、ライブ会場に足を運びにくい方もいるじゃないですか。だったら、ライブ会場以外でそういった機会を作れないかと思って、レッスン教室を立ち上げることにしました。

——オープンして1ヵ月ほどですが(※取材時)、レッスンにはどのくらいの人が参加されたんですか?

ぬましょう

20〜30人くらいですね。10歳から年配の方まで、幅広くご参加いただいていて、リピートしてくれている人もいます。「やってよかった!」と感想をもらえると嬉しいし、自分は人に教えるのが好きなんだと改めて認識もできました。

——パーカッション教室の今後の展望を教えてください。

ぬましょう

今は生徒さんにスタジオを予約してもらって、そこに僕が楽器を持って行ってレッスンをする形なんですが、自宅にスタジオを構えて、必要な楽器も全部そろった状態でレッスンをできるようにしたいですね。

あとはスポーツクラブのように、決まった枠でスタジオレッスンがあって、会費を払った人は好きなレッスンを選べるようにできたらと。さらに、スタジオレッスンがない時間には個人レッスンも受けられるようにするのもいいなと考えています。すでにあるものを真似しただけじゃ絶対に成功はしないから、自分なりのアイデアを盛り込んだ教室にしていくつもりなので、今後も期待していただきたいですね!

——ぬましょうさんのレッスンを受けてみようかな、と考えている人に向けて、メッセージをお願いします!

ぬましょう

「リズム感がないからできない」など、音楽をやりたいけど迷っている人にこそ来て欲しいです!もちろん、すでに音楽に触れていてもっと学びたい人も大歓迎ですが、0を1、むしろマイナスな気持ちをプラスにするお手伝いがしたいと思っていて。音楽に興味があるけど一歩踏み出せない人の最初のステップを提供したいなと。

0が1になったあと、2になるときにパーカッションじゃなくてもいいんです。「音楽を目指したいな」とか、「楽しかった、明日も仕事頑張ろう!」とか、そんな気持ちになってもらえたら嬉しいですね!

——ぬましょうさん、ありがとうございました!

※パーカッション教室詳細については、ぬましょうさんツイッターをご参照ください!

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